あなたは誰?
あなたは誰?
そうだ、忘れるところだった。
自分の彼女しか見ていなかった聡士が、急に私を見た。
静香には、
静香に相応しい相手がいるんだ。
なによ、ソレ……。
振る時の常套句じゃない?
あ、ストーカですね。
あんたも嬉しそうな顔で
言うんじゃない……。
そこに……。
え?
聡士が指さす方を見た。
あ……。
そこには、さわやかなイケメンがいた……。
優しそうで、犯罪するようには見えない。
ストーカーしなくても、彼女いるだろ? という風貌だった。
あれ?
この感じ……。
こいつ、どっかで
絶対に会ったことがある!
とても懐かしい感じがした……。
……。
…………。
……。
…………。
どきどきw
わくわくw
じゃあ、
ボクたちは行くから。
何なの?
「後はよろしく」
みたいな顔……。
先輩、
がんばってくださいね!
はぁ?
お前が言うな……。
聡士は彼女と去っていった。
行け行け、
とっととどっかに行っちまえ。
ベタベタしたままの二人を見送って、ストーカーの方を見た。
ご……、
ご愁傷様です。
目をそらしてそのストーカーは言った。
一言目がそれか?!
!
あ~れ~
ま~w
花びらが飛んでいった。
聞き心地が、悪くない声。
悪くないっていうか、むしろ良い。
ソフトに入ってくる、優しい声。
なんなんだ。
この好感度高めなストーカーは……。
誰も死んでないわよ。
……、……。
性分かもしれない……。
思ってないことを言ってしまうの……。
……知ってる。
なんかイラっとした。
……、……。
彼氏がああいう去り方をしたら、
傷つくんじゃないかな……って思って。
彼氏じゃなくて、
元彼。
聡士と付き合ってたこと、記憶から抹消したい……。
……。
未練なんて、
これっぽっちもないわ。
ごめん……。
謝んじゃないわよ。
……。
……。
イラっとはしたんだけど……。
この雰囲気は、忘れることができないものだった。
ほぼ確実。
間違いなく、このストーカーは彼だ。
このなよっとした感じ、間違いない。
聡士となんとなく似てる、この頼りなさ……。
うん、うんw
そう、そうw
どうして、
間違えたんだろう……。
間違いなんて
誰にでもあるよ~w
自分が情けなかった。
こんなに、はっきりとわかるのに……。
こっちの方が、彼だ……。
えっと……。
間違いない。
ホントに自分が情けない……。
私は桜並木を歩きだした。
泣いてる顔を、見られないように。
あ……。
あ……。
すると彼もついてきた。
何を言うわけでもなく、ただ私の横を歩いていた。
鼻水垂れそう……。
そう思って、ハンカチを探すけど、どこに入れたかわからない。
……。
彼がハンカチを差し出していた。
顔は違うけど、見覚えのある微笑み。
彼は、よくそういう顔をしていた。
それを見てまた涙が出る。
あ……、あり……、
がと……。
うんうん。
うんうん。
それだけ言って、それを受け取り鼻を拭いた。
さすがに恥じらいってもんがあるわよ。
ビーなんてかめない……。
そんなことを思っていると、彼は私の手を握る。
きゃ~w
きゃ~w
うるさいわよ
!
!!
温かい手……。
彼を見ると
にこっ
と、笑った。
ほっw
ふぅ~w
間違いない。
今度こそ本当に彼だ。
うんうんw
静
あの優しかった義経。
私が大好きで大好きで大好きだった人……。
うんうんw
うんうんw
……。
やっと、会えた……。
ホントにホントに会えた。
うれし涙なのか、悔し涙なんだか、よくわからない涙が、後から後からこぼれてくる。
それからしばらく、二人で桜並木を歩いた。
桜の枝がユラユラしていて、
おめでとう、よかったね。
よかった、よかった。
と言っているような気がした。
……。
何も言わずに、寄り添って歩いてくれる彼を見て、
ずっとこの時が
続けばいいのに。
柄にもなく、
そう思ってしまった。
らんらら~w
らんらん~w
こんなに怖い顔してるなんて
やっぱ、怒ってるんだ……。
みょ!