Ⅳ 断末魔の叫び
その腐臭の漂う土の下から現れたのは――レイラ、間違いなくレイラだった。
ただしその体は腐り落ち、全身から異様な匂いを放っている。
私はすぐにでも逃げ出そうとして、ジョンを見る。
だが、どうやらジョンに逃げる気はないらしい。
目をきらきらと輝かせ、目の前に現れたおぞましい姿の魔物――かつての恋人に、ジョンは勇敢にも近づいて行ったのだった。

やっと会えたね、レイラ。君と再会する日を、僕はずっと待ち望んでいたよ。

ジョンは跪き、レイラの手を取って口付ける。
青色の大きな瞳からは、大粒の涙がぼろぼろと零れている。

おまえは――

レイラ……レイラ!?

おまえは誰だ。

ジョンを見下ろして、レイラは言った。

レイラ?どうしたんだ?……そうか、眠っている時間が長すぎて、まだ意識が混濁しているんだな。大丈夫、僕だよ、レイラ。君の大切な恋人だ。

おまえは誰だ!

おいおい、どうしたっていうんだ?君らしくもないよ。さあ、早く家に帰って、温かい食事を食べよう。君のために、食事は用意させてあるんだ。

おまえは、誰だ。

同じ言葉を三度、レイアは繰り返した。

レイラ……まさか、君は僕のことを、忘れてしまったの。


それが彼の、この世での最後の言葉となった。

刹那、傘の水滴を切るような、鮮やかな水音が散った。
満月が闇を支配する静かな夜、墓場には赤い血の気配が満ちていった。

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