Ⅲ 色を失いつつある満月の下で
そして次の満月の夜。
ジョンはわたしを引き連れ、レイラの眠る墓場へと向かった。

今度こそ……レイラ……待っていてくれ。

道すがら、ジョンはわたしには目もくれず、奇妙なことを呟いていた。

鏡のように白い満月が闇を照らす夜。静謐な空気が、墓場には満ちていた――。

ジョンはレイラの墓石のそばに魔法陣のようなものを描き、黒猫の死体と月桂樹の枝を置く。
奇妙な仕草でその魔法陣の周りを歩きながら、禍々しい悪夢めいた呪文を唱え始めた。

五分ほどたっただろうか。
ようやく儀式は終演を迎えたらしい。

ジョンは組んだ手を、色を失いつつある満月にかざすと、ぎゅっと目をつぶって祈りを捧げる

それから、一分、二分、三分――。静かに時は流れる。

ふいに、墓場から大きな音がした。
さっきまで変化のなかった土が、盛り返されている。

な、なんだ、あれは……!?

Ⅲ 色を失いつつある満月の下で

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