出雲にホヒを派遣してから、3年もの歳月が流れていた。
アマテラスは、来る日も来る日もホヒからの連絡を待ち続けたが、連絡は一向に届かない。それどころか天浮橋(アメノウキハシ)から見る出雲はさらに栄えたように見えた。
しかも『出雲で、ホヒがオオクニヌシの後を金魚のフンみたいにくっついて回ってるのを見た!!』なんていう噂まで届いてくるじゃないか。
出雲にホヒを派遣してから、3年もの歳月が流れていた。
アマテラスは、来る日も来る日もホヒからの連絡を待ち続けたが、連絡は一向に届かない。それどころか天浮橋(アメノウキハシ)から見る出雲はさらに栄えたように見えた。
しかも『出雲で、ホヒがオオクニヌシの後を金魚のフンみたいにくっついて回ってるのを見た!!』なんていう噂まで届いてくるじゃないか。
あの子、オオクニヌシなんかに媚て国づくりを手伝ってるってこと??
アマテラスの怒りは日に日に増していった。
んあーもぉっっ!!!!
ホヒは何やってんのよっ!オモヒカネっ!ちょっと、コレどーゆうこと??
えっ、私ですか?
オモヒカネは、あからさまにご機嫌ナナメのアマテラスに捕まってしまった。
彼女の隣に座っていた父親の高木に助けを求め視線を送ったが、
にこっ。
っと、無言でかわされてしまう。
更にアマテラスは般若のような形相で睨んできた。
あんた以外にオモヒカネがいるの?
いやっ ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ そうですね。 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ホヒは出雲に住み込んじゃったのかな??素敵な場所ですもんね。出雲。
あー違うっっ!!
アマテラスは、別に出雲を手に入れたい訳じゃなかった。葦原の中つ国を天つ神に治めさせたかったのだ。
そのためにどうしたらいいのか聞いてんのっ!!
彼女は不機嫌にオモヒカネをまくし立てた。
まずい。これ以上、怒らせると危険だ。
と感じたオモヒカネは必死に頭をフル回転させた。
え ・ ・ ・ えっと ・ ・ ・ じゃあ、次はアメノワカヒコとか?
なんか、適当に言ってない??
まさかっっっ!!!
アマテラスの息子ではないけれど、彼は野心家だし、仕事もよくできます。
ホヒよりも、押しが強いから、ちゃんと交渉できるのでは?
なるほど ・ ・ ・ ・ ・ ・ うん、いいわね!!それでいこう!!
アメノワカヒコー!!!
ワカヒコー!!いるーー!?
しばらくすると、見るからに誠実っぽそうな好青年が入ってきた。
・ ・ ・ はい、呼びました?なんでしょう。
早速、事の次第を伝えると、ワカヒコは
お役に立てるなら。
と快く任務を引き受けてくれた。アマテラスは念のため、鹿を一発で射抜けると言う、天麻迦古弓(あめのまかこゆみ)と天波波矢(あめのははや)の弓矢セットを渡すことにした。
交渉がスムーズに進めば良いが、万が一のこともある。立派な弓矢を見ると、ワカヒコは気が引き締まった。
ワカヒコが出雲に向かうと、またオオクニヌシが出迎えに来ていた。
オオクニヌシはニコニコしながら出雲まで案内してくれた。
国譲りを頼みに来たって言うのに親切すぎないか?
ワカヒコの警戒心が強まる。
そして宮殿のこじんまりとした部屋に通されると、そこには豪勢な料理が用意されていた。
なんか、政治家とかが汚職の打ち合わせで使いそうな、料亭の個室みたいだ。ワカヒコの警戒心がさらに強まった。
・ ・ ・ ・ ・ ・ 随分豪勢ですね。
喜んでもらえたら嬉しいな。
すみません、狭い部屋で。
いえ。
いやー、実は、前回、ホヒさんがいらした時には、広い部屋に美女をたくさん用意していたんですけど ・ ・ ・ とっても真面目な方で、ドン引きされちゃって ・ ・ ・
フッ!!
なるほど ・ ・ ・ ・ ・ ・ 確かに、それはホヒさんらしいですね。
ワカヒコは美女に囲まれて硬直するホヒの姿が容易に想像できた。
だから、今日は2人だけにしてみたですけど ・ ・ ・ ・ ・ これでじゃあ、お客様に手酌をさせてしまう上に、花が無いので、僕の娘を同席させてもいいですか?
えぇ、もちろん。
それはよかった。それじゃ。
・ ・ ・ ・ おーい、シタテルヒメ!ワカヒコさんに、お酒持って来てー!!
はぁい!!すぐにお持ちしますね~。
隣の部屋から可愛らしい声が聞こえた。しばらくすると、ふすまが開き、酒を持った女性が入ってくる。ワカヒコは、彼女から視線を離せなかった。
こんなに美しい女性を見るのは初めてだったのだ。
その表情を見たオオクニヌシは、またほくそ笑む。
・ ・ ・ ・ ・ あらら。天照大神、ダメだよこんな若い子よこしちゃ。瞬殺じゃないか。これじゃあ勝負にならないよ?
さ、シタテルヒメ。ワカヒコさんにおつぎして。
はい ・ ・ ・ どうぞ。
ワカヒコは、緊張で手が震えた。
あっ、ありがとうございま ・ ・ ・ わっ!
キャ ・ ・ ・ ごめんなさい、こぼしちゃった。すぐに拭きますねっ!
いえっ、お構い無くっっ ・ ・ ・ !!
ワカヒコは、完全にテンパっている。オオクニヌシはくすくす笑いながら、詰みにかかった。
あちゃぁ~、娘がすみません。この子、おっちょこちょいなんですよ ・ ・ ・ ・ ・ ・
いえっ、私の手元が狂ってしまって ・ ・ ・ 。
いやいや。お気遣い、ありがとうございます。 ・ ・ ・ 実は、シタテルヒメも、そろそろ嫁に出してもいい年頃なんですけどねぇ~。
優しい方じゃないと、返されちゃうんじゃ無いかと心配で。まだ嫁ぎ先を決め兼ねてるんですよ ・ ・ ・ 。
そんな ・ ・ ・ 全国の男がこぞって喜ぶでしょうに。
そうですか?
僕としては、ワカヒコさんみたいな人にもらっていただけたら、安心なんですけどね。
ワカヒコの口に含んだ酒が、しぶきのように舞った。オオクニヌシの顔がその酒でベットベトになる。
へ?わ ・ ・ ・ 私ですか??
・ ・ ・ ・ ・ ・ いや、もし、ご迷惑で無ければ。と言う話です。
オオクニヌシは、おしぼりで顔を吹きながら答えた。
まさか!こんなに美しい方をもらって、迷惑な訳がない!!
えー。気に入っていただけたんですかー?
いや、それより、シタテルヒメさんは、私なんかでいいんですかっ!?
えぇ!もちろんっ!!ありがとうございます。とても嬉しい!!
シタテルヒメに事情を説明していたわけでは無かったが、どうやら彼女もワカヒコを気に入ったようだ。
うわぁー。これはめでたい。すごいやぁ。こんな運命みたいことって本当にあるんだなー。早速、祝言の準備をしなくっちゃーー。
最後の方、オオクニヌシはセリフを棒読みしていたが、ワカヒコはとっても喜んだ。こうして、次の日には盛大に結婚式を挙げ、オオクニヌシはまたしても高天原からの使者を引き込むことに成功した。
それから、あっというまに数年が経ち、ちゃっかり出雲に住みついてしまったワカヒコは、シタテルヒメとの子宝にも恵まれ、幸せに暮らしていた。
しかし、何年経っても高天原の脅威を忘れることはでき無かった。アマテラスはそのうちまた出雲に使者を送ってくるだろう。3度も交渉に失敗しているんだ。次は武力で攻めてくるかもしれない。
だが、出雲には高天原に対抗できるほどの戦力があるとは思えなかった。いざとなれば戦わなければならないのに、オオクニヌシは戦向きじゃない。彼の息子にも兵をまとめられそうな人物はいない。
ならば自分が ・ ・ ・ ・ ・ ・
ワカヒコは次第に葦原の中つ国を自分で治めたいと考えるようになっていた。
結果的に高天原を裏切ることになってしまったものの、今は彼にとって、この生活が何よりも大切になっていた。
hissyさま ジュニアさま
コメントありがとうございます♡
このオオクニヌシさま、最近は大黒様として祀られてたりします(笑)
きっと、腹黒すぎて大黒様と同一視されるようになったんだ!!と妄想した結果、こうなりました( *´艸`)
大好きなワカヒコさんのエピソードが遂に公開されました
・:*+.\(( °ω° ))/.:+
タカヒコさんそっくりのワカヒコさんに惚れちゃう下照姫のブラコンっぷりに萌えますw
ナムルさま
コメントありがとうございますヽ(*´∀`)ノ
下照姫さん可愛いですよね♡
七夕の彦星が、ワカヒコと同姓同名だから下照姫を乙姫として祀ってる神社があって、それもまた萌えます(*´ω`*)
ナムルさんからしたら、んなこと知っとるわ!って感じでしょうけど(笑)