まくしたてるように怒鳴った男は去っていった。彼は何が言いたかったのか……二人にはまだ理解できていない。
……怜奈がどうしたっていうんだ?
……分からないのか
何も知らないんだな
とにかく、お前を優里奈に会わせるわけにはいかない
は?
優里奈は怜奈のようにはさせない
……どういうことだ?
お前の所為だ。お前の所為で怜奈は……
だから、何のことだ!
ま、まあまあお二人とも落ち着いて
お前は?
あ、えーっと、悟君の弟子?みたいな……
三宮悟が弟子を……?
ふん
何だよ
一匹狼と言われていた三宮悟が弟子など……お前も変わったものだ
知らない奴にそんなこと言われる筋合いはない
ところで、お前は怜奈の何なんだ?
さっきから偉そうなことばかり言って……
怜奈は俺の弟子だった
は?
というより……怜奈を舞台女優としてプロデュースをしたのは俺だ
……女優?
……そうか
女優って……さっぱりわかりません
それなのに、お前の所為で
だから、俺がどうしたっていうんだ!?
怜奈は舞台女優を辞めた
え……
お前の所為でな
俺の所為?
……一体俺が何をしたっていうんだ……?
優里奈は、怜奈の後継者だ
後継者?
怜奈の代わりに舞台に立つ女優を俺は探した。そして目を付けたのが優里奈だ
……
もう、優里奈に近寄るな!
特に……人形なんて女々しいものは持ち込むな!
うわっ
まくしたてるように怒鳴った男は去っていった。彼は何が言いたかったのか……二人にはまだ理解できていない。
悟君、何をしたんですか?
……知らない
怜奈さんって誰ですか?
……お前には関係ない
教えてください!
……
それが分からない限り、優里奈ちゃんにも近づけません
……怜奈は
大学時代の……知り合いだった
そして悟はやっと口を開く。彼の過去、怜奈という人物、そして彼が人形師を始めたそのきっかけを。