グルメレポート第二話 守れ、食文化!

全国2000万人(公称)の愛読者の皆様!

お待たせいたしました!

カルロ・ゼンと愉快な仲間たちがお送りするグルメレポート!

第二話をお送りいたします!

本日のテーマは……ええと、食文化?

はい、今回お届けするのは日本の食文化についてです。

近年、食の欧米化が進み例えばご家庭の朝食は白米からパン食へと……

あれ、意外とまともですね。

てっきり、変なことをやるのかと……。

失礼な。グルメレポートだからといって、お店や料理の紹介ばかりではなく、食文化の根本へ紳士的に向き合うものです。

これこそが、正しいグルメの愛好家!

おお!

というわけで、今回は日本の食文化の危機的状況について皆さんに警鐘を鳴らします!

となると、やはり、パン食の影響でしょうか? それとも、和食業界の後継者不足などの問題について?

何れも深刻な問題であることは否定できませんね。

……?

ですが、より深刻な問題があります。

なんと!

あ、お魚嫌いとか、食育とかですか!?

良いところをついていますが、まだ少し遠い。

では、早速、VTRを見てみましょう!

バルカン化、という言葉をご存知ですか?

歴史的な文脈で語る場合、歴史的な……

ストップ! ストップ! 番組が違う!

はぁ、ここからが楽しいところなのですが。

おい、こいつを連れ出せ!

大変失礼致しました。

ええと、はい、私が代理です。本日は……ええと、『ブリテン化する日本の食』についての警鐘を。

ブリテン化する日本の食!?

い、いったい、それはなんなんですか?

そうですね、まず『食』というのは『ある種の生活様式』や『文化』と密接に関連しているのはご存知ですか?

えーと、ああ、タブーな食材があったりするってことですよね?

ええ、その通りです。

イスラム教の方は豚がダメですし、ヒンズー教の方は牛がダメとかありますもんね。

あ、変わったところだと『きのこたけのこ』……

それ以上はいけない!

えっ?

うん、それ以上はいけない!

と、ともかく、食文化というのは特徴が出るんです。

そういうものなんですね?

例えば、中華料理をみてみましょう。これが一番分かりやすい。

ええと、それはどういうような?

皆さんは、中華料理でナイフとフォークを使いますか?

うーん、言われてみれば……レンゲとお箸?

そうですよね。

そう! まさに、そこです。

中華料理は、お肉もお魚も満遍なく使います。

八大菜系とか、細かいことはやらないんですか?

分類は、学者先生にでも任せましょう。私たちは、グルメレポーターですからね。

はぁ。

とまぁ、ここで一つ。お肉料理、西洋料理だとナイフとフォークですよね?

そりゃ、ステーキをナイフなしで食べるのは難しいですよ……。

お肉を自分で切るわけですからね。……でも、中華料理のときは?

あれ? そういえば……中華料理でお肉を食べるときは……?

そうなんです。中華料理のお肉は、だいたいが『一口』サイズにきってある

まぁ、そうでないのもありますが……。

傾向としては、お箸で食べられるようにカットされていますね!

ええ、これは日本や韓国、ベトナム、東南アジアのお箸文化圏に似た傾向ですね。

これはどうしてなんでしょうか?

刃物は、『料理人さん』以外、食卓に持ち込まないということです。

あれ? この流れ……、前もどこかで……。

ああ、いや、その。誤解されるといけませんね。

食べ方、にもそれぞれの文化がある、というだけのお話です。

なるほど。

ところで、それでどうして、今回は『ブリテン化』というお話に?

大変、良い質問ですね!

こちらを、ご覧ください。

フォーク?

ええ、フォークです。

ええと、フォークが何か? あ、これで人を殺せるとかですか?

……あの、これはグルメ・レポートなんですよ? なんだって、そんなことを?

理不尽だ。

は?

ああ、なんでもありません。

では、続けましょう。このフォーク。文化圏ごとに使い方が全く違うんです。

え!?

フランスを初めとするグルメな国々では、フォークの『腹』にモノを乗せるんです。

あれ?

背中に乗っけなさいって教わった記憶がありますよ?

日本と、欧米じゃ違うんですかね?

悲しいことに、違います。

えーと?

フォークの背中に、食べ物を乗っけるのは『英国式』です。

ぱーどぅん?

食事作法の英国面です。

……あれ?

マナーにも、イギリス式、フランス式、アメリカ式と諸々ありますが……。

に、日本では『英国式』が幅を利かせている……と?

その通りです。さらに、宜しくない兆候が溢れています。

ぐ、具体的には?

そうですね。……『昔は良かった』という言葉をご存知ですか?

ええと、過去の栄光に浸るピーですか?

悲しいことに、大英帝国の落日を嘆く声は絶える事はありませんからね。

それと同じぐらい、日本でも、『昔は~』と……

おい、ばか、止めろ!

あの……三人目ですよ!?

大丈夫なんですか、この、ええと、グルメ?

フルシチョフ【代理】

勿論ですよ! ええと、それで……。

食文化の地理的特性……、ですか?

フルシチョフ【代理】

ええ、例えば稲作ができる地域と、出来ない地域では食文化が違ってきますからね。

おお、まとも!

フルシチョフ【代理】

それと同じで、内陸部と沿岸部の食文化が違ってくるのも道理ですよね。

うんうん。

フルシチョフ【代理】

この点で、島国である英国と日本には共通点が無きにしも非ずです

えっ?

フルシチョフ【代理】

『島国』で、『昔は良かった症候群』が蔓延していて、『マナーに代表されるもの』が『英国面』の影響を受けている!

フルシチョフ【代理】

まさに、これは、食の『ブリテン化』といえるのではないでしょうか!

な、なんだってー!?

あの、無理がありません?

フルシチョフ【代理】

ええ、仰る通りかもしれません。

えっ?

フルシチョフ【代理】

でも、言下に否定できなかったでしょう?

フルシチョフ【代理】

その心の緩み。狙われています!

無理やりだ……。

フルシチョフ【代理】

守ろう、日本の食文化!

番組からの大切なお知らせです。

この物語は、特定の国家、文化、宗教等を辱める目的はありません。

ごめんね、ブリテン。

フルシチョフ【代理】

でも、ヴィクトリア朝のレシピとかみるとむりぽ。

最近は、美味しくなっているんだよ!

フルシチョフ【代理】

比較対象の問題……

そいつをつまみ出せ!

ご愛読ありがとうございました!
食文化に対する眼差し、変わりましたね(`・ω・´)

第二話 守れ、食文化!

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