第三話 ブルジョワ的食生活のススメ!

フルシチョフ【代理】

全国200万人(公式見解)の愛読者諸君、ごきげんよう。

こんばんわ。

よろしくお願いします。

フルシチョフ【代理】

カルロ・ゼンと愉快な仲間たちによるお役立ちグルメ・レポートもついに第三回です。

お役立ち?

イエス、お役立ち。

フルシチョフ【代理】

そういうわけで、今回は趣向を変えて……『ブルジョワ的』な食生活をご紹介してみましょう!

ぶ、ブルジョワ?

つまり小金持ち的なグルメライフってことですか?

フルシチョフ【代理】

その通りです! 庶民の食文化とは一味違うものですよ!

おお、何時になく煽って行くいくスタイル!?

だ、大丈夫なんですか? これ、公開できます?

フルシチョフ【代理】

問題はありませんとも!

本当に?

フルシチョフ【代理】

勿論です。トラストミー。

いいですか? ブルジョワ的食生活とはずばり!

ずばり!?

フルシチョフ【代理】

焼くことです。

はい?

フルシチョフ【代理】

焼くことです。

あ、難しくて分かりませんか?

いやいやいや、分かりますよ、さすがに焼くぐらい分かります。

フルシチョフ【代理】

本当に?

馬鹿にしないで下さい!

当たり前じゃないですか!

フルシチョフ【代理】

なんてことだ。このグルメ・レポートは何時の間にかブルジョワに占領されたようですね!

あの、幾らなんでも無理がありませんか?

フルシチョフ【代理】

いやいや、これは、国民の声、『世論』を調査した厳密な結果ですぞ!

世論調査でも行われたのですか?

フルシチョフ【代理】

ノン! そんな恣意的な調査はしません!

……?

フルシチョフ【代理】

権力の監視機構! 真実の探求者! ジャーナリズムを体現する新聞を君達は読んでいないのか!

はい?

フルシチョフ【代理】

うーん、これが活字離れってやつか……。

違うと思いますが?

フルシチョフ【代理】

新聞に、牛肉や豚肉を生肉で食べるのは庶民の食文化だって書いてあったでしょう?

おい

フルシチョフ【代理】

規制とか、政府、マジありえないわ。庶民文化潰すとか、ありえねー的な論調、読んでないの?

あの、そこらへんで……

フルシチョフ【代理】

すごい危ないんですよね。牛もなんですが、豚の生肉。いや、書いている連中は『似非』庶民派だから食べないんでしょうが……

放送事故だぞ! 止めろ!


しばらくおまちください。

お待たせいたしました。本日ご紹介するのは、CCCP特産の豚を使った『フルシチョフ風豚の丸焼き』です。

うわぁ、火がしっかり通っているのですね!

これは、なんていう名前ですか?

フルシチョフ風丸焼きです!

うーん、これがブルジョワ料理なんですか?

大変良い質問です。

火がキチンと通っている料理というのは、最近では当たり前すぎて逆に分からないかもしれませんが……

貴重なんですか?

ええ、その通りです。

それは、また、どうしてでしょうか?

うーん、例えば東京にはたくさんの人が住んでいますよね?

そうですね。通勤列車とか、たくさん混んでいますものね。

都市生活の課題は、『大量の人口』です。お料理だって、同じなんですよ。

……と、言われますと?

ガスも電気もないとき、どうやって煮炊きすれば良いですか?

やっぱり、炭とかでしょうか?

そうですね。お金があれば、炭を使えたと思います。

あ、でも薪とかもありませんか?

ええ、その二つです。木炭などの炭か薪。まぁ、煮炊きに石炭を使うところもありますが……。

最初は、どこも木と。

火力が命だ! といわれる中華料理にしても竈の燃料は木材ですからね。

……そうなると、火が通っているのがブルジョワ料理だというのは、ちょっと分かりにくいのですが……。

ここで、一つ古代ローマを見てみましょう。

古代ローマ!?

古代ローマの庶民は、まぁ、今の東京と同じですね。賃貸するにしても、土地が貴重で……狭い家なんですよ。

なるほど。……あ、わかりました! キッチンが狭いから外食する人が多いんですね。

そのとおり!

ということは、自宅で温かいものを食べられるのはブルジョワ……と?

うーん、厳密に言うならば、庶民の外食先であるバールで『火を使った料理』というのは結構制限されているんです。

な、何ででしょうか?

火事の問題です。

火を使うと、危ないからですか?

そのとおり。まぁ、流石に食堂で火を使わないわけにも行かないのでしょうが……。

こんな具合に、火の取り扱い一つとっても、ブルジョワとそれ以外の階層には歴史的な断絶があったんです。

ほへー。

というわけで、生肉を食べるのは食文化だ! と叫ぶ人々が出てくるのも……

やむをえない、と?

いえ、『完璧な無責任の権化』ですね!

あれ?

エスキモーやイヌイット、ああ、まあ呼び方は論争があるんですが……彼らのような食文化圏であれば話は別なのですが……。

文化が違うんですか?

というよりも、生肉として食べることを前提に『流通』していない肉を生で出す感性とモラルの問題なんです。

だいたい、庶民の味方というヤツほど敵ですからね。

おい、自重。

味方を自称する連中に踊らされるよりは、ブルジョワ的といわれてもお肉をきっちり焼きましょう。

おい、自重しろ!

っと、いけませんね。では、早速、しっかり火を通した焼き豚を召し上がりましょう!

本日のご紹介はフルシチョフ風豚の丸焼きです。

作り方はいたって簡単!

あ、ご注意を。豚が肝心です!

今回はプロレタリアートの希望の星、CCCP特産の新鮮な豚を使います!

内臓を抜いた豚の表面をきれいにしてください。

腹を開き、中にハーブ、塩、胡椒を適量詰めて下さいね。

ワンポイントです!

焼いていると油と一緒に、流れてしまうので少し多めにね!

でも、お好みで調味料を持ち寄るから下味なしもありですね。これは好みの問題かと。

後は、丸焼き用の棒にセットすれば準備は完了!

あとは、しっかり焼いてください!

さて、本日は実にグルメ的な感じですね。

ええと、まとめると?

はい、本日の約束は一つ!

豚肉は、焼こう!

ブルジョワって言われても、お肉は焼きましょう!

健康あっての、人生です。

美味しいものを食べられなくなっては、大変ですよ?

焼くことを覚えてくださいね。

豚の生食、ダメ、絶対!

如何でしたでしょうか? お肉に対する愛着があるにしても、やっぱり、焼かないと危ないですよ!

健康第一ですからね。気をつけてください!

あ、なんか、実にグルメっぽい。

第三話 ブルジョワ的食生活のススメ!

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