間違いなく、クマオはお花畑にいる。
それを私に言い出せないまま嘘をつき続けている。
「3月21日まで」と期限を決めたのは私。
その日までこのまま私には白状しないでやり通すつもりなのだろう。
後で聞いたところ、「どうしても言い出せなかった」とクマオは言った。
「言い出せない」。それほど私に気をつかいながらも、女と会うと我を忘れるほどに
楽しかったのだ。そりゃあそうだ。男盛りのクマオが長年、こんなおばさんと付き合い、セックスもしないで我慢していたんだ。
その頃、クマオからはそれまでになかった男の匂いがしていた。
男が男になる時のあの特有の体臭。
きっと今、10代の少年のように夢中でセックスしているんだろう。
女も終わった私にはどうすることもできなかった。