私の部屋は新館にあり、カードキーがないと
外部からは入って来ることはできません。

私は一旦、一階にある駐車場まで夫を迎えに行く事にしました。深夜の為、ロビーにはほとんど人がいませんでした。

下に降りて行くと、ちょうど夫の車が入ってくるのが見えました。

夫の車が駐車スペースに入ったと同時に
夫の側に駆け寄りました。

が…その顔は不愉快だと言わんばかりに
歪んでいました。

「車の中で話そう。乗って」

「そんな片手間に話すのは嫌。ちゃんと話そう。向き合って」

夫は困惑の表情を隠しません。

「いや、無理だよ。ここで話す」

何を言ってるのかと思いました。

大事な話だよ。私達家族、崩壊寸前なのに、
まるでついでの用事みたいに。

ホテルの部屋に入る事が何か問題でもあるの?
私達、まだ夫婦だよね。

話も車に並んでじゃなきゃできないの?
ひょっとして、それって
あの女に操を立ててるの?

色々な感情が一気に押し寄せてきました。

なんだかもう腹立たしいやら、悔しいやらを通り越してもう夫が哀れに思えてきました。

20歳も年下の女に洗脳されて、ひとの道さえ踏みはずそうとしている。

いや、いや…そんなクズ夫に執着している私も
じゅうぶん哀れなんだけど…

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