蓮夜はカフェで仕事しながら2年前のことを思い出していた。
恭蔵に気晴らしにバイトをすすめられて働きはじめて間もない頃。
角の客席にある女性が座ってるのがカウンターから目についた。
女性の背中は見るからに沈んだ空気を身にまとってて、蓮夜はなぜか気になった。
女性店員がコーヒーを運んでいったがしばらく口をつけずぼーっとしてるようだった。
結局顔を見ることもなく、店を出る後ろ姿を見ながら「ありがとうございましたー」と言った。
そして2年後の現在。
春雷と仲良く話す香穂をカウンターから見る蓮夜。
その後ろ姿は2年前に来たあの女性客となぜか重なって見えた。
あの女性は香穂だったのだろうか……。
そう思いながらチョコクロワッサンとグレープフルーツジュースを運んだ。