コミックコミックのダウンロード数はぐんぐん上がり、利用者もかなり増えてきた。
必然的に読者数も増えるが、それと同時に増えるのが読者のリアクションである。
多くの漫画サービスにあるように、コミックコミックにも読者の感想コメントが書ける機能があった。
大抵はファンからの応援メッセージだが、どうしても避けられないのがアンチの存在である。
漫画は所詮娯楽にすぎないのだから、気に入らなければ読まなければいい。
誰も強要はしていないし、好みじゃない漫画を読まなければいけない義務もない。
しかし世の中にはどうしても、誰かにケチをつけたり文句や悪口を言ったりして足を引っ張るのが好きなタイプの人間がいる。
それが匿名性だと、なおさらだ。
コミックコミックの利用者が増えるにつれて、所謂作品アンチ、荒らし、誹謗中傷を平然と行う読者も増えてしまった。
しかし幸いなことに、私の作品はそれほど人気がなかったのでアンチのターゲットにはされなかった。
中傷されやすいのは人気が高く読者の多い作品である。
有名税に近いだろうか。
コミックコミックのリリースから数か月、徐々に各作品でのアンチコメントが目立ってきた。
そんな中、読者の間である疑惑が生まれてきた。
コハル先生が指摘していたランキング制度の不正。これを読者も突っ込み始めたのである。
とある作品は非常にアンチが多く、回を増すごとにアンチからの不平不満や誹謗中傷に近いコメントが増えていた。
だんだんとその作品はアンチと荒らしの巣窟になり、ファンからの純粋な応援はほとんど見られないほどだった。
一方でアンチがほとんどいない、更新するたびに温かい応援コメントが付く作品もあった。
幸い私の作品には目立ったアンチや荒らしがいなかったため、純粋に作品を楽しんでくれるファンのコメントだけが寄せられた。
このように、同じアプリ内でも「アンチから叩かれまくっている作品」「熱心なファンに支えられている作品」
の明暗がはっきりと分かれるようになってきた。
ところが、アプリ内のランキングを見ると上位にあるのは常にアンチが多い作品である。
毎回ファンを楽しませているエンタメ性の高い作品に限って、ずっとランキングに入れず下位に固定されているのだ。
この現象に、読者が疑問を抱き始めた。
最初は業界人のコハル先生が疑っていた(と言っても、もしかすると別のアプリかもしれないが)
ランキング制度の不透明さ。これに読者も感づいたのである。
何故読者の不満が続出している不人気作品が上位で、読者を楽しませている作品が下位なのか。
純粋な作品人気ではないようなランキング順位に、読者からは
「不正がある」
「裏で操作している」
「読者の人気や投票がランキングの順位に反映されていない」
との声が上がり始めた。
この辺りから、少しずつコミックコミックに対する疑惑が大きくなり始めたのである。