バチバチバチッ!


私はカレー屋からお預かりした、それぞれのゲージに入ったハリネズミとヤマアラシの二匹と自室で睨みあい対峙しています。

『あの・・・・』

『うるさいわよ人間!!』

『そうよ!私達に関わらないで!針でチクチクしちゃうわよ!』

『・・・・・・』
(チクチクしちゃうって・・・かわいく言ってるけどヤマアラシの針はシャレにならないと思うんだけどな・・・・)

目の前で騒いでいる迷惑な動物はハリネズミとヤマアラシ・・・・。

ハリネズミは体長10センチくらいで手の平サイズでかわいらしい・・・。
白褐色。

ヤマアラシは体長60センチくらい・・・。
結構でかい…。
真っ黒。顔だけ少し白い。

(こんなの外に出したら大騒ぎになるんじゃ・・・)

しかもケンカしている様です・・・。

先週ヘビッチを送り届けた際にガチムチ野郎から

【ヤマアラシとハリネズミも飼ってるが、お互いが入ったゲージを近づけると騒ぎ始める】

と言う本当にどうでもいい相談を受け、とりあえず預かる事になり車で連れてきてもらいました。

(なんで爬虫類の他に哺乳類まで飼ってるのよ・・・やめて欲しいんですけど)

相変わらず通訳不可能な奇声を上げて、ギャンギャン言い争いをしています。

『あのお・・・・お取り込み中申し訳ないんですが・・・』

【なにようるさいわね!】

二匹の声が見事にシンクロしていました。

『えっと・・とりあえず小さいお客様はハリッチで大きなお客様はヤマッチでいいかな?』

『は?私はちゃんとハリタンって言う名前があるわよ!』
(ハリネズミだからハリタンって・・・多分命名は妹ちゃんだよね)

『じゃああなたは?』

『私にはブラックホールって言う立派な名前があるわよ』
(なにそのネーミングセンス・・・・ガチムチ・・あんた・・・)

『・・・わかった。ごめんね。ハリタン、ブラックホール・・・』

『ところでなんで私はこんなチビでチンチクリンな奴と一緒にここにいるの?』

『それはこっちのセリフよ!でかいだけでとりえのない奴が何言ってんの?』

『あーはいはい。とりあえず冷静に話しさせて欲しいんですけど・・』

『じゃあ一旦カゴから出しなさいよ。せまっくるしいたらありゃしない』

『私はこのままでいいわよ。無駄に体がでかいと不便でかわいそうねー。全く何食ったらそんなにでかくなるのよ!』

『・・・・・・』

私はとりあえずハリタンとブラックホールをカゴから出して、ハリタンをベットの上に、ブラックホールをクッションの上に座らせました。

『あの・・・ブラックホールさん・・あなたの名前はえっと・・・とてもすばらしいのだけど、長いからブラッチで良いかな?』

『は?』

ブラックホールは背中のハリを全開に逆立たせて私を睨みつけてきました。

『いや・・・なんでもないです・・・』


5分後

(本当にいい加減にして欲しいんですけど・・全く終わる気配がない・・)
(一応何かわかったら連絡して迎えに来てもらう事になってるけど、いつ終わるかわかんないよ・・)

私は途方に暮れながら、ギャイギャイ言い争ってるハリタンとブラックホールを遠い目で見ていました。

(まあとりあえずハリネズミとヤマアラシの事でも調べてみるか・・)

私は耳栓をしてパソコンに向かいました。

(ヤマアラシはネズミ目に属する…ハリネズミは真無盲腸目…って何?……あ、モグラに近いのね…)
(て言うか、ネズミっぽくないヤマアラシがネズミの仲間で、名前にネズミが付いてるハリネズミがモグラの仲間って一体……)

(あ、やっぱりヤマアラシの針は危険なんだね…攻撃に使う時もある……え?ゴム製の長靴も貫ける?)

(とにかく怒らせたらかなり危険極まりないのね…)

(え?ヤマアラシの針って1本500から1000円で売ってたの?)

(ハリネズミの針は落ちた時のクッションになる…あーたしかに…)

(・・・・・とりあえず1匹づつ話し聞くしかないかな・・)

私はなんの興味もないトリビアを頭に叩き込み1匹づつ話をする事にしました

まずはハリネズミのハリタン。

ヤマアラシのブラック・・・はとりあえず自室で待っててもらい誰もいないリビングで話を始めました。

『ねえハリタン。なんでケンカばかりしてるの?』

『なんで?って、あいつ後から来たくせにモルタンにちょっかいかけたんだもの。当たり前よ』

『え?なに?そのモルタンって?』

『私と仲良しの愛しの彼よ!』

『・・・・・・』

(・・・・・モルタンって事はモルモットかな?)

『そうなんだ・・・』

『そうよ!図々しいったらありゃしない!』

(なるほどね・・・痴情のもつれって奴だね・・)


そしてヤマアラシのブラック・・・。

ハリタンはゲージに入れてとりあえずリビングで待っててもらってます。

『ねえブラックホール。なんであなた達はケンカばかりなの?』

『は?あいつが私の好きなモルタンを自分の物だって言い張るからに決まってるでしょ?』

(やっぱり・・・・こりゃ無理だよ・・修復不可能だよ・・)

『あなたは恋した事あるの?まあ、その様子じゃないでしょうね・・』

『まあ・・・ない・・けど・・』

『ほらね!だったら部外者は口を挟まないでちょうだい』

(あんた達・・・世の中の楽しみは恋だけじゃないと思うんだけど・・)

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