●相談内容
飼い主が見つからなくなった(恐らく捨てられたと思います)ので探して欲しい。
でも家に帰れたとしても、またヘビとケンカするのは嫌だからどうしたらいいか?

訳がわかるようでわからない相談をされ、とりあえず今後どうするかの話を聞くため
私、加納友美の部屋にやってきたマングース(多分)のイタッチ。

『とりあえずそこにいて』

私は机の上にイタッチを下ろして、まずはパソコンを起動。本当にマングースなのか?だとしたら正式種名を調べる事にした。

『あのーすみません・・』

『なあに?』

『申し訳ないのですが、おなかが空きました。あと水も・・・』

『あーハイハイ』

私はとりあえずお皿に水を入れて、冷蔵庫にあった鮭フレークを小皿に入れてあげる事にしました。

『あのーすみません』

『なあに』

『これはなんでしょうか?』

『え?・・・えっと魚だけど』

『私はこれは食べれません』

『は?』
(あれ?ネコ科でしょ?魚好きなんじゃないの?)

『ごめん、ちょっと待って・・』
私はようやく立ち上がったパソコンで調べ始めました。

(・・・以前はジャコウネコ科に属していたが、現在はマングース科として独立している種)
(どちらかと言えばハイエナに近い・・ミーアキャットもその仲間・・)
(食性は昆虫、鳥類、ネズミ、カエル、卵・・・その食性は多様である・・)
(基本的に肉食って事ね・・あ・・魚書いてないな)

『ごめんごめん』
(多様な食性なんだから魚もチャレンジしてみればいいのに・・めんどくさいなー)

私は冷蔵庫に行き食べられそうな物を漁りました。

そしてすかさずスキル【友美さんの三分クッキング】を発動。

(ネズミ、カエルなんて無いしな・・卵は・・なんか机の上が悲惨な事になりそう・・昆虫・・そう言えばイナゴの佃煮があったな・・いや、味が濃いとか言われそう・・鳥・・そうだ煮物の残りの中に鶏肉が入ってたなー)

とりあえず煮物の残りの中から鶏肉だけを取り出しあげる事にしました。

『はい。これで我慢して』

『なんかすみません・・』

イタッチはモシャモシャまずそうに食べていました。

(さてと・・・とりあえずイタッチが何マングースかを調べないと・・)

(やっぱり・・飼育は許可制だけど駆除対象は事実上不可なのね・・)

(え?勝手に捕獲しても違反なの?まあでも捕獲じゃないし。イタッチの意思で来たんだし・・)

(ん?・・コビトマングースって種はペットショップに売られていた事がある・・か・・)

(うーーん。確かに似てるな・・。見た目はそうだけど、他の種も似てるのいるなー。あ・・そう言えばイタッチは小さいな・・やっぱりコビトマングースだ)

『ありがとうございます。お腹いっぱいになりました』

『それはお粗末さまでした』

『ところで私はこの先どうすればいいんでしょうか?』

『あーそうだったね。で、イタッチはどうしたいの?』

『はい・・帰りたいのですが、ケンカさせられると思うと・・』

(話が進まないなー)

(仕方ないよね・・本当の事話すしかない)

『あのね。イタッチ。よく聞いてね』

『あ、ハイ』

『あなたはマングースって言って、許可がないと飼ってはいけない動物なの』

『はい・・』

『それにあなたは多分飼い主さんに捨てられたんだと思う。夜中に森なんかいかないでしょ?
それにあなたを置いた後、飼い主さんはどうしたか覚えてる?』

『走ってました。それで付いて行く事が出来ずにはぐれてしまったんです』

『やっぱりね・・それはあなたを森に置いて飼い主さんは逃げてしまったって事なんだよ』

『そうですね・・うすうす感づいていました・・』

『だから、今のあなたは行く場所がないの』

『はい・・・でも外で暮らすのは嫌です』

『近くに動物園があるからそこに行かない?』

『動物園?ですか?』

『うん。そこならもしかして引き取ってくれるかもしれないから』

『ケンカさせられたりしないですか?』
(よっぽど、ヘビとの戦いがトラウマだったんだろうな・・)

『大丈夫。昔はあなたの仲間とヘビ・・あ、ヒモみたいに長い生き物の事ね。ヘビがケンカするのを見て人間達が楽しんでいた頃もあったけど、それも今はないから安心して』

イタッチはショックを受けている様子だったけど、それも仕方ないと思います。

『わかりました・・じゃあそこへ連れてって下さい』

『わかった』

私はそのままイタッチをバックに入れて、動物園に行き事情を話しました。

動物園には私が動物たちと話が出来る事を知ってる唯一の叔父さんがいるからです。

『あれ?友美ちゃん。またなんか連れてきたの?』
(私は以前、迷子のよくわからない鳥をお願いした事がありました)

『あ、はい・・多分捨てられたマングースだと思うんですが・・』

『どれどれ?・・・うーん・・確かにマングースだね。友達の動物園にマングースいるからそこに連れて行くよ。でもこの子はちょっと小さいな』

『多分コビトマングースって種だと思います。昔はペットショップで売っていた事もあったんです』

『そうか、それなら許可もスムーズだな』

こうしてイタッチは叔父さんの友達の動物園に預けられる事になりました。


『じゃあイタッチ。元気でね』

『ハイ・・ありがとうございました』

『あのー・・・・・』

『なに?』

『本当にケンカさせられないでしょうか?』

『しつこいなー。大丈夫だよ。お願いしておいたから』

(マングースってコブラとかハブの天敵だよね?でも昔やってたハブ対マングースは20回に1回くらいの割合でマングース負けちゃうってネットに書いてあった・・でもイタッチはヘタレだね・・まあ女の子みたいだから仕方ないか?)

めんどくさかったのですが、その心配症っぷりに久し振りに動物がかわいく思えました。

マングースのトラウマ

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