「あ、返信来た」
『お返事いただきありがとうございます!詳しくは口頭でお話したいので、お電話番号を伺っても宜しいですか?』
「電話かぁ……」
多少抵抗はあったが、少なくともそれなりのサービスを手掛けている会社という事もあり、私は素直に電話番号を教えた。
数日後、先方から電話が来た。
「もしもし?山田です」
「えっ!?あ、やま、山田さんですか!?」
(な、なんでびっくりしてんだろ……)
「山田さん女性だったんですかー。いや、てっきり男性かと思いましたよー。作風が!」
「は、はい……。よく言われます」
「さて、弊社の漫画サービスについてお話を聞いていただけるとのことで、ありがとうございます。連載に興味があるってことですよね?」
「はい……。少し気になったので、詳しく聞かせていただこうと思いました」
「弊社が手掛ける新サービスですが、リリース前なので詳しい情報は話せません。今のところ決まっているのは、フルカラーで15コマ程度の漫画を週刊連載していただくという事です」
(15コマか。というと4コマ漫画を四本くらいかな。そのボリュームなら仕事の合間でもできるかも?)
「でもその……私完全に素人ですし、絵も凄く下手ですよ?」
「大丈夫ですよ!今声をかけている作家さんは、ほとんどがアマチュアです。プロ並みの作品というより手軽に読んで貰える作品が欲しいので!絵のクオリティは気にしなくて大丈夫です!」
「ほ、本当ですか……?」
なんせ私は美大卒でもイラスト系の専門学校を出ているわけでもないので、絵についてはド素人だ。
ましてやフルカラー。私はほとんどアナログで描いていたため、ペンタブを使うのは不慣れであった。
一応持ってはいるが……。
「実は何名かに声をかけているのですが、思ったほどいい返事が頂けなくて……。個人的には是非山田様に連載して頂きたいのです」
先方は人材が集まらず困っているようだった。
こちらとしても、在宅でできる副業を探しているタイミングだ。
お互いに利害は一致している。
少し悩んだが、まずはチャレンジしてみてもいいかもしれない。
「ありがとうございます。興味があるので引き受けても宜しいですか?」
「本当ですか!?」
「はい。宜しくお願いいたします」
「では、審査のサンプル用に作品を数ページ納品してください!条件はフルカラーで、4ページ程度で構いません。あと、ストーリーがわかるようにプロットもお願いします!そちらを弊社で審査してから、正式に連載をお願いするかどうかを決めさせていただきます!」
「え?」
審査って、まだ連載が決まったわけじゃないんだ……。