喉を一突き。なんて清々しいんだろう。青年は口元に浮かぶ笑みを抑えながらも、その傷口に顔を寄せた。
そして、色の変わりつつある赤をうっとりと眺めながら思案を巡らせる。
――ちょっとばかり足りない。これだけでは不十分だ。例えば、もう少し喉を開いてみるのはどうだろう。鎖骨の方まですーっと線を伸ばし、少しだけ開いてみる。それから、この人は少し足が太いから削ってもいいだろう。胸部も無駄に大きい。だが折角だ、これは残しておいてもいい。
目の前に倒れる女の形の肉塊を自分だったらどうしたか、青年の頭にはそればかりが廻った。勿論今目の前にあるこれは青年の手によって作られたものではない。彼はただそれを眺めているだけだ。