しき

活動再開しますか

ふゆの

そうね
では改めて言うわ
私達のチャレンジ科目は
文字での意思疎通をより効率化させることよ

しき

そんな話でしたね

ふゆの

文字での会話は
考えをまとめ、無駄をそぎ落とし
伝えることを目的とした際には
とても優れた手段だと思うの

ふゆの

文字での意思疎通を
より効率化させるためには
伝達率、伝達速度、認識率を
向上させる必要があるわ

ふゆの

もちろんそのためには
訓練が必要になるのだけど

ふゆの

文字で意思疎通の効率化を
究極まで進めることが出来れば
僅かな文字で高速に互いの意思が
通じ合うはずよ

ふゆの

可能であれば
文字からも開放され
出来るだけ情報に頼らない方法で
意思疎通を目指したいところね

ふゆの

例えば、今でも
会話はせずに、表情やしぐさから
意思疎通を行うことが出来る人がいるわ

ふゆの

親しい間柄では
日常的に行っている人も少なくないはずよ

ふゆの

いずれにしても、五感を使用している間は
私達の目指す最終到達地点としては
まだまだね

ふゆの

私達がより先に進むためには
もっと別の方法
相手を想うだけで意思疎通を行う
必要があるわ

ふゆの

そこまで辿り行けたなら
ようやく私達はテレパシーを
使用できる人間
テレパシストになれるのよ

しき

はい?

ふゆの

テレパシーを身につけるには
相当な時間がかかるわ

ふゆの

だから、まずは第一段階である
文字での意思疎通の効率化が
私達のチャレンジ科目となるわ

ふゆの

早速だけど
伝達率、伝達速度、認識率を
あげるにはどうすればいいかしら?

しき

なんの話でしたっけ?

ふゆの

いきなりすべてをこなすのは難しいわね

しき

あのー

ふゆの

まずは
少ない情報で相手の意思を汲み取るため
認識率をあげてみましょうか
これだけでも
とても効果はあるはずだわ

ふゆの

訓練のためには多くの人の言葉を
集めたいわね
できれば
本音と建前がかけ離れているものを

ふゆの

そうだわ
本音と建前がかけ離れている
最適でありふれた言葉があるじゃない

しき

僕の文字ミュートされてるのかな?

ふゆの

それは、人の悩みよ
人の悩みは尽きることはないと思うし
とても良いと思わない?

しき

集めようと思って
集まりますかね?
悩みって相談しやすい人に
聞いてもらうと思うんですけど

ふゆの

確かにそうね
人は相談するとき
家族、恋人、友人に
話すことが多いでしょうね

ふゆの

でも、全く知らない人だからこそ
打ち明けられるってこともあると思うの

ふゆの

冗談や冷やかしでもいいから
みなさまのお悩みを集めてみましょう

しき

冗談や冷やかしならいいですけど
本当の悩みが来たら
僕らでは手に負えない可能性もありますよ

ふゆの

確かに、上辺だけの言葉を送ったところで
相手のためにはならないでしょうね
でも、私達も本気で
相手とぶつかりあえば問題ないわ

ふゆの

私達の目指すべきところはテレパシストよ
本人もまだ気づいていない内なる悩みを
建前の言葉から見つけ出し
そっと伝えることなの

ふゆの

受け取った言葉で
どのように行動するかは
本人の意思よ

ふゆの

私達は預言者ではないから
結果がどうなるかまでは分からない
それでも、送り出した言葉で
自身の悩みに気づけたなら
それが私達に出来る最善よ

しき

そう、ですかね
はは

ふゆの

じゃあ、しき君にはWEBサイトの作成と
SNSでアカウントを
作成をお願い出来るかしら?

ふゆの

サイトとアカウントは出来たかしら?

しき

はい、一応

ふゆの

いいわ
悩みを打ち明けてもらうためには
周知が必要ね

ふゆの

適当に掲示板で告知したり
SNSアカウントでコメントや
フォローをしてもらえる?
できればこの学校の生徒に
近付けるといいんだけど

ふゆの

お悩み募集は長期戦になるわ
チャレンジ科目の授業中だけでいいから
お願いね

ふゆの

次にやることは
このチャレンジ科目を
部活動にまで昇格することを目指すわ

ふゆの

目標を達成するためには
長い時間がかかると思うの
継続して活動するには
それなりの場所が必要となるわ

ふゆの

そのためには、人数を集め
チャレンジ科目で実績のある活動報告をして
先生の承認を受け
部として活動することを目指すわ

しき

へー、ここから部活動になることも
あるんですか?

ふゆの

ええ、過去に
いくつかの部活が設立されたわ

ふゆの

まずは同好会にまでいければ
放課後に教室を使用できるようになるから
そこを目指すわ
頼んだわよ、しき君!

しき

え? は、はい

しき

そういえば
先輩はどうして僕がTHE 博識だって
知っているんですか?

ふゆの

あら、覚えていないかしら

ふゆの

まだ
私もあなたも中学生のときだと思うわ

ふゆの

私、あなたに助けてもらったことがあるのよ

しき

そうなんですか?

ふゆの

あれは、今のようにまだ春先だったかしら

ふゆの

春休みで浮かれていた私は
手持ちのバッグを猛烈に振り回していたわ

ふゆの

そのとき、運悪く怪しげな男に
私のバッグがぶつかってしまってね

ふゆの

どうしようもない
言いがかりをつけられたわ

しき

言いがかり?

ふゆの

そのときだったわ

ふゆの

さっそうと私の前に現れて
あなたは私にスマートフォンをかざしたわ

ふゆの

「ここは俺がなんとかするから
君はすぐに逃げるんだ!
俺のことなら心配いらない
俺はやつの心が読めるからな!」
と文字を入力したスマホを見せられたわ

しき

ぐっは

ふゆの

そこには堂々たる
THE 博識のアカウントが刻印されていたわ

ふゆの

しびれたわ

しき

戒めか!
今なお、僕の体に電気を流すなんて

ふゆの

助けてもらったことだけではなく
まさか君が伝説のテレパシスト
THE 博識だったなんて

ふゆの

私は君に出会う前から
THE 博識にはお世話になっていたの

ふゆの

それから、必死であなたを探したわ
けれど、THE 博識からの情報だけでは
あなたにたどり着けなかった

しき

あのトラブルの原因
先輩のせいだったんですか

ふゆの

それは、言いがかりよ

しき

でも、ケガとかはなかったんですね
よかったです

ふゆの

うっ
良心がきしむ音がするわ

なつき

よう、しき

しき

なつきさん

なつき

どうだ、ふゆのとは
それなりに話しているか?

しき

それなりに、文字だけですけど

なつき

そうか
あたしはあいつには文字だけでなく
声に発してもらいたいと思っている

なつき

文字だけだと
あいつの表情が見えないときがあるからな

なつき

それに

なつき

どんなに言葉で見繕ったって
声が震えていたら
ほっとけないだろ

しき

なつきさん!

なつき

そんなわけだから
お前も協力してくれ

しき

はい! がんばります!

なつき

あたしの考えでは
仲良くなればそれなりに
話せるようになると思う

しき

でもこの間は
なつきさん、会話の最中に
寝てませんでしたか?

なつき

あ、あれは前の日の部活で
異常に疲れてたんだよ

なつき

それに、2人のときは
もう少し会話のスピードあるしな

しき

そうなんですか?

なつき

ああ
前はあそこに、お前もいただろう

しき

そうですね

なつき

そうなると、ふゆのは
余計なことを考えてスピードが遅くなる

なつき

とりあえず
チャレ科は通常の授業と同じように
1時間あるし
ゆっくり話してやってくれ

しき

分かりました

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