友人の彼女が所謂メンヘラ、ヤンデレというものだったそうだ。
「怖いのなんのって。夜中に連絡が来たかと思えば寂しいって。そんなん寝てるから気づかないじゃん?そしたら血まみれの腕の画像だぜ!気づいて気づいてーってどんだけだってーの」
そう話す友人は些か自慢げで。満更でもないのだろう。そんな言葉をふんふんと聞き流しながらふと考えたことがある。

ぬりかべというものはこんにゃくに似ているということだ。そんな俺は妖怪が好きなわけだがそんなことはどうでもいいのだ。本題は三日ほど前のことになる。

同じ教室内に可愛い子がいるとは思っていた。だから特に何かというわけはなく、ただ、可愛いと思っていた。後、微妙な髪色をしているなとも。どこで染めたんだろう。自分で染めたのだろうか。自分で染めたなら何て色の奴買ったの?そもそもなんでその色にしたの?なんてことを考えていながら眺めていたら彼女が落し物をした。拾って届けてお礼を言われてついでに聞いた。なんでそんな色にしたのかと。

似合わない、かな…

その声というかしぐさというか喋り方、表情、どれを取ってもよかったというのが感想で、つまりは好みだったわけだ。それからよく話をするようになった。昨日のテレビの話だとか勉強の話だとかそんなことを。仲が良くなるにつれて、彼女を恋愛対象としては見れなくなった。それは彼女も同じようで俺のことをいい人だと思うという評価をしていた。いい人いい人どうでもいい人ということだろう。

彼女はババロアのような子だ。というのは嘘で俺の今の気分がババロだ。ババロアが食べたい。イチゴと生クリームの乗ったやつ。ミントだかマントだかよくわからない葉っぱは食べない。

とにもかくにもしばらく彼女とそういう関係が続いた。昼食を一緒に取ったり校内ですれ違えば手を振った。良い友人関係というやつだ。けれどいつも一緒だとか本当に親しい友人とはまた違う。冒頭、わけのわからない話をしていた彼こそがよくつるむ友人の一人で今どきの人間という雰囲気だが実は人見知りというやつだ。後、うるさい。勿論、彼女にも休日遊ぶような友人がいるらしかった。

話が戻るが、そう、三日ほど前だ。偶然にも、いや、もしかしたら狙ってたのか。初めて会話をした教室で彼女と二人きりになった。だから何だということもなく他愛のない会話をした。駅の近くのケーキ屋さんが美味しいとか最近寒いだとか。

しばらくしてのことだ。静けさが戻った教室内で彼女が薄ピンク色の唇を開いたのだ。ぎこちない笑顔を作って、ねぇ、と声を出した。

ずっと後になっていいから、私に心臓をちょうだいね

たくさんの疑問が湧き出たし、それは一つも消えることなく三日経っても俺の中にあるわけだが、とりあえずひとつ。








彼女は何と分類される人間なんだろうか?

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