道化は霧の灯台の前に立つ。
厳重に鎖で閉ざされた入り口。道化は錠前ではなく、無数に束ねられた鎖に手を添えた。鎖の一本に指を絡ませ、すっと撫でる様に手を滑らせる。
すると、ぱちん、と爪を切ったような音がして、鎖が一本地面に落ちて、じゃらりと擦れる音を立てた。
ぱちん、じゃらり、ぱちん、じゃらり、繰り返す単調な軽い音。
やがて、鎖は人を阻む役割を失い、道化は僅かに残った鎖を潜って灯台の中へと踏み入った。

鎖を切る道具でも持っているのだろうか。

『霧の殺人鬼』は後ろを気にする様子もなく、灯台へとふらふらと入っていった道化の背後で、目を細めた。

『存在』と引き替えに、『赦し』を与えん。
あの日俺の目の前に現れた『かみさま』と、『ゆびきり』したその時から、俺は『とくべつ』になった。

俺は普通の人間だった。
先の見えない霧の街に生まれ育ち、大人になってからは『あかり灯し』として生きていた。『あかり灯し』は霧の特有の仕事で、霧の街のあちこちに設けられた道標の街灯に、火をくべて回る仕事である。『火の里』から分けて貰った消えにくい強い火を使ってはいるものの、消える時には火は消える。そんな消えた街灯を灯し、街を歩く人々の道標を絶やさないようにするのだ。
決して実入りの良い仕事ではない。地味で、退屈で、好きこのんでやる人間も少ない。寡黙で気難しい親方の元で、働いていたのは俺以外には一人だけだった。
それでも、俺はこの仕事にやりがいを感じていたし、誇りにも思っていた。

あかり灯しは街を広く練り歩く。人との出会いも多かった。
そんな中で見つけたひとつの出会い。
街灯の、火を包む硝子の器を作る職人がいた。硝子屋と呼ばれる彼には一人娘がいた。
硝子屋とあかり灯しの関係は深い。彼女と俺が会話を交わす機会も多かった。
慎ましく、それでいて人をよく見ていて、心優しい。何より笑顔の素敵な女性だった。
彼女に、俺が惹かれるのにそう時間は掛からなかった。
初めての事であった。普通という枠に収まり、惰性的に仕事に勤しみ、一歩外側に踏み出す気すら起こさなかった俺が、行動を起こしたのは。

安い給金を少しずつ貯めて、彼女に贈り物を贈った。
そして、彼女への好意を拙い言葉で伝えた。
彼女は少し戸惑って、しかし気恥ずかしそうに応えてくれた。

その日から、普通の日々は色を変えた。
これが幸せか、初めてそう思えた。
しかし、幸せはそう長くは続かなかった。

硝子屋は金を借りていた。俺がそのことを知った時、硝子屋はかなり追い詰められていた。金貸しは硝子屋と、その娘である彼女を虐げていた。
気付けば彼女は疲れ果て、塞ぎ込むようになっていた。
励ました。その度強がり弱々しく微笑む彼女を見るのが辛かった。
励ますしかできなかった。俺では金は返せない。彼女を救えない。

何もできずに憤った。それでも彼女を気遣い、耐える事しかできなかった。


そう、あの日までは。

金貸しが彼女を殴った。
瞬間、ぷつりと胸の奥で糸が切れた。
奴を許せない。報いを受けさせてやりたい。

もしも、許されるのであれば、殺してしまいたい。

そう『願った』とき、あいつは現れた。

どこか嫌味な笑みを浮かべて、まるで俺を値踏みするように見ながら、あいつは言った。

『その願い、叶えて欲しいかい?』

俺は頷く。どうして子供の戯言を、俺が間に受けたのかは今でも分からない。
ただ、あいつは、見た目こそ幼い子供だったが、何か信じるに値する奇妙な雰囲気を持っていた。

『君はその願いのために何かを支払う覚悟はあるかい?』

俺は頷く。
彼女の為ならば何も惜しくはない。彼女の笑顔をもう一度見るためならば、彼女を泣かせる奴らを消せるのならば、何を失っても構わない。はっきりと言い切る自信があった。

『君に赦しを与えよう。何をしても咎められない、赦しをだ。これから君は何を盗もうと、何を壊そうと……誰かを殺そうと、決して罪には問われない。裁かれる事もない』

ただし、とあいつは続ける。

『対価は支払って貰う。それは君の存在だ。君はこれから何をしても赦される代わりに、誰からも認識されなくなる。まるで透明な人間であるかのように、道端に転がる石ころのように、誰からも気に留められず、忘れられていく』

にやりと笑ってあいつは再度尋ねた。

『それでも、君は願いを欲するか?』

俺は頷いた。
俺がどうなろうと構わない。彼女を守れるのであれば。
その答えを聞いたあいつは、より一層楽しげに笑い、小指を差し出した。

『契約しよう。ゆびきりしたら成立だ。その時から、君は特別な人間だ』

小指を差し出し、俺は『かみさま』と契約を結んだ。

『存在』と引き替えに、『赦し』を与えん。

その日から俺は、『とくべつ』になった。

そして、俺の犯した過ちの大きさに気付いたのは、彼女の顔を見に行った後の事だった。

鼻歌まじりに道化が階段を昇る。後に続いて俺も歩き慣れた階段を昇る。
あいつは彼女に関わった。
そして、俺を追うと言った。

丁度良かった。殺さなければ。

間抜けな背中を見ながら思う。こんな奴に俺が見つけられるものか、と。
だから、気付かせてやる。
俺がここにいることを。『霧の殺人鬼』は居る事を。

灯台を昇りきる。道化が表に出た。
後はいつも通り、無防備な背中を押すだけだ。誰も気付けない。
彼女を傷付けたあいつも、彼女を疑ったあいつも、彼女に近付いたあいつも、彼女を奪ったあいつも、みんなみんな、簡単に殺せた。それと同じだ。

はてさて、『蛍火』とは如何なものか


灯台の柵から身を乗り出す。
その背中にそっと忍び寄る。
気付かれる筈などないと分かっていても、普通だった頃の記憶のせいか音を殺してしまう。問題なく近づけた。
ぐっと足に力を入れる。そして、勢いを付けて両腕を突き出す。流石に『存在』を失っていても、背中を押すまでしたならば気付かれる。だから一気に突き落とす。最初の経験から学んだ。

慣れれば簡単だ。直前まで気付かないあいつらは、力を込めて押せば踏み止まる事もできずに、勢いに任せて柵を乗り出す。後は頭から真っ逆さまだ。
ひっくり返って、あいつらは気付く。背後に俺が立っている事を。『霧の殺人鬼』が居た事を。
逆さまになった道化の顔がこちらを向いた。

さようなら


気付いた頃にはもう遅い。
次の瞬間、人間が頭から落ちたときのドサリという音が霧の中に響いた。
霧が深く見えないが、これで間違いなく死んだ筈だ。この高さから落ちて生きている人間などいない。

道化は俺を、『霧の殺人鬼』を探していた。
俺を探していた人間が死んだ。
これで鈍い街の人間も気付く筈だ。

『霧の殺人鬼』は、確かに『存在』するのだ。

忘れられてなるものか。奪われてなるものか。
俺の存在。俺の居場所。俺の築いた全て。
彼女の笑顔は俺のものだ。
その為に、彼女の為だけに、俺は『かみさま』に『願った』のだから。

く、くくく……あは、あはははは……


笑いが込み上げてくる。
俺はいつも通りに、踵を返しその場を立ち去ろうとした。

そして、出くわした。

……見つけた


彼女に。
灯台の天辺、階段を昇り終えてすぐの入り口の裏側。彼女はそこから姿を現した。
どうして?
灯台は鎖で閉ざされていた筈。鎖は灯台守の持つ鍵がなければ解けない筈だ。その鍵も、今は俺が持っている。今日使おうとして持ち出したものだ。
入れる筈がない。そもそもどうして彼女がここに。そしてどうして見つかった。
戸惑う俺を彼女はじっと見つめていた。
そして、彼女に続いて姿を現した少女が、ぽつりと虚ろに呟いた。

みつけた


少女は道化と一緒に居たあの少女だった。
道化に何かを耳打ちされ、得体の知れない女と共に、どこかに行ってしまった少女。
その後、一人行動を開始した道化を追っていたので、彼女が何をしていたのかは把握していなかった。
少女は一体何をしていたのか?
そして、俺はどうしたらいい?

俺は赦される筈だ。しかし、道化を突き落とすところを見られてしまった。

……殺すか? それとも、放っておいてもすぐ忘れるか?

確証が持てずに迷う。
あいつは、『かみさま』はそこまで詳しく俺に与えた『奇跡』について語らなかった。
俺は行動に迷い止まった。

その一瞬の間で、奴は動いた。

ダカダカダカと音がした。びくりとして振り返った。音がするはずのない、灯台の天辺を囲う柵の外側。
そこから霧を掻き分け、人影がびょんと飛び出した。

柵を跳び越え、宙でくるりと一回転して、スタンと灯台の天辺に降り立った、つい先程霧の底に消え居ていった筈の男。

ちょっと! 死んだらどうするんですか!


道化だった。

馬鹿な……!

馬鹿とは失敬な!


俺と会話している。どうして。どうして。どうして。どうして。
取り乱す俺に、道化は確かに視線を向けて、仮面で隠れた顔を軽く横に傾けた。

どうして、って顔ですね。そりゃあ、自分を殺そうとした……どころか殺した相手の事に気付かない筈がないでしょう?


それもそうだがそうじゃない。
どうして。どうして殺した筈のお前が生きている。
殺しても死なないというのか。そもそもお前は一体どうやってここまで昇ってきたんだ。こんなのおかしい。こんなの人間のできることじゃない。

化け物……!

失礼な方だ。私は化け物だなんて大層なものじゃないですよ


道化は口元に手を当てた。

私はしがない道化です


そして、道化は胸元に手を当て、顔だけを俺に向けてお辞儀した。

ただ、『死なない』というだけですよ


頭が真っ白になる。
『死なない』。
何を言っているんだこの男は。
そんな疑問に、実に分かりやすい答えが返ってきた。

……貴方と同じ、『ゆびきり』した人間ですよ


理解した。
この男は俺と同じ、『とくべつ』な人間だったのだ。
道化はお辞儀の姿勢を正す。すると、道化の仮面の留め具がぱちんと弾けて落ちた。

おっと


道化が慌てて仮面を手に取る。しかし、その素顔が晒される事は防げなかった。

見ちゃいました? まぁ、私も貴方を見たことですし、おあいこですね


愉快そうに戯けた声で言う道化。俺はそれを聞いてぞっとした。
何もあからさまな化け物がそこに居たわけではない。道化はむしろ整った顔立ちをしていた。

ただ、道化の声色と表情はまるで噛み合っていなかった。

道化は『全く笑って居なかった』のだ。

『笑顔』と引き替えに、『不死』を与えん


ぽつりと呟き道化は仮面を後ろにぽいと放り投げ、少女がそれを受け止めた。少女は仮面を小さな手で大事そうに抱えて、視線を仮面に落とす。
『不死』。俄には信じがたい、道化の『奇跡』を目の当たりにして、俺はぞっと背筋を冷やした。
道化は凍り付くような無表情で、愉快そうな声で言った。

私は笑えないんですよ

道化が少女に頼んだ事は単純だった。

依頼主様を灯台までお招きして下さい。そして、中で隠れていて下さい。後から私が行きますので、依頼主様と一緒に見ていて下さい。


少女は道化に言われた通りに、硝子屋の娘を呼び、灯台の鎖を解き、中に入った。
そして、言われた通りに硝子屋の娘と隠れ、道化を待っていたのだ。
道化が灯台を昇ってきた。少女と硝子屋の娘はそれを見つけて、声をかけに行こうとした。

その時、道化が突き落とされた。

いきなり落ちるにしては不自然な落ち方。誰かに押されたとすぐに分かった。そうと分かった時、犯人が居ないとおかしいと分かる状況になった時、ぼんやりと霧に浮かぶ人影を見たのだ。

道化の作戦は、彼にしか提案できないものだった。

私はわざと貴方に私を殺させたのです。貴方が何かに働きかける所は、流石に見えるのではないかと踏んでね。貴方は誰にも気付かれないが、殺した相手は認識されていた。貴方に関わる全てのものが、『忘れられる』訳ではないと思ったのですよ


道化が気付いたこと。それは『霧の殺人鬼』もまた、『かみさま』に『とくべつ』な人間なのではないかという事だった。同じ『とくべつ』な道化だからこそ、気付ける可能性だ。そして、死なない道化だからこそ、殺させるという方法を採れた。
有り得ない作戦だ。

馬鹿なのかお前は……!

馬鹿は死ななきゃ治らない。残念、私死にませんので馬鹿が治らないんです


真顔でジョークを飛ばしつつ、道化は軽く後ろを振り返った。視線の先は硝子屋の娘。自然と霧の殺人鬼の視線もそちらに向いた。

さて、ご依頼の通り、霧の殺人鬼は見つけ出しましたよ。とはいえ私は気の利く道化。見つけたからはいおしまい、とは言いません。貴女が笑える結末を。それが私のモットーですから


道化は娘に問う。

さて、どうしましょう?


霧の殺人鬼はびくりと身構えた。
仮面の下に隠された無表情、死なないという俄には信じられない『奇跡』、数々の要素に誤魔化されたが、目の前の男には他にも不審な点がある。
易々と鎖を外したのは、何か道具を使ったのかと思っていた。
しかし、『灯台の壁面を軽々とよじ登ってきた』ことから、霧の殺人鬼はある可能性を思い浮かべていた。

『傭兵の真似事をやっていた時期も』

霧の殺人鬼を探っている道化が、話していたのを思い出す。
道化は余所者。そして、傭兵の真似事をしていた。
『旅路の盾』という傭兵が集まる組合がある。
彼らは各地の間に現れる『危険』から『渡し人』を守るという。
霧の街から出た事のない霧の殺人鬼は、その『危険』がどんなものかを知らなかったが、絵本に出てくる怪物のようなものだとも聞く。
見上げる程の怪物を、その身ひとつで倒す傭兵が、『旅路の盾』には居るらしい。
もしも、この道化を名乗る男が、そんな人の形をした怪物と同類だとしたら。

壁を易々とよじ登った。灯台の入り口を封鎖する鎖も今思えば、力尽くで壊したのだろうか。
そんな相手に襲い掛かられたら、勝てる筈も無い。

霧の殺人鬼は、じりりと後ずさり、恐る恐る硝子屋の娘を見る。

彼女は霧の殺人鬼を忘れている。かつて恋仲だった男の事を覚えていない。
先月殺した、彼女の恋人としての立場を奪った、あの男の事で恨まれているかも知れない。報復を望むかも知れない。
縋るような目で、霧の殺人鬼は見た。

……


今にも泣きだしそうな、悲しい彼女の表情を。

彼女の笑顔が好きだった。
彼女を泣かせる奴が許せなかった。
だから金貸しを殺した。
だから彼女を疑う男を殺した。
だから、だから、だから、だから?

どうして俺は、あの男を、かつてあかり灯しの同僚であった、俺の代わりに、彼女の恋人となった男を殺した?

彼女は笑っていた。
あいつから婚約を約束されて。
なのに、どうして、俺はそれを喜べなかった?

彼女の為なら。

彼女の為に『存在』を投げ打った。
彼女の為に手を汚した。
だが、本当に、それは彼女の為だったのだろうか?

彼女の泣きそうな顔を見て、気付いてしまった。

彼女の為の『願い』。
違う。
本当に彼女の為を想うのなら、他にも方法はあった筈だ。
最悪の場合でも、自分が傷付き、糾弾される事になろうとも、戦う事もできたはずだ。
それをしなかったのは。『かみさま』に『赦し』を与えられるまで動かなかったのは。

全部、自分の為だ。
彼女を殺した奴らが、憎かったから、殺した。
それは彼女の為じゃなかった。
彼女の笑顔を奪った奴らが憎かっただけ。
だから、霧の殺人鬼は、彼女の恋人までも殺した。

彼女に気付かれ、霧の殺人鬼は気付いてしまった。

彼女が今泣きそうなのは自分のせいなのだと。
彼女を泣かせているのは、自分なのだと。

霧の殺人鬼は笑った。
硝子屋の娘は少し驚いたように目を見開いた。
次の瞬間、霧の殺人鬼はたっ、と駆けた。
道化が身構える。しかし、それが害意を持った行動でないことにすぐに気付き、一瞬引いた足をすぐに前へと運んだ。
霧の殺人鬼は後ろに駆けた。そして、柵を跳び越えた。
死なない道化だからこそ、飛び降りても無事だった。
彼以外に、ここから落ちて助かった者はいない。

道化が伸ばした手は届く事なく、殺人鬼は霧の底へと落ちていった。

すぐさま硝子屋の娘が駆けてくる。柵に乗り出し下を覗き込む。
地面は見えない。落ちた霧の殺人鬼も見えない。

……まさか自害するとは


道化が硝子屋の横で柵から下を見下ろし、ぽつりと無表情で呟いた。
そこでようやく、硝子屋の娘はふらりとよろめき、壁にもたれかかった。

霧の殺人鬼は、死んだ?

この高さから落ちたらまず助からないでしょう


分かりきっている事だったが、道化の言葉を受けて、ようやくそれを噛み締めたかのように、硝子屋の娘は深く息を吐いて、へたり込む。
ぐっと握ったこぶしを胸元に押し当て、娘はぽつりと呟いた。

……仇は、取れたの、かな。あは、あはは……


今は亡き彼に贈る言葉。
張り詰めていた緊張の糸が解け、道化はふうと息を吐く。


今まで固く閉ざされていた、硝子屋の娘の口元が緩んだ。
道化は無表情のまま、硝子屋の娘の顔を見下ろした。

依頼の報酬は、『笑顔』、でしたよね


道化の仕事への報酬は、依頼者の『笑顔』。
最初に道化が告げた事だ。

今、笑いますから。これで、もう、笑えますから

……


道化は何も言わない。

……あれ? おかしいな。ようやく、彼の無念を晴らせたのに。彼の仇は死んだ筈なのに


道化はくるりと回って硝子屋の娘に背を向けた。黙って、柵に手をかけて、霧の街の全貌を見下ろす。ついでにくい、と手招きをして、少女を傍に呼び寄せる。
少女と見ようと話していた、『蛍火の地』に灯る蛍火。道化と少女は並んで見下ろし、街のあちこちに散らばる淡い光を目で追い掛けた。

……どうして、涙が出てくるの?


道化は言った。
私が『笑え』と言うのは、霧の殺人鬼を見つけた時。
しかし、道化は何も言わなかった。
ただ、点々と散らばる蛍火を見下ろし、物憂げにぽつりと呟いた。

意外と灯り、少ないんですね


灯台の上から見下ろす蛍火の地は、ほんの少しだけ、彼らが思っていたよりも、灯るあかりが少なく見えた。

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