デッサンや絵画の授業があるといっても、みのりが通うのは芸術学科や美術コースじゃない。
総合学科といって、たくさんの選択科目の中に、美術の専門的な授業も置かれているという高校だった。
美術だけじゃなく、英語や理科や家庭科も数多くの科目に分かれているし、商業、福祉、看護といった特殊な専門教科もあって、生徒はそれらの中から取るべき授業を選び、自分で自分の時間割を作る。
ただ、入学していきなり全部を自分で選べと言われても、みんな戸惑ってしまう。
だから一年生の間は選択科目は少しだけで、あとはクラスごとの一斉授業だ。
そして、「産業社会と人間」、略して「産社」という授業があって、そこで二年生以降の準備をする。
自分の希望や適性を見つめ直したり、さまざまな職業について調べたりして、最終的に「十年ぐらい後に自分はこうなっていたい」というビジョンを描く。そこから逆算して高校を出た後の進路を決め、それに合わせて二年と三年で取る授業を決める…それが「産社」の内容と目的だった。
絵が描きたいという他に何もなかったみのりも、この授業のおかげで、