翌日、緊迫した空気が漂う中、

帝都軍は出発前の整列を終えていた。

その時、和真に連れられたアイがメイの前に現れた

霜月くん、この前はごめんね

メイ

アイちゃん、もう大丈夫だよ。
ボクのほうこそ、
驚かせてしまってごめんね

アイはメイに抱きついた

アイ

よかったぁ

チュ

メイのほほにキスをした。

メイ

アハハ・・・

和真先生

メイちゃん
気をつけて行ってきてね

メイ

ハイ、行ってきます!

その声に、和真は以前の

弱々しい声とは違う成長を感じ取った

去り際に手を振るアイを見て、

隊員たちはその様子を嫉妬の目で見ていた。

タケルがメイを捕まえ

おい!メイ、どういうことだ
アイちゃんと何があったんだ!!

メイ

な、何もないって

気になる・・・

その時、蓮の号令がかかった。

部隊長 蓮

全員、聞け!我々は今、信国からの援軍要請に応えるため、この地を発つ。

我が国の誇りを示す時、強き心と鋼の意志を持ち、魔獣を討伐するぞ!

蓮の声は力強く、

隊員たちの心を一つに結びつけた。

メイとタケルも、その言葉に背筋を伸ばし

新たな決意を胸に、出発の時を迎えた。

信国に向かう軍は
緊迫した雰囲気の中進められていた。

その先頭に立つのは、

一際目立つ存在感を放つ蓮。

彼のすぐ後ろには、
常に冷静沈着な副官の凌がついていた。

蓮は不満げに肩をすくめながら言った。

部隊長 蓮

まーったく、ついてこなくても、オレだけで十分だろう

噂では相当の魔獣が暴れているらしい。人手は必要だろう

隊長 蓮

あんたがいると部隊が緊張して
いつもの動きが鈍るんだよ

副司令官

緊張感を持つことのどこが悪い?皆、命をかけているんだぞ

部隊長 蓮

そうゆうとこなんだよね…

凌の心の中には、メイに関する違和感が
渦巻いていた。

魔獣が霜月を守ったという報告、

メイの夢に出てきた魔狼の話。

それを確かめたかったのだ。

副司令官凌

霜月メイ、いったい何者なんだ…

信国は、四方を山々に囲まれた
自然豊かな国だった。

肥沃な大地が広がり、

農業が盛んで、山間には小さな集落が点在していた。

しかし、今はその美しい風景が一変している。

村の人々は魔獣の恐怖に駆られ、
次々と避難を余儀なくされた。

かつて賑やかだった村は、

人影が消え、静寂が支配する場所となった。

村や広大な農地には、
信国の軍隊が厳重に警備を敷いている。

その異様な光景は、

まるで時間が止まったかのようだった。

夕刻、信国の本部に到着すると、
皆は移動の疲れを感じていた。

夕食の席で、メイはリディアのことを
思い出していた。

テーブルに並ぶ料理の香りは、
どこか無機質に感じられ

ため息をつく

翔太はそんなメイの様子に気づき
優しく声をかけた。

翔太

メイ、どうした?

メイ

うん。リディアちゃんの住んでいた村も、魔獣に襲われたんだって

そうなのか

メイの心には、リディアの眼帯に隠された
秘密が重くのしかかっていた。

自分の母親が作り出した呪いのせいで
魔獣に襲われリディアの
目は奪われ、呪われてしまった。

そして魔獣もまたその呪いに苦しんでいる

魔獣の呪いを解いて解放しなければ
ならないという使命感が

心の奥底でずっしりと響いていた。

思わず手が震える。

翔太はその震える手をそっと握りしめた

翔太

大丈夫、必ず俺たちの手で魔獣を倒そう

メイ

翔太…

翔太の確かな声と温もりに、

少しだけ安心感が広がった。

メイ

ありがとう

メイは微笑み、翔太の手を握り返した。

二人の心は、共に立ち向かう決意で満たされていた。

夜が深まっていく中

蓮と凌は信国の司令官と

状況について遅くまで会議を行っていた。

つづく

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