皆が疲れて寝静まったころ、少し開けた場所で、
月明かりの下、メイは剣の練習をしていた。

疲れているはずだが、眠れない。

明日からどれぐらいの魔獣を倒すのだろう。

まだ呪いを解く方法がわからない。

メイの心は複雑だった。

部隊長 蓮

・・・

その様子を蓮が遠くから見ていた。

病院でメイが言った言葉を思い出す。

「強くなりたい…」と蓮の胸で泣いていたメイは、

その時のメイとは違うと感じていた。

部隊長 蓮

メイ!

声をかけながら、蓮は木刀でメイの足を狙った。

瞬時に防御するメイ。

メイ

隊長!

部隊長 蓮

ほぉ~成長したな

メイ

えへへ隊長にほめられちゃった

部隊長 蓮

も、もう寝ろ。明日に備えるのも訓練だ

メイ

はい、でももう少しだけ

メイは再び剣を振り続けた。

隊長 蓮

そうか

蓮もメイの剣術の練習に付き合った











どれくらいたったのか、

さすがにメイも疲れた顔をして

その場にへたり込んだ。

メイ

はぁ~もう無理です

隊長 蓮

はは

メイ

綺麗な月…

静かな夜だった。

魔獣が暴れているという信国だったが、

信じられないほど静寂で、川の流れの音と、

虫の音だけが聞こえていた。

その静寂の中で、蓮はメイの隣に座り、
月明かりを見上げた。

本当に綺麗だな

隊長、今日はありがとうございました

ああ・・・

・・・

蓮はメイの視線に気づき、顔を向けると、

その瞬間、二人の間に流れる時間が
止まったかのようだった。

蓮はゆっくりと手を伸ばし、
メイの頬に触れた。

メイの心臓が早鐘を打つ。

メイ

た、隊長...

心の内で叫ぶ声が響く。
蓮の深い瞳に吸い込まれそうで、

目を逸らすことができない。
その視線は温かく、やさしく、

しかし同時にどこか切ないものがあった。

メイは自分自身の感情をどう
整理していいか分からず、

ただ蓮を見つめるだけだった

・・・

蓮の手がメイの頬を優しく撫でた。

その手の温もりに、

メイの心は安らぎを感じた。

二人の顔が徐々に近づき、

やがてその距離は消えた。

月明かりの下、連とメイは静かに唇を重ねた。

メイ・・・

月の光が薄く差し込む森の中、

蓮はそっとメイを抱きしめ、

ゆっくりと地面に倒れ込んだ。

オレはお前が……

しかし、その言葉は

心の中で葛藤を引き起こしていた。

部隊長 蓮

ちょ、ちょっと待て、俺は一体何を言おうとしているんだ?こんなことを言ったら、メイを困らせるだけじゃないか。

蓮の心は不安と期待が交錯し、
どうしようもない感情に揺れていた。

それでも、

メイの瞳を見つめると、
愛おしさが溢れ出てくるのを感じた。

その瞬間、思わずメイの唇に自分の唇を重ねる

メイは暖かくたくましい腕に包まれて、

自分が男であることなどどうでもよくなっていた。

蓮の心臓の鼓動が耳に響き、
彼の息遣いがメイの耳元をかすめると、

メイはアイとの時とは全く違う感覚に包まれ

男性の力強さを全身で感じていた。

メイ

蓮…隊長…

思わずつぶやいたその瞬間、
蓮の動きがピタリと止まった。

蓮はくすっと笑い声を漏らしながら

お前見てたの?趣味わるいな

メイ

隊長?

メイが不思議そうに聞いたその時、

蓮の背後に不気味な影が立っていた。

メイ

ま、魔獣!

蓮は魔獣に向き直り、冷静な声で命じた。

メイ、逃げろ

蓮は一瞬の躊躇もなく魔獣に向かって走り出し、

魔獣もまた蓮を追いかけて林の中へと消えていった。

メイは立ち上がり、焦燥感に駆られて叫んだ。

メイ

待って!
すぐに副官に知らせなきゃ!

メイは全力で駆け出した。

しかし、その時、

心臓がドックンドックンと激しく打ち始めた。

それは次第に大きくなり、呼吸が乱れ、

まるで息ができなくなるような感覚に襲われた。

あの時と同じだ

メイ

今は…蓮隊長が…

意識が遠のき、

その場に倒れ込んだ。森の中には、

ただ月光と静寂だけが残された。

つづく

24話 月明かりのキス

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