サル彦は冷ややかに笑いながら言った。
サル彦は冷ややかに笑いながら言った。
本来なら明日の調印式で
計画を実行するつもりだったが、
ジョセフのせいで計画が崩れた。
まさか、助けてくれたパルたちを裏切るとはね
うぅ・・・
パルはもうろうとしながら問いかけた
ジョセフ..それは本当か..
そ、それは..
桃次郎にこの場所を教え、自分たちは今日、帰るつもりだったんだろう
パルは涙ながらに言った
裏切るなんて最低だな・・・
瀕死のパルのその姿に、ジョセフは心を痛めた
すまん・・・
それは違う!先輩は最初から感じていた、この島は危険だと!
それをわかっていてあえて危険な道を選んだ
誰にも言わずに一匹で立ち向かったんだ。先輩は自分の命をかけてまで、この島の真実を明らかにしようとしていたんだ!
そうでしょ先輩!
な、何を言っている??
しかし、このピンチを切り抜くにはポテトの言葉に
乗っかるしかなった
お、おお、そうだその通り
ではなぜこの場所を教えた?
それは・・・
その質問に窮地に立たされた
ジョセフは考えた
パルの視線、ポテトの眼差し、
いったいどうすれば!
何か理由があるんですよね
ジョセフ!!理由があるなら言ってくれ、なぜ裏切った?!
理由などないさ、自分たちだけ
安全ならそれでいいんだろ
くそぉ~考えろ!考えるんだ!
その時、降りてきた、ジョセフに神の言い訳!
サル彦それは違う
俺は見たんだ。椿が桃次郎から
もらったネックレスを握り締め、
『桃次郎様』とつぶやいていたのを
あれは桃次郎を慕っていた姿だった。
桃次郎に椿の話をした時に
分かった、この二人は愛し合っている
その二人を離し、
この場所に閉じ込めている理由があるはずだと考えたんだ。
桃次郎に教えたのも真実を明らかにするための行動だ
2人は愛し合っていたのか・・・
先輩、やっぱりそうだったんですね。全てを分かった上での行動だったんですね!
愛し合っていただと?
そんなことは最初から分かっているんだよ
サル彦は無情にも桃次郎の足を銃で撃った。
ぐぁ!!
あわわわわ
ヒぃ―
桃次郎は牢屋へ、こいつらは始末しろ
せ、先輩どうしましょう
こ、殺される!!
逃げろ!
ジョセフゥ!!
バババババッ!!!
パルが最後の力を振り絞り、
機関銃を猿の兵士に向けて撃ち始めた。
ポテト逃げるぞ!!
ハイ!!
逃げられると思ってるのか?
追え!
ジョセフとポテトは必死に逃げるが、
追手はすぐそこまで迫っていた。
はぁ…はぁ…先輩..
ボクもう走れません..
はぁ…はぁ…
その瞬間、ジョセフはあることに気づいた
ポテト、動くな、静かにしろ
え?
ポテトが戸惑う間に、一匹の猿の兵士がやってきた。
ジョセフとポテトは
両手を上げて降参の姿勢を取った。
見つけたぜ、俺の手柄だ
そして銃を構えた
な、なぁ取引しないか
俺は鬼の宝を持っている
それをあんたにあげよう
何、鬼の宝?
ああ、これをあんたにあげるよ
ジョセフは袋を投げた。
兵士がその袋を受け取り、中を見た
なんだこれは?
その時
突如として激しい水しぶきがあがった
ん?
うわぁぁぁぁぁ!!
巨大なワニが水面を突き破って飛び出し、
鋭い歯をむき出しにして兵士に襲いかかった。
兵士は驚愕の表情を浮かべ、
袋の中を取り出す間もなく、
ワニの強力な顎に捕らえられた
水しぶきが飛び散り、
血の匂いが漂う中
ポテト走れ!!
ギャー
命からがら、ジョセフとポテトは
ようやく海岸にたどり着いた。
ポテトが言っていた舟があるという場所だ。
ジョセフは焦りながら尋ねた。
舟は?
はい、隠してあります
ガザガザ
茂みの中からビニールのボートを
引っ張り出してきた。
舟ってまさかこれか?
はい、今空気を入れますので
待っていてください
フーフー!!
うそだろ!!
ジョセフはその光景を見つめ、頭を抱えた。
その時だった。
サル彦が現れ、冷笑を浮かべて銃を向けてきた。
猫の浅知恵といったところですか
もうはやここまでか...
フーフー!!
さよならだジョセフ、ポテト
しかし、その瞬間、辺りが突然明るくなった。
たくさんのライトが海岸を照らし出し、
海から大きな船がこちらに向かってくるのが見えた。
船からは拡声器で声が響いた。
「この島は完全に
包囲されている
その銃を置くんだ」
空にはヘリコプターが何基も飛んでおり、
その銃口はサル彦に向けられていた。
何者だ?
こちらはWIP(ワンダー国際警察)だワン!サル彦、お前の悪行もここまでだワン!
この鬼ヶ島を制圧できたのは、猿、キジ、犬の勇敢な協力者のおかげだワン
お前が勝手に手柄を横取りできると思うなワン!
くそ犬が、撃て!
猿兵士たちは船に向かって発砲したが、
空からと舟からの激しい反撃により、
ほとんどが壊滅状態となった。
その様子を見て、サル彦はついに観念し、
銃を置いて両手を上げた。
つづく