ジョセフとポテトは桃次郎の部屋にやってきた。
ジョセフがドアをノックすると、

中から桃次郎の声が聞こえた。

桃次郎

どうぞ

ドアを開けると、桃次郎は山積みの
書類に目を通していた。

ジョセフさん、いなくなったと聞いて心配していたんですよ

ああ、今帰ったところだ

いったいどこへ?

桃次郎、悪いが明日の調印式には出ない

なんだって、いったい
どういうつもりですか?

あんたの裏の顔は知っている。この島を権力者の不正資金の温床にするつもりだろう

不正資金だと?

その点については
脅すつもりはない。
不正資金であれ、天下りであれ、オレには関係のないことだ

桃次郎

何が言いたい?

俺の持ってる情報と引き換えに、この島から安全に帰してもらおう

桃次郎

取引ということか

明日の調印式で、権力者の前で
恥をかくのは避けたいだろう

桃次郎

・・・

桃次郎の迷いを見て、ジョセフは考えた。
これでいけるはず、もう少しで
彼は決心するだろうと。

ジョセフは最後の切り札を出すことにした。

この島の象徴、椿だ。椿のことを言えば、
桃次郎は血相を変えてアジトに
奪還しに向かうだろう。

そうすれば桃次郎に信用され、ここから脱出できる!

オレは椿の居場所も知っている

何!?椿と会ったのか?

ああ、その居場所も教える。
さあ、どうする?

椿..無事だったのか..

あれ?意外な反応だな

桃次郎

分かった


ジョセフとポテトは安心してお互いを見合わせた。


しかしその瞬間、

桃次郎は引き出しから銃を取り出した

すぐに椿のところへ
案内してもらおう

お、おい話が違うだろう!

探していたんだ、ずっと..
だから今すぐ案内してくれ。
無事が確認できたら、あなた達をすぐにヘリで帰そう

わかったから
その銃を下ろしてくれ

真夜中、桃次郎とその部下、
ジョセフとポテトは椿のいるアジトへ向かった

秘書はどうした?

桃次郎

さあ、どこにもいないんだ







アジトに到着したジョセフ達は、
目の前の光景に驚愕した。そこには、

傭兵たちや鬼たちが既に制圧され、
血を流して倒れていた。

ジョセフ・・・

これはいったい・・・

秘書マサ彦

桃次郎さま、今ご到着ですか

お前がやったのか?

秘書はその傷ついた
傭兵たちの間を縫うように歩いてきた

秘書の背後には、
整然と並んだ兵士たちが控えていた。

秘書マサ彦

遅かったですね

秘書は倒れているパルの頭を無情に踏みつける

うぅぅ・・

どうしてこの場所がわかった?

秘書マサ彦

鬼を管理してると言ったでしょう、GPSぐらい付けますよ。

知っていて今まで
黙っていたのか?

秘書マサ彦

はい。この傭兵たちが椿様をかくまってくれたおかげで、あなたから引き離すことができました。私の計画通り、鬼を奴隷化することができましたから。

なんだと?!

秘書マサ彦

連れてこい


秘書は部下に合図を送った。


すると、暗闇から出てきたのは
首輪をつけられた椿だった。

椿!!

椿は首輪についている電流をかけられた後で、
意識がほとんどない様子だった。

しかし、桃次郎の声を聞いてかすかに反応し

桃次郎さま・・・



その声を聞いた瞬間、
桃次郎の怒りは頂点に達し

「貴様!!」と叫び、銃を秘書に向けた。

その動きに応じて、
背後に控えていた兵士たちが一斉に
桃次郎に銃を向けた。

なぜ私を裏切った、マサ彦!

まだわからないのか、
教えてやるよ


そう言うと、
マサ彦は顔につけていた
マスクをべりべりと外した。

ヒー!!!



その下から現れたのは、驚くべきことに
猿の顔だった。桃次郎は驚愕して声を失った。

さらに、背後の兵士たちもヘルメットを取った
桃次郎の目の前には、
全員が猿であることが明らかになった。

猿族!?

サル彦

かつてこの島を統治したのは
桃猫太郎一匹ではない。
我々一族の活躍があってこそ成功した

サル彦

それを無視し、自らが唯一の支配者になろうなど、冗談にも程がある!私にも十分権利があるはずだ

だから
私を椿から引き離し、
私を操っていたということか!

つづく

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