船着き場に到着したジョセフは、
辺りを見回しながら慎重に隠れていた。
遠くの方でライトが動いているのが見える。
ジョセフがいなくなったことに気づき、
捜索が始まったのだろう。
今度捕まれば何をされるのか分からないという
不安が胸を締め付けた。
彼は猫目につかない茂みに身を潜めながら歩いた。
船着き場に到着したジョセフは、
辺りを見回しながら慎重に隠れていた。
遠くの方でライトが動いているのが見える。
ジョセフがいなくなったことに気づき、
捜索が始まったのだろう。
今度捕まれば何をされるのか分からないという
不安が胸を締め付けた。
彼は猫目につかない茂みに身を潜めながら歩いた。
どれくらい歩いただろうか、足元が湿ってきた。
沼地のような場所に出てしまったのだ。
その時、「グルルルル」と
不気味な唸り声が聞こえた。
これは仲間の野良鬼に違いない。
彼は最後の力を振り絞り、
マイキーからもらった、睾丸袋を上に掲げた。
俺はマイキーの
仲間だ、
助けてくれ!
月明かりがその瞬間、辺りを照らし出した。
ジョセフの視線の先には、
ワニぃぃぃぃぃ!!!
ワニの群れは口を大きく開け、
ジョセフに襲いかかろうとした
いやぁぁぁぁぁ!!
その時!!
ひぃぃぃぃ!!
そして、静寂が訪れた。
ジョセフは恐る恐る目を開ると
そこには、傭兵のような格好をした猫が立っていた。
逃げるぞ!!
傭兵猫はジョセフを連れ、すぐさま走り出した。
大丈夫か?
あ、ありがとう…君は?
俺の名前はパルだ、
お前はマイキーの仲間か?
ああ、これを預かってきた
もらった睾丸袋を差し出した
パルは中身を確認すると
なんだこれ、気持ち悪いな!!
え?!
そんな物持ってるからワニに狙われるんだ!ワニは匂いに敏感なんだぞ
そ、そうか..
きっと鬼の仲間に見せないとダメなのかも..?
まあいい、
仲間のところまで案内する。
パルはジョセフの肩を抱え、歩き出した。
しばらく歩くと、洞窟のようなものが見えてきた。
ここがアジトだ、中に入れ
中は意外と広く、傭兵の猫や、
野良鬼と呼ばれる鬼たちが何人か集まっていた。
そこへ1匹の猫が話しかけてきた
あなた、どこから来たの?
俺はキャットタウンからだ
キャットタウン!あなた
フェリックスを知っている?
知っているも何も、フェリックスは俺の親友だ
そう、これは心強いわ
あなたはいったい誰?
私の名前はアイリよ。
新聞記者なの。鬼ヶ島の実態を
暴きに潜入しているの
ここの実態については聞いているかしら?
ああ、マイキーから聞いている
明日の調印式は政界の奴らや警察が集まるのよ。真実をスクープして、全世界に放送してやるわ
なぜこの島にそんなお偉い方々が来るんだ?
ここにはカジノとゴルフ場ができる予定なの。そのための財源が、この土地に眠ってる貴重なエネルギー資源なのよ
でもね、
それは地中の固い金属で覆われてて簡単に取り出せない。だから、
その作業を鬼たちにやらせてるの。
そして、得た大金の行き先は、
権力者たちの私腹を肥やすために使われるってわけ。
それで鬼たちを働かせていたんだな
そう、それを暴露することで鬼たちを救うことができるかもしれない。だから、協力してほしいの
ジョセフは心の中で葛藤していた。
鬼たちの悲惨な実態を知りつつも、
自分は警察官であり、その権力は絶対的なものだ。
それを裏切ることができるのか?
この問いに答えを見つけられないまま、
曖昧な返事をして、その場からそっと
抜け出すことにした。
突然のことで混乱してるから
一回頭を冷やしてくる
わかった、少し休んで
ジョセフはその場を離れ、
出口を探して歩き始めた。
しかし、洞窟の中で迷ってしまい、
途方に暮れていると、背後から声がかかった。
ジョセフ
パル、えーっと……
こっちに来いよ
ジョセフを奥へと連れて行った。
そこでは鬼と傭兵が楽しそうに
酒を酌み交わしていた。
ジョセフは不思議そうにその光景を見つめた。
なあパル、どうしてここへ?
パルは一口酒を飲み、ジョセフに答えた
俺たちは雇われてここに来たんだ。だが、ここの事情を知った今、この島を取り戻すために協力してる
これはもう単なる仕事じゃない、俺たちの使命だ
雇われた?アイリに?
いや、アイリは勝手にこの島に
潜入してきたんだ。雇い主は別にいる
パルはジョセフをさらに奥に案内した
洞窟の奥へ進むと、広がった空間に出た。
そこには月明かりに照らされた滝が流れ、
神秘的な光景が広がっていた。
カーテンの奥には、
美しい女性の鬼が座っていた。
ジョセフはその姿に息を呑んだ。
女性の鬼は静かに彼を見つめ、
その目には深い知恵と悲しみが宿っていた。
つづく