鬼ヶ島での観光アピールが始まり
ジョセフはパワースポットの桃太郎を
祭った神社を訪れ
神聖な雰囲気に心を洗われた。

続いて、
白い砂浜ビーチでのマリンスポーツを体験し
爽快な風を感じながら波と戯れた。

次第に昨日の悪夢のことなどすっかり忘れ、

観光を楽しむジョセフの顔には笑顔が戻っていた。




その日のハイライトは、桃次郎も
参加しての絶景の夕日をバックにした
シャンパンでの乾杯シーンだった。



カメラマンがシャッターを切る中、




黄金色の夕日が海に溶け込み、
ジョセフと桃次郎がシャンパングラスを掲げた。

桃次郎

今日は
一日ありがとうございました。
これで調印式もきっと素晴らしいものになるでしょう。

いえいえ、私でよければいつでも呼んでください

桃次郎

これからもこの島のためによろしくお願いします

もちろんですとも

桃次郎

ジョセフさん、私はこれから仕事がありますのでごゆっくり

桃次郎は席を立った。

ジョセフとポテトはシャンパンとキャビアを堪能し、

満ち足りた表情を浮かべていた

これが仕事なんて信じられないぜ

ぼくはもう、ずっとここにいたいですよ

秘書マサ彦

ジョセフ様、お酒の余興にぜひ鬼たちのダンスをご覧ください

照明が暗くなり、
鬼たちのファイヤーダンスが始まった。



鬼たちの迫力あるダンスに、
ジョセフとポテトは圧倒され感動した。

すごい迫力です~

本当にすごいな!!


次に登場したのは女性の鬼たちで、
鬼の舞を披露し始めた。

子供の鬼たちも集まり、
みんなで踊りを楽しんでいる。

その中で、
ジョセフの目に一際目立つ子供の鬼が映った。

どこかで見た鬼...


その鬼の首には深い傷跡が残されていた。


ジョセフの心臓が一気に高鳴った。

あ、あの子は...?!

驚愕したジョセフは椅子から転げ落ち、
ガシャンとシャンパングラスが割れ、
会場は静寂に包まれた。


鬼たちの動きが止まり、
心配そうな視線が集まる。

秘書マサ彦

どうなさいました?

あ、あれは夢じゃなかったのか..

その子供の鬼がジョセフを睨んでいるようで、
恐怖が彼の心を支配した。








ひぃいいい!!

ポテトすぐにホテルに帰るぞ!!

どうしたんですか先輩!?

いいから早くこい!

ジョセフ様、夜は危ないので私達から離れないでください!

ジョセフは振り返り、険しい表情で秘書を睨んだ。

危ないとはどういう意味だ!
危ないのはお前らのほうだろう

部屋に戻ると、ジョセフはすぐに
ポテトに向かって問いかけた。

ポテト、
昨日の夜のこと覚えているか?

昨日?昨日は夕食を食べて..
そのあとどうでしたっけ?

俺たちは繁華街に出たんだ。そこで、鬼の血を飲まされるところだったんだよ!

先輩、何言ってるんですか?

すぐにここを出よう

なぜですか?こんな楽園みたいなところなのに

直ぐに出た方がいい。俺の直感がそう言っている!

ジョセフは迅速に荷物をまとめ始め、
ポテトも仕方なくそれに従った。


二匹は誰にも見つからないように、
こっそりと非常階段を使ってホテルを抜け出した。

ホテルの外に出ると、
夜の冷たい風が二匹の顔に吹き付けた。

ジョセフは一瞬立ち止まり、深呼吸をした。

早くこの島を出なければ..

でも、海に囲まれているこの島でどうやって逃げるんですか?

朝まで隠れて、定期便に紛れ込んで逃げよう。とにかく、この島はイカれてるんだ

二匹は静かに船着き場へと向かった。

船着き場に着くと後ろから声を掛けられた

おめーら、どこぞの者だ?

!!

そこには鬼が立っていた。

しかし、この島の鬼たちが友好的であることを
知っていたジョセフは冷静に返事をした。

やあ、俺たちはこの島から出たいんだ。どこか朝までいる場所を探していてね。

この島を出るだと?

そう、用事があって帰らないといけないんだ。

鬼の表情が一変した

?!

お前、調印式の客人か?

あ、ああ。でもその話はなかったことに..

その瞬間、鬼は持っていた棍棒を振り下ろしてきた。

ひゃぁあ

ひゃぁあ

な、な、なぜ?

許せねえ!
俺たちの島を!!







再び棍棒を振り下ろそうとしたその時、

ジョセフとポテトにまぶしいライトが当たった。

なんだ?!

ジョセフは目を細めてライトの方を見た。
ライトの影から現れたのは、秘書だった。

秘書は冷徹な目でジョセフを見つめながら

危ないと言ったでしょう。ここら辺は野良鬼が出ます。勝手な行動は命を落としますよ。

の、野良鬼?

鬼が秘書の顔を見ると、
牙をむき出しにして怒りを露わにした

グルルルル..

秘書マサ彦

反抗する者が時折現れるのです。しかし、私たちの管理下にいる限り安全です

そう言うと、秘書はポケットから
小さなスイッチを取り出し

それを押した

その瞬間、隣にいた鬼に猛烈な電気が走り、
鬼の怒号が響き渡った。

鬼はそのまま倒れ、動かなくなった

あわわわわ

秘書マサ彦

連れて行け

部下たちが素早く動き、鬼を連れて行った。

秘書マサ彦

さあ、ジョセフ様。戻りましょう

しかし、どうしてここが…?

秘書マサ彦

あなたはすばらしい後輩をお持ちですね。

ま、まさか..

その時、

ポテトがゆっくりと秘書の隣に歩み寄り
静かに座った。

はぁ…こわかった

秘書マサ彦

もう大丈夫ですよ。

ポテト、どういうことだ?

つづく

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