ジョセフとポテトは、長い航海の末、
やっとのことでこの伝説の地に足を踏み入れた

あれ、桃次郎は?

秘書マサ彦

はい、桃次郎様はキャットタウンからヘリで先にホテルに到着しておりますので

ここが鬼ヶ島..

彼らの目の前に広がる光景は、古の物語で語られていたものとは大きく異なっていた。

鬼ヶ島は、まだ開発中のためか、工事のための
重機や車が至る所に放置されていた。

大きなクレーンが空に向かってそびえ立ち、
土埃が舞い上がる中、

未舗装の道が島の奥深くへと続いていた。
ジョセフはその光景に一瞬呆然とし

ポテトも驚いたように耳を立てて周囲を見渡した

桃次郎の秘書は、ジョセフとポテトを車に乗せ、

ホテルへと案内するために運転を始めた。

秘書マサ彦

これから私たちのホテルに案内いたします。
ごらんの通り、島はまだ開発中ですので、あまり外には出ないでください。

開発中では島の魅力を十分に伝えられないのでは?

秘書マサ彦

もちろん、ホテルの周辺はほぼ完成していますので、
ご安心ください。

秘書マサ彦

ジョセフ様には、私たちが案内する観光スポットをアピールしていただければ問題ありません。

わかった

ジョセフは窓の外に目をやり、
周囲の景色を見つめた。

その瞬間、彼の目に飛び込んできたのは
信じられない光景だった。

鬼が大量の土を荷台に
積んでいる姿が見えたのだ。

な、なんだあれは?あれが鬼…!!

お、鬼が!?

秘書マサ彦

はい、ここは鬼ヶ島ですから。

鬼が働いているんだけど?

秘書マサ彦

もちろんです。私達と共存しているんです。鬼たちは働いて、その対価をもらい、家族を養います。

秘書マサ彦

私たちは彼らに幸せな暮らしを提供しているのです。

こ、怖くないんですか?

秘書マサ彦

怖がる必要はありません。鬼たちは私たちの仲間です。彼らも私たちと同じように暮らしを営んでいるのです。

秘書は鬼たちに近づき、手を振った。

すると、鬼たちは秘書に向かって手を振り返し、

これは、これは秘書様でねーか、お元気どえすか?

しゃべった!
(変なしゃべり方だな)

近くで見ると迫力がありますね!

秘書マサ彦

ご苦労様。あまり無理をしないでくださいね。

ありがとうごぜぇます。開発が早く進むよう頑張りもす!

そのやり取りを見ていたジョセフとポテトは、
驚きと戸惑いの表情を浮かべていた。

鬼たちの恐ろしい外見とは裏腹に、
その態度は非常に友好的だった。

秘書は再び車に乗り込み、
ジョセフとポテトに向かって微笑んだ。

秘書マサ彦

どうですか?怖くないでしょ?

ジョセフとポテトは、お互いに顔を見合わせて
ゴクリとつばを飲み込んだ。

あ、ああ、そ、そだね。

本当に、予想と全然違う…

車は再び動き出し、ジョセフとポテトは
鬼たちの働く姿を窓越しに見つめていた。




彼らの心には、恐怖と同時に新たな
興味が芽生えていた。



鬼ヶ島は、
彼らが思っていた以上に不思議で、
予測不能なものになりそうだった。


秘書マサ彦

これからもっと驚くことが待っていますよ。さあ、ホテルに向かいましょう。

秘書はそう言いながら、車を運転し始めた。
しばらく走ると、
豪華な和風のホテルが見えてきた。

秘書マサ彦

さあ、ホテルに到着しました。
どうぞ、こちらへ。

ジョセフとポテトは、
秘書の後に続いて車を降りた。

目の前には美しいリゾートホテルが
広がっており、その周囲は開発が
ほぼ完了しているように見えた。

す、すごい..

わぁ~
立派な旅館のようなホテルですね!!

秘書マサ彦

さあ、ジョセフ様。これからが本当の鬼ヶ島の魅力をお見せします。

ジョセフとポテトはホテルの部屋に案内された。そこはスイートルームで、

窓からは広大なオーシャンビューが広がる豪華な部屋だった。ポテトはその豪華さに目を輝かせ、

こんな豪華な部屋に泊まれるとは、先輩の知名度は流石ですね!!

まあな、
これも日ごろの行いのおかげよ

ポテトは興奮した様子でテラスへ出て、
双眼鏡を手に取り辺りを見渡した。

先輩!商店街にセクシーナイトパブがありますよ!

よし!今夜はフィーバーだ!

いやっほう!

2匹ははしゃぎながら夜の計画を練った。

先輩浴衣がありますよ!

よーし夕飯までにひと風呂入るか!

はーい

夕食の時間が訪れ、
彼らには豪華なディナーがふるまわれた。

桃次郎

さあ、当ホテル自慢のディナーコースです。どうぞお召し上がりください

さすがリゾートホテル、いつぞやの貧乏村の夕食とは違いますね!

はは、これもすべてオレ様のおかげだな

その通りでございます、先輩

桃次郎

ジョセフさん、親善大使の調印式は3日後です。それまでゆっくりこの島を楽しんでください。

調印式?

桃次郎

ええ、親善大使としての契約です。その日は警察のお偉い方も見えますので、
絶好のアピールポイントですよ

なんか緊張するな...

桃次郎

大丈夫です。形だけのものですから

ジョセフはその言葉に少しホッとし、
再びディナーを楽しむことにした。

彼とポテトは、これから訪れる未知の世界に
期待を膨らませながら、目の前の豪華な
料理を堪能した。

つづく

おまけ

桃次郎の会社が構想する
近未来の鬼ヶ島。
このパンフレットは部屋に一冊置いてある。
お土産にいかかがですか?

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