安堵もつかの間、フェリックスたちは急いで
エマとゲンを探し始めた。

そのころ、救急隊や警察、そして消防隊が続々と現場に到着し、混乱が増していった。

ロイズ

ゲンがいるぞ!

ゲンがエマを抱えて姿を現した。
ゲンは肩で息をしながらも、

にやりと笑って言った。

ゲン

ロイズ…建物さら壊す気かよ…

ロイズ

すまない、
これしか思いつかなかった

その瞬間、救急隊員たちが駆け寄り、
ゲンとエマを救急車に運び込んだ。

カオリもエマに寄り添い、
一緒に救急車に乗り込んだ。

ロイズ

それにしても動物たちはどこへ?

フェリックス

おそらく、昨日の夜に安全な場所に移していたのでしょう。

エマはもしかすると、自ら命を絶とうと計画していたのかもしれません

ロイズ

ゲンにあんな冷たい態度をとったのは、そのためか

フェリックス

そうかもしれませんね

その後、ゲンは順調に回復したものの、
エマは全身に大やけどを負い、

意識が戻らない状態だった。
フェリックスとワトリーは

病院にいるゲンとエマを見舞いに訪れていた

病室のベッドで横たわるゲンは、
二匹の姿を見つけて微笑んだ

よう、フェリックス、ワトリー

ゲンさん、よかった!もう平気なのだ

もう平気さ。心配かけちまったな

フェリックス

無事でよかったです

でも、エマはまだ…

ワトリーとフェリックスは、
エマの様子を見に行くことにした。

病室に入ると、エマは包帯で全身を包まれており、静かに横たわっていた。

その姿を見て、ワトリーは手を握りしめ、
優しく語りかけた。

心配しないで。きっと元気になるから、一緒にがんばるのだ

しかし、エマからの返事はなかった。
彼女の静かな呼吸だけが病室に響いていた。

ただ、彼女の手がかすかに動き、
温かさを感じた。

この小さな反応が、
まだ闘っている証だと思わせた。

フェリックスはワトリーの肩に手を乗せ、
静かに言った。

フェリックス

きっと大丈夫です。私たちが信じてあげましょう

ワトリーも涙をこらえながらうなずいた。

病院の窓から差し込む朝の光が、
少しずつ彼女の顔を照らしていた。

その光は、彼らの希望と祈りを
象徴するかのように、静かに輝いていた。

病院を出ると、フェリックスとワトリーは重たい足取りでサーカスの劇場へ向かった。

本来ならここでサーカスが行われ、子供たちが笑顔で歓声を上げながら見ているはずだった。

ピエロが風船を配り、動物たちが演技を披露する光景が思い浮かべられる。

しかし今は警察のテープが張られ、奥の小屋は焼け焦げて一部が崩れ落ちていた。

焦げ付いた木の残骸や煙の匂いが鼻をつき、地面には煤が積もっていた。

現場にはジョセフとポテトがいた。
ジョセフがフェリックスに気づき、

よう、フェリックス、何か用件か?

こんにちは!!

フェリックスは、深刻な表情で答えた

フェリックス

ジョセフ、
一緒に来てくれないか。

まだ何かあるのか?

フェリックスは、悲しげな表情を浮かべながら

フェリックス

確かめたいんだ

...いいだろう

彼らはある部屋に着くと、
フェリックスがノックをした。



コンコン。



中から返事が聞こえ、ドアを開けると、
ロイズが荷物をまとめていた。

ロイズ、どこかに行くのですか?

ロイズ

ああ、もうここのサーカス団は解散寸前だろう。
他のところに移籍する予定さ。

ロイズ

僕ならどこのサーカス団でも雇ってもらえるからね

せめてゲンさんが帰ってくるまで待ってほしいのだ。ゲンさんはまだ諦めてないのだ。

ロイズ

ごめん、ワトリー。僕、すぐに行かなきゃ

フェリックスは、ロイズの前に立ちはだかり、
鋭い目で問いかけた。

フェリックス

それは誰の提案ですか?

ロイズ

な、何言ってるんだ。これはボクの意思だ
団長もあれから姿を見せないし、もうここにはいられないだろう

フェリックス

誰かと一緒に出て行く予定ですね

ロイズ

そ、それは...

つづく

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