エマの声は冷たく、まるで氷のようだった。
彼女は鋭い目でフェリックスを見つめながら、淡々と話し続けた。
エマの声は冷たく、まるで氷のようだった。
彼女は鋭い目でフェリックスを見つめながら、淡々と話し続けた。
これが私の動機よ。セリアを殺したことに後悔はないわ。
ロイズが捕まればなおさら良かったのに、まさかゲンが私をかばうなんて
その言葉を聞いたフェリックスの
表情は微動だにしなかったが、
その目には深い悲しみが宿っていた
ゲンさんはあなたのことを大切に思っていたようですね
私が大切ですって?
エマさん、ゲンさんはサーカス団のことを家族同然に大切に思っていました
彼はあなたが犯猫であることを知っても、
あなたを守るために自分が犠牲になることを選んだんです。それほどまでに、あなたを大切に思っていました。
そう...
とだけつぶやいた。
その冷淡さにフェリックスは
一瞬言葉を失ったが、
エマの決意を感じ取ることができた
エマ、署まで同行願おう。
ポテトとジョセフ、
そしてエマは劇場を出て行った。
周りのサーカス団員たちは
その様子を見守りながら
何も言えずに立ち尽くしていた。
一方、ワトリーは心配そうにゲンに駆け寄り、
彼の顔を見上げた。
ゲンは苦笑いを浮かべながら呟いた。
フラれちまったな。でもエマはこれからもずっと俺の家族だ
きっとエマもわかる日が来るのだ
しかし、その場にいたフェリックスは
少し不安な表情を浮かべていた
セリアを殺したのは間違いなくエマだ。
しかし、ロイズが愛しているのは自分だと言いながら、エマはロイズに罪を着せようとしていた。この矛盾は何なのか?
彼の心はまだ霧の中にいるようだった。
署に向かう途中、エマはジョセフに頼んだ。
ねぇ、動物たちに最後のお別れをしたいの。5分だけ時間をください。
ジョセフは一瞬考えた後
まぁいいだろう。
エマは感謝の意を込めて微笑みながら、
調教小屋に向かった。
その時、フェリックスが急いで
ジョセフの所に駆け寄ってきた。
息を切らしながら
ハァ...
ハァ...エマは?
動物たちに最後のお別れをしに行った。すぐに戻るはずだ。
エマを一匹にしてはいけません!
そう言うや否や、彼は調教小屋に向かって
全速力で走り出した。
ジョセフとポテトも顔を見合わせ、
慌ててその後を追った。
フェリックスが調教小屋に到着すると、
そこには肩を震わせながら地面に座り込んでいるカオリと燃え上がる炎が広がっていた。
小屋はすでに炎に包まれ、恐ろしい熱気が周囲に立ち込めていた
エマ!!
小屋に向かって突進しようとしたが、
炎があまりにも激しく
近づくことができない状況だった。
すぐに消防車を呼びます!
応援を呼ぶから無茶はするなよ!!
急いでください!!
その時、突然、勢いよく飛び込んできたのは
ゲンだった。
彼は一瞬も迷わず炎の中へと飛び込んでいった。
ゲンさん!!
ワトリーもフェリックスを追いかけて
小屋に到着した。
ワトリーはカオリの泣き叫ぶ声を聞いて、
すぐに彼女に駆け寄る
うぅー!うぅー!
カオリ!!
カオリが小屋に向かおうとしたが、
ワトリーが彼女を止めた。
カオリ、危ないから近づいてはだめなのだ!
カオリ、全ての消火器を持ってきて!ゲンさんとエマが出てこれるように、せめて出口だけでも消すのだ!
カオリは、うなずくと、すぐに走り出した。
フェリックスはふと屋根の上に貯水槽があることに気づき、はしごを使って登ろうとした。
その時
フェリックス
そこをどいて!
振り返ると、ロイズとマリーナがショーで使う
大砲を持って駆けつけていた。
それはいったい?!
フィナーレ用の特大花火さ!
こいつを貯水槽にぶち込んで、
一気に火を消すんだ!
ロイズは焦りと決意の入り混じった表情で、
急いで導火線に火をつけた。
伏せろ!
緊張の一瞬、皆が息を飲んだ。
大砲の砲口から花火が勢いよく飛び出し、
貯水槽に向かって一直線に飛んでいった。
大きな爆音とともに、花火は貯水槽に命中し、
槽が大きな音を立てて破裂した。
大量の水が勢いよく降り注ぎ、
燃え上がる小屋の炎を一気に鎮めた。
その瞬間、周囲は一瞬静寂に包まれた。
カオリは消火器を抱えたままその光景を見つめ、胸を撫で下ろした
つづく