射撃場にて、國光は新しい魔獣用の
銃を手にしていた。

その姿はまるで英雄のようで、
メイは彼の美しさに目を奪われた。

心の中で彼女は思った。
(國光様の内に秘めた力強さを感じる...)






國光が銃を構え、引き金を引くと、
巨大な音と共に稲妻のような光が走り、

的を粉々に破壊した


あはは、これはすごいね!

リディア

そうなんです~霊獣の毛を素材にして、精霊の力を宿らせた究極の武器なんです~!

國光は微笑みながら
リディアの頭を優しく撫でた。

司令官 國光

メイちゃん、撃ってみる?

國光さま!いけません、
この子死んじゃうよ!

司令官 國光

大丈夫。ボクが浄化してあげるから

メイ

は、はい...

メイは少し躊躇しながらも、銃を手に取った。
その銃は霊獣の一部で作られており、

まるで生きているかのような感覚が
手に伝わってきた。彼女は深呼吸をし、

國光の優しい目を見て覚悟を決めた。

メイは緊張した面持ちで銃を構えた。
その銃の呪いなのか、持つ手から

じわじわと黒い霧のようなものが
這いつくばるのがわかる。

その闇に飲み込まれそうになった時
夢で見た魔狼の姿が脳裏に浮かんだ。

「運命を変える者」
――その言葉の意味はまだわからない。

しかし、闇がメイを飲み込もうとした瞬間、
彼女は覚悟を決めて引き金を引いた。







ドンという音と共に稲妻が走り、
メイは衝撃で後ろに吹き飛ばされた。

的には当たらなかったが、
その後ろの岩が粉々に砕けた。

メイ

す、すごい!!

國光はメイを支えながら微笑んだ。
リディアは目を丸くして

リディア

え~!!普通引き金も引けないはずだよ

司令官 國光

メイちゃんは何か特別な力があるみたいだね

國光は後ろからメイを抱きしめて浄化を施した。

メイはその暖かな腕に包まれ、
緊張して張りつめていた気持ちが消えていく

メイ

國光様...

司令官 國光

そうだ、今度は剣術を教えてあげるよ。
ボクは何もしないから、思い切って向かってきて

メイ

でも...

司令官 國光

ふふ、もしボクに当てられたら何でも言うこと聞いてあげるよ

國光が言った瞬間、

リディアが飛び込んできた!

その約束、私がいただきまーす!

と叫びながら、リディアは木刀を振り下ろす

しかし、國光はその攻撃を軽々とかわし、

司令官 國光

メイちゃんもかかってきなさい

メイは木刀を握りしめ、
連との約束――強くなるという言葉を
思い出だしていた。覚悟を決め、國光に向かって
木刀を思いっきり振り続けるが

國光は楽しそうに
ひらりひらりとかわしている。

リディア

この~!
ちょこまかと!!

司令官 國光

ははっ

やがて、國光は両方の手で
リディアとメイをつかまえ、

二人を両脇に抱え笑いながら、

司令官 國光

これは両手に花ですなぁ

リディア

両手に花?花は私だけでしょ!

ともう一振り木刀を振り下ろした。

その時、凌が現れ

副司令官 凌

もうよろしいですか?

もうそんな時間かぁ、残念だけどまた今度ね

メイ

あ、あの、討伐に行くんですか?

副司令官 凌

おや?
待機してろと言ったはずだが

まぁまぁ、いいじゃないの。ボクの練習に付き合ってくれたんだ、
もう待機命令も解除しちゃおうよ

副司令官 凌

いえ、今回の討伐は...

メイ

副司令官、私、部隊に戻りたいです。戻させてください

副司令官 凌

ダメだ、お前を襲った魔獣だぞ。

恐怖で動けなくなると、部隊全体に危険が及ぶ

メイ

私はもっと強くなりたいんです!

副司令官 凌

霜月、お前の気持ちはわかった、だが今のお前を連れてはいけない、ここで待機だ

あらー、メイちゃん、これは諦めた方がいいね

メイ

...
わかりました

國光はメイの肩を優しく叩きながら、
「今度一緒に行こうね」と約束した。

その後、凌と共に部隊の
元へと戻っていった。

その光景を見守っていたリディアは、
思わず声を上げた。

リディア

もう〜、天城副官、優しすぎ

メイ

優しい?

リディア

メイちゃんの身体を気遣ったのよ

リディア

そのぼこぼこに腫れた顔見たら、誰でも心配するよね。今はゆっくり休んだら?

メイ

私を心配して…?

彼女はゆっくりと、
去っていく凌の姿を見つめた。

その背中はいつものように堂々としており、
何かを背負っているように見えた

つづく

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