フェリックスは重い足取りで
団長のいる部屋に向かった。
心の中には疑念と決意が渦巻いていた。
ドアの前に立ち、深呼吸を一つしてから、
コンコンとノックをした。
「どうぞ」と団長の声が聞こえ、
フェリックスはドアを開けて中に入った。
フェリックスは重い足取りで
団長のいる部屋に向かった。
心の中には疑念と決意が渦巻いていた。
ドアの前に立ち、深呼吸を一つしてから、
コンコンとノックをした。
「どうぞ」と団長の声が聞こえ、
フェリックスはドアを開けて中に入った。
団長はデスクの向こう側に座っており、
フェリックスを見ると少し驚いた表情を見せた。
おや、あなたはジョセフさんと
一緒にいた助手の方ですね?
はい、お伺いしたいことがありまして
聞いてませんか、今回の件は事故なんですよ
事故?ジョセフがそう言ったのですか?
はい、そのように聞いてますので、あなた方もお帰りください。
フェリックスは一瞬言葉を失ったが、
すぐに冷静さを取り戻し、
鋭い目で団長を見据えた。
そうですか...やはり
ジョセフと取引をしたのですね
団長の顔色が変わり、
その声は怒りがこもっていた
何を言っているんだ!失礼だぞ
警察でもない君には関係のない話だ!
事故で片付けるつもりですか?団員の命が失われた以上、団長として真実を明らかにするべきです
しかし、警察が事故と判断した以上、これで終わりですから
それはあなたが裏で取引をしたせいでしょう
団員の中に猫殺犯がいるかもしれないのに放っておくというのですか?
団長はドアの方に手を向け
何も話す事はありません。お帰りください
しかしこのままでは...
その時、団長室の扉が勢いよく開いた!
フェリックスが振り向くと、
そこにはジョセフが立っていた。
誰が取引したって?
ジョセフ!!
ジョセフは団長を睨みつけると、手に持っていたプラチナチケットを無造作に放り投げた。
団長、俺がこんなもので買収できると思ったら大間違いだ!
そんな、いったいなぜ!?
ジョセフの後ろには、
目を輝かせたポテトが立っていた。
先輩!登場の仕方、最高です~!
猫殺事件の疑いがあるため、引き続き捜査を行う!
そんな!?
団長にもしっかり
話を聞くからな!
くっ!!
VIP客に何といえばいいんだ...
話なら後にしてください。
すぐに説明しないと!
そう言って、慌ててどこかへ電話をする団長、
フェリックス達は一旦部屋をでた。
ジョセフ、正直、あなたの反応には驚きました。プラチナチケットを受け取らず、正義を貫くなんて本当は信念のある猫だったんですね
さすが先輩です。あのプラチナチケットを投げ返してまで正義を貫くその姿勢、尊敬に値します
警察官としての誇りを持っているんだ。チケット一枚で堕ちるわけがないだろう
フェリックスはジョセフとポテトを見つめ、
これからの戦いに向けて心を固めた。
さかのぼること数時間前...
ジョセフは、
大好きなドーナツ屋の前に来ていた。
店の前には、
今回のコラボイベントであるアイドルの
ポスターがデカデカと貼られており、
その鮮やかな色彩に心を躍らせる。
ジョセフはプラチナチケットを手に、
ワクワクしながら店のドアを開けた。
まさかプラチナチケットが手に入ると思わなかったぜ♪
3日でドーナツを50個以上食べて、さらに抽選も通らないといけないなんて、ほぼ無理ゲーだと思ってたのに。ラッキーだぜ!
店内に一歩足を踏み入れると、
後ろから声がかかった。
ジョセフ
振り向くと、そこにはタレント事務所の
マネージャーであるアレクが立っていた。
ア、アレク!どうしてここに?
今回のコラボイベントは私の事務所のアイドルですから、打ち合わせに来ました。
その瞬間、アレクの視線がジョセフの手にある
プラチナチケットに止まった。
そのチケットを、手に入れたんですか?
ま、まあね...
当たる確率がもっとも低いプラチナチケットを?
ふっふっふ、俺にもあてがあるんでね
アレクはジョセフの手からチケットを取り、
じっくりと観察した。
な、何をする!返せ!
最近は偽物が出回っていますので、気を付けてください。
偽物?!
ええ、間違いなくこれは偽物ですね。
なんだとぉ~!!
本物が欲しければ、正規の手段で応募してください。
偽物だなんて!?
おそらくあなたに譲った猫も騙されているのではないですか?
ジョセフはショックのあまり、
その場に膝から崩れ落ちた。
動けなくなった彼の心の中には、
怒りと失望が渦巻いていた
あのくそ猫が!
だまされたのか...
うっうっ...
...
その様子を見ていたアレクは、
少しの同情を感じたのか、
ふと手元のチケットを取り出した。
これをどうぞ
うっ...うっ...これは?
プラチナチケットではありませんが、握手会がありますので来てください
!!!
ジョセフは感激のあまり、アレクに抱きついて
「ありがとう、ありがとう」と何度も
頬をすりすりした。
アレクは困惑しながらも、
なんとか冷静さを保とうとしていた
や、やめてくれ...
つづく