メイは深い闇の中でゆっくりと目を開けた。

彼女を包み込むのは、現世でのいじめの記憶と、
この異世界での恐怖が渦を巻く夢だった。

廊下での冷たい嘲笑、教室での孤独、
そして新たな世界での絶望。

それらが彼女の心を苛み続けていた。

「もういや!なんで私がこんな目に
合わなきゃいけないの!」

メイは涙が枯れ果てるまで叫び続けた。

心の底から湧き上がる怒りと悲しみが、
彼女を壊れかけた人形のように揺るがせた。



「私は死にたかった!だから飛び降りたのに!
どうして…どうして…!」


その叫びは虚空に消え、


彼女をますます絶望の淵へと追いやっていた。







その時、不意に眩しい光が彼女を包み込んだ。

混沌とした記憶と恐怖が一瞬にして退けられ、
光に包まれた中で、

メイは力強くも神秘的な声を聞いた。





「私がお前を連れてきた。
この世界の運命を変える者として。」



その声は、メイがこの異世界で最初に
出会った霊獣、魔狼のものであった。

その温かさと力強さが、メイの傷ついた心に染み渡り、彼女は初めて少しの希望を感じた。

メイは魔狼の言葉に戸惑いを隠せなかった。

「運命を変える者?」

「私の力は封印されている。
その力を解放することができるのは、
お前だけだ。」

「封印?」メイは驚いたように魔狼を見つめ

「私が…?どうして私がそんな重要な役割を?」

「現世でも、ずっといじめられ、
誰も味方をしてくれなかった。

頑張っても恐怖に負けて何もできない
運命なんて変えられない」

魔狼はその言葉に込められた思いを理解し、
メイの頭に優しく鼻先を当て

「お前がここにいるのは偶然ではない。

お前の心の中に秘められた強さが、

この世界の運命を変える鍵となる」


メイは涙をこらえながら


「どうしたらいいの、どうすれば強くなれるの?」



「お前は一人ではない。私がいる。

この世界にはお前を支える者たちがいる。

恐れずに進め、

それがお前の真の強さを引き出す道だ。」

メイは深く息を吸い、魔狼の言葉を胸に刻んだ。

彼女の中で、少しずつ新たな
決意が芽生えていった。



「お前の勇気と決意が私たちの

未来を切り開くのだ…」



そう言うと魔狼は静かに
ゆっくりと消えていった。

その姿を見送ると同時に、メイの胸の中には
不思議な力が湧き上がってくるのを感じた。

現世では友達もなく、
孤独な日々を送っていたメイ。

しかし、今の自分は違う。

この世界で出会った仲間たち、
そしてメイを導いてくれた魔狼

そのすべてが彼女に新たな力と希望を
与えてくれる。

「私はもう一人じゃない」とメイは
心の底から感じ、

孤独と苦しみから解放され、
今は強くなりたいと願う自分がいる。

守るべきものがあり、共に歩む仲間がいる。

その瞬間、メイは目を覚ました。

病院のベッドの上で、
白い天井が視界に入ってきた。

周囲の静かな音が耳に届き、
身体全体に感じる痛みが現実に引き戻された。

ここは病院...

その時、病室のドアが開き、
部隊長の蓮が入ってきた。

隊長...

隊長 蓮

まだ安静にしていろ

蓮は厳しい口調で言いながらも、
心配そうな目をしていた。



メイは蓮の目をまっすぐに見据え、
決意を込めて言った。

隊長、私もっと強くなりたいんです。この世界で自分を信じて戦いたい。

部隊長 蓮

...

蓮はメイの顔をじっと見つめた。
メイの顔には今回の事件で受けた
殴打の跡がまだ残っていた。

彼はメイがその恐怖を乗り越え、
自分からこの言葉を発することに驚き、
そして感心した。

その決心した目を見て、蓮は深く頷いた。

隊長 蓮

心配するな、俺が必ずお前を強くしてみせる

「はい」とメイは力強く返事をしたが、
目からは止めどなく涙が溢れていた。

自分でも抑えきれない感情が次々と
込み上げてきた。

蓮はその涙に動かされ、思わずメイを
そっと抱きしめた。彼の力強い腕に支えられ、

メイは今までの感情を一気に吐き出すように
思いっきり泣いてしまった。

蓮は優しくメイの頭を撫でながら、
蓮は静かに言った。

お前は本当に強いな



涙が落ち着くと、蓮はメイをベッドに
そっと寝かせ

隊長 蓮

今は自分を大事にして、ゆっくり休んでくれ

はい。ありがとうございます。



蓮は病室を出た後、

何かわからない感情が胸の奥から
こみあげてくるのを感じていた。


思わず抱きしめたメイの感覚が、
まだ腕の中に残っている。

メイの温かさ、かすかな震え、
不安と希望が入り混じった表情――

すべてが蓮の心に深く刻まれた。



部隊長 蓮

メイ、俺はお前を信じる。
共に戦おう

部隊長 蓮

しかし...

なぜだ?なぜおれの股間がこんなにも熱く!!

蓮は顔を赤らめながら何事もなかったように
足早にその場を後にした

つづく

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