一方、その頃ジョセフは団長の部屋にいた。
ソファに座って大好きなコーラを出されると、
ジョセフは満足げに言った

コーラとは、気が利きますなぁ♪

団長グレイ

はい。お好きだということを聞きまして。

団長グレイ

ところで今回の件なんですが、
事故ということにしていただけませんか?

なに?

はい、公演も近いですし、私どものような小さい団体で事件が起こったとなると、もう閉業するしかないんですよ。

しかし...あのロープの切れ方は故意にやったとしか思えない。

団長グレイ

いいえ、そのロープは劣化して亀裂が入っていたため、簡単に切れてしまったのです。

無理あるだろ...

いやぁ、それは...

団長は封筒を取り出して差し出した

団長グレイ

どうか、これで...

ジョセフは封筒を受け取り、中を覗くと、
大好きなドーナツとコーラ1年分の
プラチナチケットが入っていた。

こ、このチケットは?!

団長グレイ

1年間食べ放題、飲み放題の
プラチナチケットでございます。

団長グレイ

そしてそのチケットの価値は
あなたならご存じのはず...

ジョセフにとって、これはただの
プラチナチケットではなかった。

このチケットを手に入れた者は
アイドルのイベントに招待されるという
特別なチケットだった。

しかし、これは一般では入手困難な幻の
チケットであり、わずかに巡り会える
限られた幸運の持ち主だけが手に
入れられるものだった。

な、なぜこのチケットを!

団長グレイ

私はこの業界では顔がきくほうでしてね

ジョセフはチケットを胸ポケットにしまい、
考え込むように言った

まぁ、考えておこうか

その後、ジョセフは団長室を後にしながら、
心の中で葛藤していた。

警察官としての職務を全うし、
真実を明らかにするべきか、
それとも甘い誘惑に負けるべきか。

法律を守り市民を守ることが彼の使命だが、
自分自身の欲望がそれを揺るがしていた。

警察官としての責任感と、個人的な誘惑との間で彼の心は激しく揺れ動いていた。

つづく

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