ジョセフの言葉は
静まり返った小屋に重く響いた。

その裏切り者はカズオをだましてあの小屋までくるように仕向けた。

カズオは中で鍵をかけ、その猫が来るまで待っていたんだ。来るまで鍵を開けないようにと言われたんだろう

スケベ心丸出しのカズオは、小屋で待っていると突然ガスが充満してきた。苦しむ中、最後の力を振り絞り、泥で「アマー」と書いた

その"アマー"というのは?

尼さんのアマではない。それは

「アマイ」だ!

アマイだと?どういうことだ?

アマイ香りを放ちオスを誘惑する。その香りは、その猫の側まで来ないとわからない

そしてポテトがもらったこの手紙にも微かに甘い香りが漂っていた

俺はその香りの主を知っている
そいつが犯人だ!

いったい誰が!?

それは...

...

...

...

...

...

...早く病院...

ユイ...君だね

なんだって!

私何もしらないわ!!

ユイ、お前がカズオを殺したのか?

違います!カズオさんはガス中毒で死んでいたんでしょう!私にそんな事はできないわ

それは村の地下の秘密を知れば簡単なことだ。かつて温泉施設が沢山あったこの村は山からパイプを引いて温泉を運んでいた

温泉は枯渇したが有毒なガスは出続けている。そしてその濃度は午前0時に最も濃くなり、死に至ることを知っていたんだ

オレ達が清美村へ来たとき、深夜は温泉に行かないでくださいと言われた、それは有毒なガスが出ていることを知っていたからだ

だからといってなぜ私がカズオさんを殺さないといけないの!

ユイ、すまない、君の部屋を見させてもらったよ

これはそのとき見つけた写真だ

ジョセフが示した写真には、
ユイとサキ、そして母親らしき猫が映っていた

そしてこれが白骨遺体が持っていた写真

もう一枚の写真には、メス猫が2匹の子猫を
抱いて幸せそうに映っている

このメス猫の写真は両方とも君たち姉妹の母親だね。

...

その場は重苦しい沈黙が降りた。
過去の秘密が少しずつ明らかになり
真実への道が開かれていく

ユイ、君はシャーマンが母親であることを知っていた

母の言った予言通りに行動することで、母を守ろうとしていたんだろう

ユイの声は震えていたが、その意志は固く
静かな口調で話し始めた

...

私は憎かった...母や村のメス達をひどい目に合わせた猫たちを
カズオもその1匹

まゆこさんを無理やり自分の者にしようとしていた。だから、その報いを受けてもらったの

ジョセフはキリノの方を見た

これで満足か?実の娘がお前のせいで猫殺をしたんだぞ!

私が1匹でやったこと
母は関係ない...

ユイ、もういい。ユイがこうなったのは私の責任だ。私は村猫を憎むあまり、実の娘を犯罪に巻き込んでしまった

お母さん...

キリノはこれまでの事を話し始めた。

彼女は以前、
この村で無理やり結婚させられ、妊娠した。

2匹の娘は愛していたが、
この村では子孫を残すため、

他の娘と関係を持ってもいいという
暗黙のルールがあった。

そして、娘や嫁は観光客の相手をする
地獄の日々を過ごしていた

旦那を呼び出して
その小屋で殺したわ

しばらく親子3匹で暮らしていたが、サキとユイが成長するにつれ
不安になった

この子たちが村の犠牲になるのは避けたかったの

私は誓った
娘と村のメス猫を守ると

それで一度姿を消して
戻ってきたのか

もう二度とあのような悲劇を起こしてはならない

しかしそれが村への復讐になってしまった

キリノの言葉には、長年積み重ねられた
苦しみと絶望が滲み出ていた。

復讐の連鎖は新たな悲劇を生むだけだ。大切な家族を巻き込み、
猫殺を犯すことに、何の意味がある?

本当に村のメス猫を守りたいならもっと他に方法があるはずだ
(キマった!)

ジョセフの言葉にキリノは深く頷き
涙を流しながら言った。

私は復讐心が強くなりすぎて、大切なものを見失ってしまった

ジョセフさん
私を逮捕してください

お母さん...うぅ...

まさか...
こんなことにるなんて

おらたちは
申し訳ないことをした...

その場の空気が一瞬にして重くなり

キリノとユイは静かに地元の
警察署に引き渡された。

過去の村の悲惨な出来事が
復讐という形で再び悲劇を生んだのだった。

つづく

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