キャットタウンは、クラシックでおしゃれな
家やお店が並び、その間を悠々と歩く
猫たちで賑わう、平和そのものの場所である。
この小さな町の片隅には、古びたレンガ造りの
建物があり、その看板には
「キャットタウン警察署」と書かれている。
そこは、町の秩序を守るための猫たちの
拠点であり、そして今日、
その重要な場所で新たな
物語が始まろうとしていた。

主人公の名前はジョセフ、キャットタウン警察署に勤める猫の警察官だ。彼の過去の活躍は、町中の猫たちの間でよく知られている。しかし、
ジョセフ自身は自己の業績にほとんど興味を
示さず、警察署内での彼の日常は、
ドーナツを頬張り、コーラを飲むことに
費やされていた。

ジョセフ

♪~

ある日、警察署に新たな風が吹き込んだ
新人警察官、ポテトが赴任してきたのだ
ポテトは真っ白な毛並みを持つ猫で、
目を輝かせながらジョセフに近づき、

ポテト

今日からお世話になります!
ポテトです!

感激です、ジョセフ先輩と一緒に仕事できるなんて!

ポテトの言葉に、
ジョセフは少し驚きながらも、得意げに

お、そうか、おれの素晴らしさがわかるか!

はい!ジョセフ先輩の活躍の噂は聞いています。どうか、たくさんのことを教えてください!

しかし、ジョセフの内面はその外見や過去の評判とは裏腹で、彼は自己中心的な性格であり、街の猫たちのことよりも自分の私利私欲を優先していた。以前、偶然犯人を逮捕したことで、町の猫たちからの評価が上がったものの、
ジョセフ自身は仕事に対する熱意をほとんど持っていない。

まあ、そんなに急ぐな。まずはこの町を知ることから始めよう。キャットタウンは見た目以上に奥が深いんだ。

はい!かっこいい~

なんか調子狂うなコイツ...

その時、一匹の猫がドアを開けて入ってきた。
その猫は、都会のキャットタウンには似つかわしくない田舎っぽい服装をしていて、どこかそわそわした様子だった。ポテトはその猫を見つけて、張り切って迎えた。

ポテト

今日はどうしました?落とし物?それとも迷われました?

ポテトが元気よく尋ねると、田舎の猫は少しおどおどしながら答えた

い、いえ、ここにジョセフさんがいると聞いて…

ポテト

ジョセフ先輩ですか!もちろんいますよ、まさか…!

じょ、ジョセフ先輩を訪ねるってことは…事件ですか!?事件なんでしょ!

オイオイ

いえ、まだ事件ではないんですが…

安心してください!先輩に任せればどんな事件も解決します!さあ遠慮なく、殺猫ですか?誘拐ですか?

やばい奴が入ってきたな…

オラは清美村(きよみむら)のタダオと言います。じつはオラの姪が家に帰ってこなくて…

誘拐ですか!先輩の得意な分野だ!

ちょっとまて!話を勝手に進めるな!

誘拐じゃなくて…

ジョセフは面倒臭そうにため息をつき

あー、悪いんだが失踪なら管轄の警察署に届を出してくれ

失踪でもないんです。居場所は分かっているんです!どうか姪を取り返してくだせえ!

悪党か!悪党に連れ去られたんだな!

悪党といえば悪党かもしれません。おらの村にシャーマンを名乗るメス猫がやってきて、村の若いメス猫を取り込んで、たくさん貢がせているだよ。おらの姪のサキもそのシャーマンの家に行ってしまった

ジョセフはやれやれと思いながらも、ポテトの熱意に押されるようにタダオに向き直った。

なるほど、話はわかった。少し落ち着け、しかしあなたのド田舎村にも警察はいるだろう
そこへ相談しなさい

ポテト

あれ先輩
行かないんですか?

キャットタウンの警察署の一角で、ジョセフは
コーラの缶を片手にタダオの依頼を断った

おれの管轄はキャットタウンだ。地方の田舎に行くわけにはいかない。俺がここにいなければ、誰がキャットタウンを守るのか?

そうですか、その通りでございますね!

そーゆー事だから
帰ってください。

やはり無理ですか…。おらの村には温泉があるだけで、他には何もありません。その温泉も枯渇して、唯一残ったのは混浴できる女神の湯だけで…

その瞬間、ジョセフの耳がピクリと動いた。

ここに有名な警察官がいると聞いたんですが、残念です

ちょっとまて、その姪の写真はあるか?

はい。これです

手が人間になっておりますが猫です

か、かわいい...

姉妹なんですが、姉のサキがそのシャーマンの家に行ってしまって…

こらこら、先輩は忙しいんだ!
出てってくれ。

しかし、ジョセフは急に立ち上がり

いいだろう

ポテト

え?

ポテト

先輩、本当に行くんですか?

ジョセフは写真をポケットにしまいながら

仕方ない、困ってる猫を見過ごすわけにはいかんだろう。調査してみるか

さすがです~

ありがとうごぜぇます。ジョセフさん!おらの村を救って
くだせぇ!

こうして、ジョセフとポテトはタダオの村へ向かうことになった。キャットタウンの平和を一時的に他の警察官に任せ、ジョセフは新たな地へと足を踏み入れたのだった。彼の心には、混浴の温泉と美しい姪の姿がちらついていた。

つづく

1話 清美村からの相談者

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