目の前には炎に包まれた一軒の家があった。
それは、なんとジミーの家だった。

会長が息を切らせて駆けつけた。
ジミーは会長にに向かって強い口調で言った

だから言ったんだ、見回りしてる間に放火されたらどうするんだって!

すまないジミー
こんな事になってしまって

会長は深く頭を下げ、
「本当に申し訳ない」と繰り返した。

幸いにも、家の火災は庭の小屋で済んだようだったが、ジミーは愕然とした様子で、
その場に立ち尽くしていた。

翌日、ワトリーはジミーの家にいた。
昨日の火事現場を調べに来たのだ。
ワトリーが心配そうに尋ねる

ワトリー

ジミー大丈夫?

ああ、なんとかボヤで済んだからよかったよ

ボクが絶対犯人を見つけるのだ!

ああ、他の住人も怖がっていたよ。見回りしているのに、効果がないってね

他の作戦を考えるのだ!

力強く言い、火事の現場を丹念に調査し始めた。

事件の舞台となったのは、ジミーの家の敷地内にある物置小屋だった。火は物置に限定されていたものの、その周辺は黒く焦げた跡が残っている。しかし、ジミーの家の庭はその影響をまるで受けていないかのように、美しく手入れされていて、色とりどりの花が咲き乱れていた。

ワトリー

ジミーの庭は
とてもきれいなのだ

おれは昔、庭師だったからな
庭の手入れは欠かせないのさ

ワトリーは物置小屋を調べた
中に入ると、特に奥の方が激しく燃えたようで、
焦げた跡が広がっていた。

ワトリー

あそこがすごい燃えたみたいなのだ

さあ、使ってない灯油があったかもしれない

物置の外に出たワトリーは、
破裂して焦げたタンクのような物を見つけた

ああ、これは除草剤だよ。庭師は草取りも任されるからな

ワトリー

クンクン
やはりここも何かアルコールのようなものをまかれたのか?

そして、変わった焦げ跡を見つけた。

ワトリー

あれ、棒のような焦げ
跡があるのだ?

ワトリー

クンクン
それにこの匂いは?

以前の火事現場での匂いとは別の匂い
がした事をワトリーは思い出した
今回の現場も同じ匂いを感じていた

なんだ?火薬かな、火薬で火をつけたのかな?

火薬にも独特の匂いがあるからな

ワトリー

火薬で導火線の役割をしたということなのか?

まったく、
物置小屋だけで良かったよ

ジミーとワトリーが灰となった火事の現場を慎重に調べていると、足音が近づき、
ジョセフが姿を現した。

ワトリー、ご苦労さん。見回りもむなしく、第3の放火事件が発生したか。

ワトリー

うん、犯人は見回りの目を
かいくぐって放火したのだ

ワトリー

ジョセフ、何か手がかりをつかんだのか?

昨日、見回りをしていなかった住人は、自治会長とあの怖い顔のバーバラだけだ。

自治会長は年齢を考慮して一日おきの見回りで、昨日は家にいたそうだ。バーバラは見回りなんて無駄だと言って参加していなかった。

ジミーがふと思い出したように話し出した

そういえば、会長は昔、採石場で爆発物を取り扱っていたって言ってたな。

爆発物?

ワトリー

ここに棒状の焦げ跡があるんだ。ジミーはこれが火薬じゃないかって言ってるんだよ。

あのじじぃが怪しいな…

ワトリー

でも、火薬で火をつけたら、自分も危険にさらされるのだ

ワトリー

その先には可燃性の何かがまかれているのだ。会長が早く逃げられると思う?

確かに、あのじーさんは杖を突いているからな。じゃあ、怖い顔のバーバラか?

ワトリー

まだわからないのだ

3匹が放火の考察をしていると、バーバラが現れた

ジミー!

ひぃっ!!

バーバラ

あんたがあの屋敷に出入りしているから、これは呪いだ、あの屋敷を売ってはいけない!

ワトリーは少し戸惑いながらも

ワトリー

ジミーは管理してるだけなのだ

しかし、バーバラの心配の矛先は、屋敷そのものよりも、それを取り巻く事情にあるようだった。

管理も同じことだ、屋敷が売れたら開発計画もまた進むだろ!

バーバラ、おれはちゃんと地区を守る集会にも出てるし、この土地を売ろうなんて思ってないよ

じゃあ屋敷の管理なんてやめちまえ!

そう言ってバーバラは出ていった

迫力があるのだ

ああ、近所でも有名さ、開発の話になるといつもヒステリーを起こすのさ

ワトリー

ジミーは逆恨みされてるのだ

さあな、確かにあの屋敷が売れたらまた開発の話が進むかもな

しかし、放火された3件は全て開発計画を支持している猫たちだ。やはりバーバラが怪しいな

俺は支持してないぞ

バーバラはジミーが支持していると勘違いしているようだ

ワトリー

じゃあ、呪いと言って、支持している家に嫌がらせをしているのか?

あり得るな、あの顔は猫を呪う顔をしている!

ワトリー

顔は関係ないのだ

オレは一旦、署に帰る。ワトリー、あとは頼んだぞ。何かあったらすぐに知らせろ

ワトリー

わかったのだ

警察の現場検証が終わり、ジミーと
ワトリーは物置小屋を片付けることにした。

つづく

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