ワトリーとジョセフは不気味な屋敷の前に立っていた。ジョセフは不安げにワトリーを見つめ、
声を震わせながら尋ねた。

おい、ワトリー
ここは一体なんだ?

ワトリー

ここは幽霊が出る屋敷なのだ。

ゆ、幽霊って、さらっと言うんじゃねぇ!

ジョセフは恐怖を隠せずにいたが、ワトリーはおかまいなしに柵の門を開け、屋敷へと足を踏み入れた。時刻は夕方。生い茂る草をかき分け、ぼろぼろの柵を開けた瞬間、カラスが騒ぎ出した

ひぃぃぃ!

冷たい風が吹き抜けジョセフは仕方なく
ワトリーの後をついていくが、
突然ワトリーが立ち止まった。

ど、どうした?

ジョセフが問うと、ワトリーは
上を見上げていた。
ジョセフもその視線の方へ目をやると...

ぎゃぁああ!!

今日はいたのだ

あ、あれが噂の?

ワトリー

警察官と一緒なら調査することができるのだ。さあ、行くのだ。

い、いや...やめて

ワトリーは嫌がるジョセフを無理やり引っ張り、
2匹は屋敷の中に入った。中は薄暗く、
何年も空き家と言われていたが、
意外と綺麗に片付いていた。

どこに行くんだ何もないぞ

ワトリー

2階に行ってみるのだ

に、2階ってさっき見た...

ワトリー

幽霊に会いにいくのだ

いや!絶対にいや!

ワトリーはジョセフの背中を押しながら
2階の階段を上る

ワトリー

ここなのだ

い、嫌な予感しかしない...

ドアを開けようとした瞬間

誰だ!

懐中電灯で照らされてた

キャァァー

ワトリー

あ、あれ?

あなたは?!

ワトリー

あ、不動産屋さんの

どうやって入ったのですか?

ワトリー

鍵は開いていたのだ

だからといって勝手に入っては困ります!

ワトリー

実はゆう...

ああ、これは捜査の一環なんですよ、最近ここら辺で放火事件があるだろ、その犯人がここに潜んでいるのではないかということで来たんだ

不動産屋は怒りつつも、
ジョセフの急造された言い訳を受け入れた。

ワトリー

そ、そうなのだ

でしたら先に連絡してください。勝手に入るなんて非常識ですよ!

ワトリー

ごめんなさい、
でもどうしてここに来たのだ?

あなたが変なこと
言うからでしょ!

ワトリー

この部屋をみたいのだ、このへやに少女がいたのだ

全く、誰もいませんよ!
中を見たら直ぐに帰ってくださいよ

部屋の中の物は触ったりしないでくださいね

ガチャ

不動産屋は仕方なく彼らを部屋に案内した。部屋には何もなかったが、窓のそばの絨毯には何かが引きずられたような跡が残されていた。

ワトリー

これは?

ああ、この屋敷の家具を動かした時の跡ですね。屋敷を売る時に残留物があると売れないんですよ。

ワトリー

何十年も住んでいないと言ったけど、意外と中は綺麗なのだ

それはうちの会社が頼んでいる管理人さんがいるんですよ。たまに掃除していますので。

さあ、もう帰ってください

イーサンはそう語り、2匹を屋敷から締め出した。

つづく

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