アレクの事務所は、まるで台風が直撃したかのように散乱した書類で荒れ果てていた。ジョセフとワトリーは、証拠を求めて奮闘している。机の上も、棚も、そして床も、彼らの懸命な捜索によって一通り探し尽くされていた。フェリックスはその光景を静かに見つめながら、
アレクの反応を探っていた。

ワトリー

フェリス、何も出てこないのだ...

フェリックス

金庫はどうですか?

ワトリー

見たのだ。鍵がかっている場所は全部見たのだ

全部の引き出しやトイレのタンクまで見たぞ。

アレク

どうしたのですか?今度は身体検査でもしますか?ここで全裸になりましょうか!

フェリックスは考え込む。
アレクの挑発には乗らない。
一方、アレクは不機嫌そうに続けた

アレク

まったく、私は散らかっている
部屋が大っ嫌なんだ。
もう充分だろう

そして、内線電話を手に取り、
受付の猫に片付けを指示する

アレク

すぐにごみを片付けてくれ。

ワトリー

どうするのだフェリス

その矢先、受付の猫が部屋に入ってきた、
ごみの袋を持ち机に向かう。
その瞬間、フェリックスが声を上げる。

フェリックス

ちょっと待ってください

部屋には緊張が走り全員がフェリックスの視線の先に目を向けた。彼の目は、机の一角に落ちた、一見何の変哲もない一枚の紙片に注がれていた。その紙片が、この謎を解く鍵である可能性が、
フェリックスの直感を刺激してたのだ。

つづく

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