フェリックスの目が鋭く光りながら、
受付の猫に近づいた
猫は不意を突かれたように、
シュレッダーの作業を一時停止した。
フェリックスの目が鋭く光りながら、
受付の猫に近づいた
猫は不意を突かれたように、
シュレッダーの作業を一時停止した。
私たちはごみを散らかしに来た訳ではないんですよ。
フェリックスはそう言いながら、受付の猫が手にしていたシュレッダーを静かに手に取ると、中身を床に撒いた。紙くずがバラバラと空中に舞い、その中から予期せぬものが現れる。
!!!
アレクさん、これは選ばれた少女に渡すキーホルダーですね?
っく...それは
どうやら手紙は私たちが来た瞬間にシュレッダーされたようですが、キーホルダーまでは出来なかったようですね。
な、なぜそこにあると分かった?
日ごろから受付の方に部屋を掃除させているようですね。
その時に必ずシュレッダーのゴミから片付けるように指示していた。そのことを知っていて受付の方をよびましたね。
あなたはそのゴミと一緒に証拠も隠滅させようとしたのではないですか?
その時、ジョセフが声を上げる。
よしこれは立派な証拠だ、直ぐに署に連行するぞ。
フェリックスはジョセフに手を
上げて制止をかける。
ジョセフ、あと少しだけアレクと話したいのです。私が責任をもって警察署に送り届けますのでお願いします。
ジョセフは一瞬躊躇するが、フェリックスの真剣な眼差しに心を動かされる。
まあ…いいだろう、オレは先に帰っているからな
(ドーナツも途中だっだし)
ジョセフがその場を後にすると、
フェリックスはアレクに向き直る
私にはわからないのです、あなたのような賢明で立場もしっかりした方が、なぜこのような事を起こすのでしょうか?
おそらく君には想像もつかないだろう
人間社会で知名度を上げれば、地位や名誉を超えた素晴らしい展望が開けるのだ。
私はそのための手引きをしている。
猫たちが実験台に使われてもいいと言うのですか?
多少の犠牲は仕方のないことだろう
アレクは断固として言い放った。
アレクの目には、猫たちが美しく有名に
なることが、どんな犠牲を
払っても達成すべき最高の幸せであるという
信念が燃えていた。
フェリックスはその冷酷さに心を痛めつつも、アレクの目をじっと見つめ返した。フェリックスにとって、猫たちの安全が何よりも重要だった。このままでは、猫たちはただの実験台に
利用されるだけの存在に過ぎない。
でも、猫たちにも選ぶ権利があるはずです。犠牲となることを望む者は、一体どれほどいるのでしょうか?
フェリックスよ、君にはまだまだわからないことが多い。世界は常に犠牲の上に築かれている
それを受け入れなければ、進歩などありはしない。
フェリックスは深くため息をついた。アレクの言葉には一理あるかもしれないが、フェリックスにはそのような進歩が許容できなかった。
フェリックスにとって、猫たち一匹一匹が尊い命。そして、その命を守るためなら、
どんな闘いにも挑む覚悟があった
つづく