管理長は、重い沈黙を破って話し始めた。

管理長

わかりました。すべてお話します

管理長

最初は娘にオリバー君のサインを頼まれたのがきっかけだった。

管理長

あのマネージャーは快く引き受けてくれてね、オリバー君本人からサインをもらったよ。

管理長

そしたら今度はマネージャーの方から娘にスタジオに見学させてくれるという話がきて、娘はそれは喜んでね

管理長

私は離婚して以来、娘とは会えなかったので、娘とオリバー君の話をするのが楽しかったんだ。

フェリックスは、アイスクリーム屋のテラス席に腰かけながら、管理長の話を聞いていた

フェリックス

ここでよくお嬢さんと一緒にお話をしていたんですね。

管理長

はい

管理長

それから、何かとマネージャーに要求されまして、娘のために仕方なく…

フェリックス

門を開けたのもマネージャーの指示ですか?

管理長

はい

管理長は携帯を取り出し、映っている
金のキーホルダーを見せた

管理室の中で、マネージャーと管理長が
言い争っている。管理長の声が響いた

管理長

いくらなんでも申請の無い者を出すわけにはいきません。

マネージャー

わかっています。申請は後から出しますから、大丈夫ですよ。

管理長

だめです。ちゃんと手続きを踏んでください。

しかしマネージャーは、
不安をあざ笑うかのように言葉を続けた

マネージャー

これは緊急を要する案件なのです

マネージャー

私たちが抱えるタレントが、人間界で一大チャンスに巡り合う重要な局面に立たされているんです

マネージャー

人間界での名声は計り知れない価値がある。あなたも理解しているはずです

マネージャー

人間界で有名になるのは、ただの成功以上の大偉業なのです

管理長

しかし...

管理長の言葉は途切れ、
マネージャーはさらに追い打ちをかけた。

マネージャー

ご存じですか。あなたの娘
エイミーは来月…

つづく

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