それはとある締め日間近の夜でした。

担当

俺行っちゃうけどちゃんと仕事行くんだよ!

みぃ

行ったところで間に合うわけないんだけどね

担当

そんなこと言ったって、自分で飲んだ分でしょ

みぃ

私だけのじゃないもん

担当

じゃ、頑張ってね!

みぃ

うん…

この日、私は自分の飲んだ売掛分とかけ漏れした姫の分のお金をあと3日で稼がないといけないという結構切羽詰まった状況でした。
そんな切羽詰まった状況で簡単に仕事に行けるわけもなく、いわゆる当日欠勤をして家で寝ていました。
そして、明け方4時。それは唐突に訪れたのです。

担当

は!?行ってねぇの?漏れるじゃん

みぃ

ちょ、痛い!!

酔っ払って帰ってきた担当は、その酔っ払いの勢いのまま、ベッドへダイブ。そして、そこにいた私を殴り出したのです。

担当

あ?テメェふざけんじゃねぇよ!

みぃ

ちょ、顔はやめてまじで!出勤できなくなる!

担当

出勤してねぇじゃん

みぃ

それはそう。じゃなくて、やめてって!

担当

ウルセェ

ピンポーン

みぃ

ほら!なってるよ!静かにしないと!

担当

しらねぇよ!

みぃ

(あ、これはやばいかもしれない)

担当

別にだってお前、俺もう終わったじゃん

みぃ

(これはとりあえず、離れなきゃ)

担当

逃げんじゃねぇよ

その時、ピッピは首を閉めてきました。
結構ガチ目に首を閉められて、命の危機というよりか、キレた私は、もがいてもがいて、ピッピの眉毛あたりに噛みつきました。お腹を蹴り上げたり、色々抵抗しました。
のちにこれが仇となってしまうのですが、この時はそれどころではありませんでした。
取り上げず視界に入った尖ったもの、切れそうなものは暴れながら遠くに蹴飛ばしたり、投げたりしました。
そして、ピッピの力が緩んだ瞬間に、玄関から外へ裸足で逃げました。

大丈夫ですか?

階段を駆け降りるとすぐに階下の方に部屋に保護してもらえました。

警察すぐ呼びます

みぃ

お願いします

警察を呼ぶと今までのことが全部終わってしまうことも理解はしていたのですが、先週のホテルといい、そろそろ限界を感じていたので、こんなに暴力を振るわれるならと警察を読んでもらいました。

血が出てますよ

みぃ

すみません。。。

捨てても大丈夫と言われてタオルを借りて殴られた箇所を拭ってみると結構な出血がありました。

少し経って警察の方が到着し、ピッピは部屋から警察署へ連れて行かれました。
そして、私も別のパトカーに乗せられて警察署へと連れて行かれました。

立派なDV案件です。

それで?なんでそんなに喧嘩になったの?

みぃ

多分私がお金払えないからだと思うんですけど、、

暴力は初めて?

みぃ

いえ、ケンカはよくやっていたので

彼は君が手を出したって言ってる

みぃ

先に手を出したのは酔っ払った彼です

彼いつもあんなに飲むの?

みぃ

??

普通なら酩酊してるんだよね、家に帰って来れるわけがない

みぃ

!!!

ほんとに外で飲んでたの?

みぃ

ほんとです!インスタのストーリーズに載ってます!

見せてもらっていい?

みぃ

これです

そっか。ありがとう

向こうは君が先に手を出したから別れたいって言ってる

みぃ

はあ!?向こうが先に手を出してて、なんで私が悪いみたいになるの!?あ。被害届とか出せます?

君、向こうに怪我させてるでしょ。相殺されるよ

みぃ

男の人が上に乗っかって首絞めてきたら、誰だって抵抗しません!?

やりすぎだよ

みぃ

首にアザが残るほど首絞めるやつにやりすぎもクソもあります?!

そういうことしてたんじゃないの?下着もつけてなかったし

みぃ

ブラだけでしょ!?寝る時はとるんです、私は!パンツ履いてたし、服着てました!

逃げる時に着たんじゃないの?

みぃ

はぁ?!首にあざできたり、顔殴られたり、ほら!腕!こんなにあざになるほど殴られててそんな暇あるわけないじゃないですか!

だって彼ホストさんなんでしょ?

みぃ

ホストならなんでもありなんですか!?

君もキャバ嬢でしょ?

みぃ

派遣もやってます!

それでもちゃんと働いたほうがいいんじゃないの?

みぃ

派遣はちゃんとした職業ですし、今職業は関係ないですよね?!

ほら、怒らないで

みぃ

・・・。ちなみに、向こうは別れたいって言ってるんですか?

そうだよ

みぃ

荷物はお店に郵送でいいですか?

捨てていいって言ってる

みぃ

向こうと話すことはできないですか?

喧嘩になると思うし

みぃ

ちなみに向こうはどれくらい酔っ払ってますか?

起きてるのが不思議なくらい

みぃ

じゃあ、話にならないですね

とりあえず、別れてもらって、合わないほうが良いと思う

みぃ

わかりました

で、君もちゃんと働いて

みぃ

働いてますけども

と若干むかつきながら、警察の車に乗せてもらって家に帰りました。


そして、家の中を見て大号泣しました。
ピッピは多分普通に酔っ払ってそんなけんかしたことも覚えてなくて、ちょっと正気に戻った時に部屋が汚いことを受けてしっかり片付けをしてくれていたのです。
倒れて割れたテレビはちゃんと立てられ、散乱した文房具はちゃんと机の上の文房具入れに収納されており、本当にただの喧嘩のつもりだったのです。
私は大いなる喪失感に泣いて泣いて、でも警察署で、携帯の中の彼の連絡先は消されていたので、どうにもならず、諦めて不貞寝していた時のことでした。

10話 あーし、警察沙汰になる その1

facebook twitter
pagetop