じーじのおうちをでてから
おかあしゃんとあたしは、
おかあしゃんのふるさとの
しまにこっそりとかえって
きました

おかあしゃんのおうちには
いまはだれもすんでなくて
すなっくってゆうおみせと
つながってます

しってるひとにあんたのこと
がばれたらはずかしいから

そういって、おかあしゃんは
あたしをおしいれにとじこめ
ました。そこからぜったいに
でちゃだめだって

おかあしゃんがおみせにでてる
ときだけは、ねるへやにおいた
だんぼーるのなかにいていいっ
ていってくれました

おみせのやってるときだけ
だんぼーるからぬけだして
おみせのなかをのぞくのが
いちばんたのしかった

……おきゃくさんはあんまり
こなかったけど

だけど、あるときから
おっかないかおをした
おおきなおじちゃんが
よくくるようになった
んです

おじちゃんはおかあしゃんに
「もちっとしっかりしろ」
「しゃっきんばかりじゃだめ
だ」とかぶつぶついいながら
だけどさいごにはたくさんの
おかねをおいていきました

おかあしゃんは「きてもらって
わるいねぇ」とか「あんたんち
はしきいがたかくてさぁ」とか
いってぺこぺこしていたのに、
おじさんがいなくなると「ケチ
なごうつくばり」「かねかしが
えらそうに」ってもんくばかり
いってました

ーーおかあしゃんはおかねが
かえせなくなると、じーじの
うちからぬすんできたものを
おじさんにわたして、おかね
をもらうようになりました

やめてってたのんだらあたし
がのぞいてるのがばれちゃう
しぶたれちゃうからじーじの
ものをかくしたら、なんども
つよくなぐられました

あるひ、とうとうじーじが
いちばんだいじにしていた
きんいろのだいこくさま?
のぞうを、おかあしゃんは
おじさんにわたしてしまい
たくさんおかねをもらって
いました

おかあしゃんはこのかねで
またとうきょうにもどれる
ってよろこんでました

あたしはこえをださないで
なきながら、だいこくさま
とおじさんのこわいかおを
わすれないようにしっかり
みておきました

ーーいつか、あのおじさん
からだいじなだいこくさま
をかえしてもらうために

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