……今から俺が言うことは、ただの仮説……
いや、この状況に混乱して出てきた妄言と思って聞き流してくれ
は、はあ……?
最初、俺はこの場所に集められた者は全員"死んでいる"と思っていた
…………
えぇ!?ど、どうしてそんなことを……いや、え、どういうことですか!?
落ち着いてくれ。まずは、俺の妄言を聞いてほしい
自分でもよく分からなくなったんだ。誰かに話して整理したかった……その相手がセナなだけなんだ
真剣に聞かなくて良い、話だけさせてくれ
う……分かりました
ありがとう
続けるぞ、俺がそう思った理由は……
空腹とか眠気とか、人間であれば誰でも感じるもの……それらが、一切感じられないんですよ~
"生きている"人間が持っている三大欲求のようなものが、俺にはないからだ
三大欲求……食欲、性欲、睡眠欲のことですね
だから、俺は食事を必要としないし、睡眠もいらない
生きていれば、それらは"生きる上で必要な行為"であるのに……な
俺だけじゃない、レイも俺と同じだった。
だから、全員がそうだと思っていた……思い込んでいた
だが、今日のこのピクニック中に違和感があったんだ
あ……その、すみません。さっきクッキーをいただいたばかりなのに
ふふ。それじゃあ目的地に着きましたし~、お昼ご飯を食べましょうか~
賛成、オレもちょうどお腹が空いてきた
実は、私も……
いっぱい作ってきたので、皆さん遠慮なくお食べくださいね
カズマ、ユヅキ、セナは空腹を訴えていた
カズマは腹が鳴った……身体が活動している証拠だ。俺は一度も、腹が鳴ったことがない
セナは空腹を訴えた上に、弁当を用意していた。つまり、「他者が自身と同じように空腹を感じる存在」と認識している
ユヅキは……まぁ正直、分からない。空腹を言葉で訴えるだけなら、俺もレイも可能だからな
……ソウスケさんもレイさんも、お弁当を食べていました。食事という行為自体も可能、ということでしょうか
それじゃあ、食事の時に言っていた「美味しい」は……周りに合わせた言葉、思ってもいない言葉だったんですね
シュウヤ、アサヒも不明だが……少なくとも、"生存者"と"死亡者"がこの場に同時に存在していることは確かだろう
……セナ、情報共有をしよう
え?
俺は今、記憶の欠片を三つ手に入れている。それら全ての情報を、お前に教える
……「だから、お前も俺に記憶の欠片の情報を教えろ」、ということですか?
ああ。記憶の欠片がこの謎……この場所を脱出するための、唯一の手がかりと思っている
だが、俺一人の記憶の欠片では、考えるにも限度がある。だから……
セナ。俺の協力者になってくれないか?
…………一つ、質問させてください
先ほど湖に飛び込んだのは、"死んでいるから溺死しない"と思ったからですか?
ああ、そうだ
……このままソウスケさんを一人にすれば、同じようなことを繰り返すかもしれません
いえ、もしかしたらそれ以上のことを……
……。分かりました、ソウスケさん