アサヒ

……つまり、シュウヤは死んでいる、ってこと?

シュウヤ

ああ。正直信じたくないけど、事実だと思う

アサヒ

信じたくないと言うか……突然すぎて信じられないよ、そんなの

アサヒ

えーと、"記憶の欠片"っていうものを兄貴はシグレから貰っていて……

アサヒ

それから推測したら、兄貴はボクのため……弟のために死んだ、と

アサヒ

ほんと……意味分かんないよ。そんな話どうやって信じろって言うの?

シュウヤ

こんな悪趣味な冗談、ボクだって言わないよ

アサヒ

分かってるけどさぁ……だからって、「はいそうですか」って簡単に信じちゃうわけではないじゃん

シュウヤ

アサヒはまだ"記憶の欠片"を貰っていないんだっけ

アサヒ

そーそー。
だから正直、こっちの判断材料がない状態でそんな話されても……って感じ

シュウヤ

いや、逆に貰ってなくて良かったと思うよ

シュウヤ

あんなものを見ずに済むなら、それが一番だ

アサヒ

……その"記憶の欠片"って、人狼ゲームで勝利したら貰えるんだよね?

アサヒ

兄貴は……三日後の人狼ゲーム、ボクが負けるように仕向けるの?

シュウヤ

…………そんなつもりはないよ。
ただ、"記憶の欠片"を受け取る時は覚悟しておいて

シュウヤ

ボクはアサヒの兄貴だ、この手が届く範囲にいるのなら必ず守る

シュウヤ

だけど、"記憶の欠片"については……ボク個人がどうこうできるものじゃない

シュウヤ

それを……忠告しに来たんだ

アサヒ

…………分かったよ、できる限りは覚悟する

シュウヤ

欠片は全部で五つ。ボクが今持っている二つの情報は伝えたけど、また何か分かったら教えるよ

アサヒ

うん、ありがと。ボクも何か分かったら連絡する

アサヒ

にしても、兄貴が死んでいるなんてね……

シュウヤ

寝る必要もないから、ゲームはとことん付き合えるよ?

アサヒ

うーん、今はそんな気分じゃないかな

アサヒ

っていうか、それならどうしてあの時一緒に眠っちゃってたの?

シュウヤ

あの時?

アサヒ

ほら、ユヅキさんと三人で時計台に侵入した時……

アサヒ

時計台の中に入って、隠し通路見つけたからそこを通って……ボクはそこから記憶がないから、眠っちゃったんだろうけど

アサヒ

死んでいて睡眠を必要としない兄貴が、どうしてあの時眠っちゃってたの?

シュウヤ

それは、ボクにも分からない

シュウヤ

考えられるのは……シグレが何かしらの方法で、強制的に活動できなくなるようにしたのかな

アサヒ

ふーん……なんだか、ゲームみたいだね?

シュウヤ

ゲーム?

アサヒ

ほら、一定の範囲を超えようとした時に強制的に戻されたり……不可視の壁のせいで先に進めなかったり……

シュウヤ

…………

アサヒ

…………

シュウヤ

信じられない話だけど

アサヒ

"信じられない話"を共有しあった後だから、あり得るって思っちゃうよね

シュウヤ

もしこの考えが本当だとしたら、ボク達は"ゲーム"の登場人物だ

アサヒ

死亡者と生存者が共存しているこの場所だよ、それくらい突飛なものじゃないと逆に変だ

シュウヤ

そうだとしたら、この"ゲーム"を楽しんでいる"プレイヤー"がいる

アサヒ

"雇われゲームマスター"って肩書のシグレは、システムみたいな立ち位置なのかもしれないね

シュウヤ

"プレイヤー"がいる、ってことは……

アサヒ

ボク達は常に"監視対象"、ってことだよね

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