16.悪魔のエレベーター(前編)
16.悪魔のエレベーター(前編)
…………
…………
その……
…………
あなたは何者なんですか?
…………
…………
……私は
君に憧れたファンもとい
メフィと申します
……ファンですか
その、ふざけないで下さい
……うむ、すみません
冗談を言ったつもりはないのですが
ノエルにはそう聞こえましたか
そう聞こえます
それに私の姿をしないで下さい
本当の姿を見せて下さい
ふふ、それはそうですね
お話をしましょうか
ノエル
ことの始まりはいつも通り救済天使としての仕事を終えて天界に帰ろうとしていた時でした
カイトさん……今日はすみません
「そんなに落ち込むな
お前が悪いんじゃないぜ
キュキュー
ありがとうございます
でも……
何、間違いは誰にでもあるんだ
終わったことを気にするんじゃない
そうですね。そうします
キュキュ
はい。次に活かせばいいんですね
…………
なっ
キュ!!
アレは……私ですか?
…………
待って下さい
待て追うな。ノエル!
キュー
…………
ハァハァ
…………
待って
……エレベーター
…………
あなたとお話をする時間はありません
おや、私は世間話をしたいだけです
それならこんなところに閉じ込める必要がありましたか
嘘をつかないで答えて下さい
いいですよ。答えましょう
私はあなたのことが
邪魔なのです
邪魔ですか
はい、例えるのなら育てた畑の穀物を奪う者が現れたら
邪魔ではありませんか?
それが私?
ええ、奪う者です
私はあなたから物を奪った覚えはありませんよ
君にはないだろうね
ないからこそ
ここに来てもらいました
……私が奪った
何をですか
見に覚えがないようだね
君が善意で多くの人間を助けてきた
その中で君の力が及ばない怪異と戦ったはずだ
怪異……ですか
確かに怪異と遭遇はしましたが
奪った覚えはありません
いや、君は奪った
少なくても三回は
三回も?
はい。あなたは三回も私の獲物を奪った
どういうことですか
獲物、獲物って
あなたが助けた人間ですよ。ノエル
――まさか
そう驚かないで下さい
気が付いたようですね。ノエル
あなたは悪魔ですね
ふふふ
そう、私は悪魔
天使と真逆の存在の悪魔です
以後よろしくお願いいたします
おや、到着しましたよ
悪魔と遭遇してしまったノエルは一体どうなってしまうのか……。