僕たちは地下道を通り、
再び岩礁地帯へとやってきた。

通り過ぎた区域は
地の欠片の力で埋め戻しつつだから
どうしても時間がかかってしまったけど。

でもそれは仕方ないよね。
 
 

トーヤ

あとはここを出れば
サカマタンの群れが
泳いでいるはずです。

ビセット

では、魔法攻撃を主体に
戦っていきましょう。

ソニア

いくら楽しくても
皆殺し――えっと、
遊びすぎないでね♪

ソニア

だって情報を
聞き出さないと
いけないんだから。

サララ

分かりましたぁ!

ソニア

一匹くらいは
会話ができる程度で
許してあげてね。

トーヤ

それ……
ソニアさんへの
注意事項ですよね……。

ソニア

てへっ♪

 
 
ま、まぁ……ソニアさんのことだから
大丈夫だと信じてるけどね……。

なんだかんだでしっかりしてる人だし。



……いつもというわけではないけど。
 
 

ソニア

よしっ、出撃ぃ~!

カレン

はいはい……。

 
 
張り切るソニアさんの号令で
僕たちは外へと飛び出した。

早速、サカマタンは
僕たちの姿を見つけると
猛スピードで突進してくる。



あーあ、あれじゃソニアさんの思うつぼ。
攻撃してくださいと
言っているようなものだよ。

……ご愁傷様。
 
 
 
 
 

ソニア

アイスレイン!

 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
ソニアさんの周囲に発生した
無数の氷の矢が
サカマタンの群れに向かって飛んでいく。

確かに見た目は雨のようだけど
天と地が逆になった点は異なる感じかな。

でもサカマタンたちは
ダメージを食らいつつも
突進をやめない。



もしかして思ったほど効いてないっ!?

ソニアさんほどの魔法の使い手でも
威力が弱いのっ?
つまりサカマタンは氷系魔法に対して
耐性があるのかな?
 
 

トーヤ

ドンガラさん、
サカマタンは氷系魔法の
耐性があるんですか?

ドンガラ

そんなことはありやせん。
確かに多少の耐性は
あるかもしれませんが
普通に効くはずですよ。

トーヤ

でもソニアさんの
魔法が……。

シンディ

手を抜いてるだけよ。
あれ、威力が弱いから。
少しずつ弱らせて
長く楽しむ
つもりなんでしょ。

トーヤ

え……!?

 
 
確かにソニアさんの表情には
焦りの色なんて微塵も見られない。

むしろ実に楽しそう。



……うん、シンディさんの言葉、
充分にあり得る。
 
 

ビセット

あ、皆さんは
分かっていると思いますが、
この場で使ってはいけない
系統の魔法があるのは
理解なさってますよね?

トーヤ

と、言うと?

ビセット

ははは、トーヤ殿は
魔法があまり得意では
なかったんでしたね。

ビセット

では、せっかくですから
学んでいきましょう。

トーヤ

学校の授業みたい……。

ビセット

水中という環境で
最も効果が薄い系統は
分かりますか?

トーヤ

そりゃ、火や炎系
ですよね?

ビセット

正解。
では、最も効果が
あるのは?

トーヤ

うーん……。

 
 
水中なら氷系や水系が
無難だとは思う。

でも最も効果があると言ったら
疑問が残るよなぁ。
水中生物に氷系ならまだしも
水系は耐性持ちが多そうだし。
 
 

トーヤ

もしかして爆発系ですか?

ビセット

効果は高いですけど
最高の威力ではありませんね。

トーヤ

じゃ、電撃系?

ビセット

味方の損害を無視すれば
それはありかもしれませんが。

トーヤ

あ……そっか……。

 
 
電撃系だと敵だけじゃなくて
味方にもダメージを与えてしまう
可能性があるもんね。

威力を収束させた電撃弾みたいに
工夫をしない限りはね。

だって水を伝って電気が
流れて来ちゃうもんね。
 
 

トーヤ

あっ!

 
 
僕は大事なことを忘れていた。

以前、
タックさんに教えてもらったじゃないか。
だからこそこの世界へ来たわけだし。
 
 

 
 
次回へ続く!
 

第369幕 サカマタンとの水中戦!

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