ここは東京から少し離れた新興都市。

真新しい鉄道の線路の高架の西には
古くからの住宅街があるが、
東側は開発が進みつつあり、高級マンションや
駅ビル、ショッピングセンターなどの
ちょっとした繁華街が広がっている。

少し離れたところには大手メーカーの工場があり、
様々な国籍の働き手たちが働いている。

剛太はファミリーレストランの中に入り、
辺りを眺めた。

最近ガイジン増えてきたよなー

剛太は店内を見渡し、
奥のボックス席に友人の姿を認め、
ゆっくりと歩み寄っていく。

…あれ…?

席に座っているのは間違いなく、中学時代からのツレだ、が、しかし……

や、やっすん?
なんでそんなシャバイ格好してるんだよ?

お、おお…

友人のやっすんは
ヤンキーとは思えないような、
地味で真面目な服を着ていた。

……

剛太はとりあえず席に腰を下ろし、
一番安いドリンクを注文する。

…てか、
荒木とおだっちは?

剛太は集合するはずだった友人たちの名を上げて尋ねた。
しかし……

あいつら、こねぇわ

はぁ?

荒木は入学早々ボコられて
パシリさせられてて、
今日は来れねぇって

……!

おだっちは
クラスにヤバい連中がいるから
もう俺たちとは
つるむのやめるって…

はぁ?
どういうことだよ?
荒木、誰にやられたって?

おだっちのクラスの
ヤバい奴ってなんだよ?

ここら辺、ガイジン増えただろ?
アイツらの高校、すげー多いんだよ
荒木はガイジングループ締めてる
2年に目ぇつけられてよぉ…

はぁ?
2年?
アイツが負けてボコられるとか…

すげぇでけぇ奴だよ
なんか格闘技やってるってさ…

畜生…!

……
で、さ…
俺もちょっと潮時かなって…

はぁ?
何言ってやがる!?

ほら、春休みのでくの坊みたいな
デカイ奴いただろ…?

うっ…!

アイツ、180センチ超えじゃん?
アレで格闘技とかやってたら
死なずに済んでラッキーって感じ?
ヤバいグループの奴なら
絶対ぇ、目ぇつけられるぞ?

最近、どんどん勢力伸ばしてるグループとかあるみたいでさ…
学校内だけの集団じゃなくて
本職のスジ者も上にいるらしい
俺の学校にもメンバーらしいのが何人もいるんだよ

えぇえええ!
もしかして、アイツ、
そんなヤバいグループの
メンバーだったってこと~?

学校内だけじゃねえって…
相当めんどくさそうじゃねえか

やっぱ、日本人じゃ、
体力的にきついかなーって…

ば、ば、ば、
馬鹿言ってんじゃねぇよぉ

当分ほとぼりが冷めるまで、
俺は身を潜めるぜ!

やっすん、何言ってやがる…

高校3年間、ケンカの日々ってのも
ちょっと考え物だしよぉ…

……

ま、どうせ、アイツら、
日本人の顔なんて
見分けつかねぇからさ~
シャバイ格好してとぼけちまえば
気付かれねえよw

お、おう……

真島の反応にキレがなくなったのを見て取った
やっすんは安堵したのか、ちらりと本音を見せた。

イマドキヤンキーってのもさ~
流行らねぇかなって~
彼女とかも欲しいしぃ~
ってわけで、足洗うわー

あぁ?

この後、
女子高の子たちと合コンで~
お前も混ぜてもらう~???

…いいよ…

今度はお前も呼べるように
手配しておくからさ~
気ぃ悪くするなよ~~~

あ、そろそろ待ち合わせの時間だ!
じゃあ、またな~!

やっすんはウキウキと立ち上がると
自分の伝票を手にレジの方へと去って行った……

ちっ!
これが男の友情かぁ……

し、しかしヤバいな…
中学じゃ校区が狭くて
気が付かなかったけど
隣の市が外国人街みたいに
なってたよな…

そう言えばアイツ、
目が青かったよな…?
髪もブリーチかと思ってたけど…?

ま、マジでガイジングループの
メンバーだったり…す、する…?

つづく

第4話 1 ヤンキー君、青くなる

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