胸ポケットから手帳を取り出して
“職員室”と書いて見せると、
華胡はポンと手を打った。
さて、こんな事を話してる
場合じゃない。
職員室に行かないと遅刻するな
こんな事とはなんじゃ!
伴侶を見つけるにあたって、
重要な事じゃぞ。
それをおぬしは……
あー、わかったわかった。
悪かったから。
でもな、職員室に
行かなきゃ恋も何も
始まらんだろ?
さっきから触陰湿などと
連呼しおって……。
わらわをバカにしておるのか?
またわけのわからんことを
言ってんな……。
いいか、職員室っていうのは
こういう字だ
胸ポケットから手帳を取り出して
“職員室”と書いて見せると、
華胡はポンと手を打った。
この文字なら、
さっき通りがけに見かけたぞ。
早く言えば良かったではないか
さっきからずっと
言ってただろうが……
華胡の言う通りに校舎を歩き、
ようやく職員室まで到着した。
失礼しまーす
あら?
あなたは……
(すっげえ美人だああ!!
なんでこんなスタイル抜群な
モデル風の美女が職員室に!?)
もしかして、
島から来た中島くん?
そ、そうです!
中島陽太です!
遅くなってすみません!!
気にしないで。
迷子になってるんじゃないかと
思って心配してたのよ
わらわのおかげで
辿り着けて良かったな
(こいつ……)
私は担任の倉敷沙穂よ。
これからよろしくね
(沙穂先生、か……。
こんなに優しくて美人な先生が
担任なんて、超ラッキー!!)
どうしたの?
ボーッとしてるけど
気分でも悪いの?
いっ、いえっ!
大丈夫です!
ところで俺のクラスは
どこですか?
転入前に送った資料に
書いていなかったかしら?
中島くんは2-Cよ
ああ、そう言えばそうでした。
2-C……2-C……
(珠來が同じクラスだって
言ってたな)
2-Cには中島くんと
同郷の子もいたわね。
仲良くね?
はっ、はい!
そうじゃぞ。
あの珠來というおなごと
仲良くするのじゃ
ははは……
?
(でも、朝会った時の
珠來の態度を思い出したら、
急に不安になってきたぞ)
そう不安になることは無い。
わらわの力でなんとでも
できるのじゃからな
そうか!
俺には華胡パンツが
あったんだ!
かこ……ぱん……?
って、なんのこと?
いっ、いえ!
なんでもありません!
職員室のドアを開いたのは、珠來だった。
先生、来ましたけど
(やっぱり、
改めて見ても綺麗だな)
来たわね、委員長
(へえ、珠來って
クラス委員長なのか)
彼が転入生の中島陽太くんよ。
委員長としていろいろと
サポートしてあげてね
はい……
珠來が、冷たい視線をこちらに送ってきた。
あ……朝、ちょっとだけ
話したよな?
…………
そう言えば二人は
同じ島の出身だったわね
……ええ、まあ
(迷惑そうな顔してんなぁ)
電話が鳴って、沙穂先生が受話器を取る。
はい、もしもし
先生が話し始めたのを見ると、
珠來がこっちに向き直った。
ねえ、陽太
なんだ?
さっきも言ったけど、
同じ島出身っていうだけで
仲間って思われても迷惑なのよ
だから、くれぐれも
そのマヌケな顔で
話しかけないでくれる?
マヌケな顔って……!!
相変わらずなつんつんした態度に、
涙が出そうになる。
その時……華胡パンツが俺の股間で
もぞもぞと動き始めた。
うひゃおっ!
うひゃっ!!
ま、また何なの……?
(こんな時に動き出して、
何考えてんだ華胡!
珠來が変な顔してるだろ!)
察しの悪い奴じゃな。
ほら、珠來の顔を見てみろ
(はっ……?)
華胡から珠來に視線を移すと、
照れたように頬を赤く染めていた。
私だけと話してたら、
友達ができないでしょ?
これでも陽太のこと
心配して言ってるんだから
あ、ああ……?
ありがとう?
(華胡パンツの力だとは
わかっていても、
珠來ってやっぱかわいいな)
なに?
そんなに見たら
恥ずかしいじゃない……
珠來……
あまりに珠來が可愛くて、抱きしめようとした、
その時……。
いでっ!
いででででっ!
股間に急激な痛みが走った。
たわけ!
所構わず欲情するでない!
(お前さぁ……。
邪魔ばっかりしてるけど、
応援する気あるのか?)
こんな所で珠來を抱きしめたら
大問題じゃろ。
少しは頭を使え!
(た、たしかに……)
一人で頷く俺を、
珠來は怪訝そうな顔で見ていた。
そのタイミングで沙穂先生が受話器を置き、
椅子から立ち上がる。
お待たせ。
そろそろ教室に行こうか?
は、はい……
こうして三人で、教室へと向かった。
じゃあ、先に私と委員長が入って
転入生の紹介をするわね。
私が合図をしたら
教室へ入ってくれる?
なぜそんな
まどろっこしいことを
するんですか?
先に私たちが紹介したほうが、
中島くんも入りやすいでしょ?
ああ、まあ……たしかに
教室の前に到着すると、
沙穂先生と珠來だけが中に入って行った。
手持ち無沙汰になった俺は、
ふと股間に話しかけてみる。
なあ、華胡。
さっきみたいに突然動いたり、
マイサムを痛めつけたりするのは
やめにしないか?
まいさむ……?
俺の息子を痛めつけるのは
やめろってこと
なぜじゃ?
わらわによっておぬしの状況は
好転しておるじゃろう
でも、このまま続けてると
珠來に奇声キャラだと
認識されちゃうだろ
じゃが、ぱんつの力無しでは
あのおなごと話すことすら
叶わんじゃろうて
ううう……
悔しいがその通りだ
安心せい。
仮に変態認定されても、
わらわがついている限りは無敵じゃ
なんだかシャクに障るが、
とりあえずは言う通りにして
おいてやるか……
中島くん、お待たせ。
もう入ってもいいわよ
あ、はい
沙穂先生に言われて、教室の中に入ると……
みんなの視線が一斉にこちらに集中した。
その中には、もちろん珠來もいる。
…………
(また冷たい視線に戻ってるな。
パンツの力が消えたってことか)
俺は自己紹介をしてから席に着くまで、
少しずつ昔の事を思い出していた。
(珠來と最後に会ったのは、
小学6年の時……。
珠來は本土へ引っ越したんだ)
やったわね!
絶対ゆるさないわよ!
珠來は昔から気が強くて、
男子とも平気でとっくみあいのケンカを
するような奴だった。
(あのバカ!
女一人で、男数人相手に
勝てるわけないだろ!)
俺はランドセルを投げ捨て、
その辺に落ちていた棒切れを構えた。
でやああぁーっ!
助太刀いたす!
陽太!!
いつの間に来たの!?
驚いてこっちを振り向く珠來。
背中を見せた珠來に、男子生徒が殴りかかる。
珠來、危ない!
棒切れを振り回し、
かっこよく珠來を守ったはずだった。
しかし、殴られていたのは俺で……。
うるせぇんだよ!
弱い奴がからんでくんじゃねぇ!
あっという間に囲まれた俺は、
成す術もなく蹴られ始めた。
ぎゃああーっ!!
ギブギブ!
やめろおおおお!
ちょっと!!
やめなさいよ、アンタ達!
頭を抱えてフルボッコにされている俺を、
今度は珠來が助けに入る。
その後、俺と珠來はどうなったかというと……。
ぐすんっ……
うわああぁーんっ!
ひぃーんっ!
そんなに泣くなよ……
だって、だって、
あんな奴らに負けるなんて……
ひぐっ、ひぐっ……うわあーんっ!
俺が一人加勢したところで、
数人の男子にかなうはずがなかった。
俺たちは見るも無残に負けて、
ボロボロになってしまったのだ。
ケンカの理由は
知らねえけどさ……
ごめんな、守ってやれなくて
泣いている珠來がかわいそうで、
慰めようと思い頭の上に手を置くと……
珠來は俺の手を振り払い、
キッとにらみつけてきた。
守ってやるって、何!?
そんなこと頼んでないわよ!
珠來……?
そのマヌケな顔、
二度と見せないで!
顔を真っ赤にした珠來は、
俺の前から走り去ってしまった。
(あの時、珠來は
どうして怒ったんだろう?)
(俺が言葉の選び方を
間違ったんだろうけど……。
でも、なんて声をかければ
良かったんだ?)
(そういえば
珠來と話したのは、
アレが最後じゃなかったよな)
そして俺は、珠來と話した最後の日の事を
思い出した。
ちょっと陽太、いる!?
んあ?
珠來、お前……今日は
引っ越す日じゃなかったか?
そう……。
だから、陽太に話したいことが
あるの……
なんだよ
…………
そのまま珠來は下を向いて、
黙り込んでしまった。
それがじれったくて、ついつい俺は
珠來を急かしてしまったんだ。
なあ、黙ってちゃ
わかんねえだろ。
早く言えよ!!
どういうわけか、珠來が俺の頬に
派手に平手打ちをしたのだ。
いってー!
いきなり何すんだよ!
話なんかないわよ、バカッ!
その言葉を最後に、珠來は俺の前から
いなくなってしまった。
あの時、珠來が何を言おうとしていたのかは……
今でもわからないままだ。
(昔は島でよく遊んだな。
珠來にはいっつも
からかわれてたっけ……)
(まあ、そんな思い出に
浸ってる場合じゃないか。
もう放課後だし、帰る用意しなきゃ)
椅子から立ち上がろうとすると、
不機嫌な様子の珠來が目に入った。
(いつの間に、俺の目の前に?
しかも、沙穂先生まで居る)
……と、いうことで。
後は頼んだわね、委員長
はい……
沙穂先生が教室から出て行き、
後には俺と珠來だけが残された。
どうしたんだ?
はあ?
聞いてなかったの?
私はクラス委員長だし、
それに陽太と同郷だから
学校を案内しろって言われたの
へえ、それはそれは。
んじゃ、よろしく頼むな
ちょっと……
どうして私が
案内しなきゃなんないのよ!
ええっ?
沙穂先生に言われたんだろ?
それに、さっき『はい』って
返事してたような……
先生に言われたら、
一応そう言うしかないじゃない。
でも、アンタを案内するなんて
絶・対・イ・ヤ!
(取り付く島もないってのは
このことか!
せっかく仲良くなれるチャンス
だと思ったんだけどな)
わらわの助けが必要か?
(おっ、華胡。
いいところに!
いっちょ頼むよ)
まかせよ。
それぃっ!
華胡の掛け声の直後に、
パンツがもぞもぞと動く。
(よし、これで珠來は
校内を案内すると
言い出すはずだ)
じゃあ……私、もう帰るから
へっ?
ちょっと待てよ、
案内してくれるんじゃ
なかったのか?
何度も言わせないで。
アンタを案内するなんてイヤよ。
じゃあね!
(おい、どういう事だよ華胡。
珠來の態度が変わらないぞ?)
ふむ……
力が足りないのじゃろう
(足りないって言われても!!
どうするんだよ、
珠來が帰っちまうぞ!?)
そう騒ぐな。
おぬしが力をくれるなら、
この場をおさめることができるぞ
(俺が華胡に、力をやる?
そんなことできるのか?)
島での最後の晩、
わらわとお前は唇を
重ね合わせたであろう?
あれがわらわに
力を分け与える
儀式となるのじゃ
(んんっ?
そんなことしたっけ?)
よく思い出せ。
お前はしきたりに従って、
儀式の間で眠ったはずじゃ
(たしかに、
特別な部屋で寝たときに、
着物の女の子とキスする
夢を見たけど……)
(……って!!
あれ、夢じゃなかったのか!?)
きす?
なんのことじゃ?
(お前が言った、
唇を重ねることだよ!
いいか?
キスってのは特別な意味が……)
ごちゃごちゃ言っとらんで、
力をもらうぞ。
早くしないと珠來が帰ってしまう
(ちょっ! 待って!
心の準備がっっっ!!!)
こら、動くでない。
おとなしくしておれ……
(や、やわらかかった……)
うむ、完璧じゃ。
どれ……
再び、パンツがもぞもぞと動く。
ねえ、陽太……
どうした?
気が変わったから、
学校を案内して
あげてもいいわよ
おおっ!
サンキュー、珠來!
な、何お礼なんか言ってるのよ。
先生に言われたから、
仕方なく案内するだけよ!
(照れてる照れてる。
かーわいいなあー)
まず、ここが音楽室
音楽室って言えばさ、
島にいた頃を思い出さないか?
えっ……なんのこと?
まだ小学校にあがる前に、
学校に忍び込んで音楽室の
ピアノで遊んだりしただろ
あの時は、
すげー怒られたよなぁ
……し、知らない。
覚えてないわよ、そんなの!
(この反応、絶対覚えてるな)
(あの頃は珠來を女としては
意識してなかったけど、
今はこんなに立派に成長して……)
珠來の身体を上から下まで眺めていると、
珠來の顔が見る見る内に真っ赤になった。
なんで人のこと見て、
鼻の下伸ばしてんのよ。
さっさと次に行くわよ!
へーい
こっちが美術室。
陽太はあんまり興味ないでしょ?
どうしてだよ
だって、アンタって
昔から芸術に興味なさそうだし
そんなことないぞ!
へえ、意外。
絵を描くの好きなの?
珠來がヌードモデルに
なってくれるなら、
俺は何時間でも、
何枚だって描いてやる!
バッ、バカッ!
殴るわよ!
(珠來に殴られる……
我々の業界では
むしろご褒美です)
ここが屋内プールね。
部活にでも入らない限り、
体育の時間しか用はないと思うけど
許されるなら、
プールサイドで一日中
見学していたい
男子の水泳なら、
どうぞご自由に
おっ、ひょっとして
ヤキモチか?
はあーっ!?
アンタが誰の水着を見ても
私には関係ないでしょ!!
珠來……声、でかい
あっ……
辺りに珠來の叫び声が響き渡り、
水泳部員と思われる人々が
驚いた様子でこちらを見ていた。
…………!
(あれ?
あの子、見覚えが……)
陽太のせいで恥かいたじゃない!
早く次に行くわよ!
はいはい
……図書館はここよ。
今度こそ、アンタには
関係ない場所だと思うけど
なんで全部
関係ないことにすんだよ。
俺だって読書くらいするぞ
言っておくけど、
エッチな本は無いからね
俺をなんだと
思ってるんだ……
へえー、ここの学校って
武道館まであるのか
そうよ。
送られてきた資料に
書いてなかった?
流し読みしたからなぁ。
珠來は、武道館には
よく行くんだろ?
え?
なんで私が……
流れる男の汗を見学するのが、
好きかな~と思ってさ
はあ……
アンタじゃないんだから……
ちぇっ、
恥ずかしがってくれないのか。
赤くなってる顔、かわいいのに
ヘッ……ヘンタイッ!
次っ、体育館行くわよっ!
体育館はこっち。
始業式にも来たと思うけど
広い場所に来ると、こう……
パーッと運動したくなるよな!
どうせ、友達いないでしょ?
私が付き合って
あげてもいいわよ
本当か?
優しいな、珠來は
ク、クラス委員長として
仕方なくよ!
相変わらず素直じゃないな。
……んじゃ、
珠來のお手並み拝見と行くか
隅に転がっていた、
バスケットボールを手に取る。
ちょっと待ってよ。
私、これから部活があるの。
だからまた今度ね
ええっ……制服のスカートが
ヒラヒラするのを
拝みたかったけど、おあずけかぁ
制服のまま
運動するわけないじゃない!
なら、体操着姿がおあずけ……
うるさいうるさい、
スケベッ!
珠來が急にうつむく。
ホントに、
どうして私はこんなやつ……
はっ?
なんて言った?
いようっ、お二人さん!!
廊下の向こうから、
優斗がのん気な顔をしてやって来た。
おお、優斗。
新聞部で残ってるのか?
まあな。
それにしても、二人とも……
もう校内デートしてるのか?
違うわよ!
なんでこんなやつと!
えっ……冗談で言ったんだけど。
そんなに真っ赤になるってことは
ガチか?
あっ……ちっ、違うのコレは!
その……とにかく、
赤くなんかなってない!
(このまま赤くなった珠來を
見てるのも楽しいけど、
可哀想だし助けてやるか)
おいおい。
その辺にしといてやれよ。
珠來はこれから部活があるしさ
へーい。
二人のお邪魔はしませんって。
じゃあな!
だから、違うって
言ってるでしょ!
ムキになりすぎだろ
だって……
と、とにかく。
この校舎のことは
大体わかったわね?
はい、そりゃもう。
珠來さんが丁寧に
案内してくださったおかげです
何ふざけてんのよ。
アタシはこれから部活があるから、
後は自分で探検しなさい!
りょうかーい。
……ところで、
珠來はなんの部活やってんだ?
テニス部よ。
じゃあね!
じゃなー
(ふうーん、珠來って
テニス部だったのか)
(さてと……
一人になったし、
もう一回プールに行くか)
(さっきは珠來がいて、
水泳部の女子をじっくり
観察できなかったからな)
スキップしながらプールに向かうと……。
ちょっと、なんの用?
たくましい腕と足を持つ水着の女子が、
仁王立ちをしている。
あっ、いや~その~……
水泳部に入部を考えてて、
見学させてもらおうかなぁ~と……
デレ~としちゃって、
下心が見え見えだわ。
あんたみたいなスケベな男子、
多いのよね
部員が練習に集中できないから、
見学はお断り!
ほら帰った帰った!
いててっ!
ケツを叩くなよ!
尻をおさえて、慌ててその場から去った。
たくましいおなごを拝めて、
良かったではないか
お前……
俺が喜んでないのを、
わかって言ってるだろ
まあな
家に帰るにはまだ早いし……
しゃーねえ。
珠來はテニス部だって言ってたし
テニスコートへ行くか
ほほう、良い選択じゃ
なじぇ?
心に決めたおなごの
勇姿を見るのは良いことじゃ
確かに珠來を見るのが目的だが、
他の女の子も見れたらラッキー
みたいな……
ブツブツ言っとらんで、
早く行かんか!
はいはい、わかったよ
(それにしても、
珠來のテニスウェアって
どんなだろう?)
(あいつ美少女だから、
きっと似合うだろうなぁ。
ミニスカートで華麗に
テニスをする姿が目に浮かぶぜ)
はっ!!
聞いてくれ、華胡!
俺は重要なことに気づいたぞ!!
鼻息を荒くして、なんじゃ?
テニスウェアを着る時には、
アンダースコートという
下着を履くんだ
下着を履く……?
つまり、あんだーすこーと、
とは……ぱんつの別名か?
いや、パンツとは一線を画す
なんじゃと!?
スカートの短さゆえに、
見られることを前提に作られた
実用的かつ画期的、いや扇情的、
耽美で妖艶なパンツのことだ!
結局ぱんつじゃないか
否(いな)!
アンダースコートはその機能性故に
履いている本人は
パンツとして認識していない
すなわち!
女子はアンダースコートを
いくら男子に見られても
恥ずかしくないわけだ!
つまり!
パンツなのに堂々と見るのが
合法とされているわけだ!
……本当かぁ~?
なんだよ、その思いっきり
信じてなさそうな感じは
おぬしのその顔で見られたら、
どんなおなごでも逃げ出すぞ。
せめて鼻血だけは拭いて行け
ぐっ……わ、わかった
丸めたティッシュを鼻に詰めて、
テニスコートに向かうことにした。