それから、おそらく毎日、
騒がしい幸せがやって来た。

今日はね、おじいちゃんの
お手伝いをしたよ!

あのね、迷子のわんちゃんを
助けてあげたの!

毎日、自分がやった
精一杯の優しさを報告してくる。

そうかい、それは、よかったねぇ

手探りで頭や肩の位置を探り、
ゆっくり、そっと撫でる。

撫でる度、手の指先が小さくひび割れ、
徐々に欠けていっても、柔らかく微笑み、褒める。

今ここで、私がこの子を手放してしまうと、
きっとこの子は、ヒトと接する事を
怖がってしまうような、
間違ってしまうような気がした。

私にとって最後の一度であろう
出会いを、少しでも、
この子にとって良きものに出来たら
いいなぁ。

… … … … … … … … … … … … … … … …

おばぁちゃん、これ、あげる!

これは……お花?タンポポ?かな?

うん!正解!

お嬢ちゃんは、無邪気に笑う事が増えていった。
私がこの子に出来ることは、

お嬢ちゃん、花言葉って、知ってる?

私のデータの中で、きっといつか役に立つことを
伝えること、くらいかな。

はなことば?

そう。例えばね。タンポポは、誠実

せいじつ……?

ガーベラは、希望。
コスモスは、愛情

お花に、気持ちがあるの?

ああ、なんて素直な、いい子。

うふふ、どうなんだろうね。
でもね、お花の姿を見て、
色んな気持ちを感じて、
誰かにその気持ちを
贈りたい人が居たんだよ

ん〜……?

気持ちは、色んな形で伝えられるんだよ、ってこと

う〜ん……?そっかぁ……

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