美崎 耀(みさき あかる)

犯人は……
矛盾のある話をやけに詳しく
語りながらも、
肝心な事は“わからない”と
言う奴だ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

それは、誰……?

美崎 耀(みさき あかる)

亜百合、お前だよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

…………

亜百合は、沈黙した。


泣いたりわめいたりするかと思っていたが、
能面のように表情を固めたまま、
ただ沈黙したのだ。


そうしてから瞬きを一つすると、
こう言った。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

もう、わかったよ。
これ以上言い訳したって、
もうお兄ちゃんの心を動かすことは
できないんだね

美崎 耀(みさき あかる)

亜百合……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

あーあ!
お兄ちゃんに全部バレちゃった!
せっかくここまで頑張ったのにな

美崎 耀(みさき あかる)

自分が犯人だって、
認めるのか?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

お兄ちゃんに、
一つだけお願いがあるの

美崎 耀(みさき あかる)

おい!
はぐらかすなよ!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

はぐらかしてないよ。
本当のこと、
みんな話すから……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

だから、私と最初で最後の
デートをして欲しいな。
希島でお兄ちゃんとデートするのが
夢だったの

美崎 耀(みさき あかる)

…………

美崎 耀(みさき あかる)

(それですべての真相が
わかるというのなら)

美崎 耀(みさき あかる)

わかった。
付き合ってやるよ

廃墟島の6日目《 中編② 》

俺と亜百合は、児童公園に来ていた。


子供の頃はきらめいて見えた遊具の数々は、
今ではすっかり錆び付いてしまっている。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ここは島で唯一の
公園だったよね

美崎 耀(みさき あかる)

ああ、そうだったな

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私ね、ここにお兄ちゃんと
二人きりで来ることに
憧れてたんだ

美崎 耀(みさき あかる)

…………

雲母 亜百合(きらら あゆり)

だって、公園でデートなんて
ドラマみたいじゃない?
いつもたくさんの人がいて
それは叶わなかったけど

雲母 亜百合(きらら あゆり)

でも、やっとこうして
お兄ちゃんと二人で
来ることができた。
夢は叶うんだね!


亜百合は俺にすべてを打ち明けることなんて
忘れているかのように、
楽しげにすべり台やブランコを
ながめている。


美崎 耀(みさき あかる)

……なあ、亜百合

雲母 亜百合(きらら あゆり)

わかってるよ。
今回のこと、最初から話すよ

美崎 耀(みさき あかる)

最初から……?
一体いつから始まったんだ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

……5年前

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私は、パパとママが離婚した
ことで悩んでると言って、
みさき先生を崖へ呼び出した

美崎 みさき(みさき みさき)

ここから見る景色は、
いつ見ても綺麗よね

雲母 亜百合(きらら あゆり)

うん……

美崎 みさき(みさき みさき)

先生ね、本当のこと言うと
嬉しかったの。
あなたは先生のこと嫌ってるんだと
思ってたから……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(今でも嫌いだよ。
おせっかいのみさき先生。
お兄ちゃんにベタベタする
みさき先生)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(あんたなんか大ッ嫌い!
わかちゃんと同じくらい
大嫌い!!)

美崎 みさき(みさき みさき)

でも、これでやっとあなたの力に
なってあげられる。
さあ、なんでも話して?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(私の力になる?
あんたができることなんて
同情だけでしょ?)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(この偽善者)

美崎 耀(みさき あかる)

だから、俺が好きなのは
みさきさんだよ!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(お兄ちゃんをたぶらかす
イヤな女!!
この世からいなくなれ!!)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

……死ね

美崎 みさき(みさき みさき)

──え?



 全速力で走り出し、
みさき先生に体当たりをする。

美崎 みさき(みさき みさき)

きゃっ!!



 不意を突かれたみさき先生はよろめき、
吸い込まれるように崖の下へと落ちて行った。





 みさき先生の叫び声が遠のき、
そして消えていった……。


 崖の縁に手を突き、
恐る恐る下を覗き込む。








 そこには波打つ海が広がり、そして……。






 遥か遠くの岩場に、ぐったりと横たわる
みさき先生の姿があった。


 よく目を凝らさないと
みさき先生だとわからないほどに、
その姿は小さい。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

…………



 みさき先生は、
本当に死んでしまったのだろうか?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

みさき先生ーーっっ!!

 大きな声で呼びかけてみるも、
返ってくるのは波の音だけだ。

 頭から血を流しているみさき先生は、
ピクリとも動かない。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

本当に……死んだ……?



 人を殺すとは、
こんなにも簡単なことなのだろうか?

 さっきまでみさき先生は、
こちらに向かって微笑んでいたというのに。

 いとも簡単に、
人間の命を奪ってしまったことに……。



一人、ほくそ笑んでいた。


美崎 耀(みさき あかる)

お前だったのか……?
お前が、みさきさんを
殺したっていうのか!?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

うん。だって殺すなら、
あの日しかなかったんだもん。
ママはもう島を出る
って言うし……

美崎 耀(みさき あかる)

そういうこと聞いてんじゃねえ!
なんでみさきさんを
殺しちまったんだよ!

美崎 耀(みさき あかる)

なんで、なんで……
あんなに優しい人を……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

本当に優しい人だったかなあ?
お兄ちゃんは
騙されてたんだよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ずる賢い女。
先生(さきお)先生だけじゃなくて
お兄ちゃんまで誘惑するなんて

美崎 耀(みさき あかる)

ふざけるなあああああ!!!
兄貴が、俺が……みんなが!
どれだけ悲しんだと
思ってるんだ!!



怒りに任せて亜百合に拳を振り下ろした。


もう、こいつが女であることなんか
どうだっていい。


兄貴と俺の大切な人を奪った、
鬼畜生でしかないのだから。



しかし俺の拳は、亜百合の手の平によって
受け止められたのだ。

美崎 耀(みさき あかる)

…………ッ!?



亜百合といえば微動だにせずに、
静かに目を細めていた。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

いいの?
この先を聞かなくても

美崎 耀(みさき あかる)

この先……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

お兄ちゃんがこのまま私を
殴り殺しちゃったら、
真相がわからなくなっちゃうよ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

真相を全部聞いてから、
好きなだけ私をいたぶれば
いいんじゃない?

美崎 耀(みさき あかる)

(なんで……。
なんでこんなにもこいつは
落ち着いていられるんだ?)

美崎 耀(みさき あかる)

お前、まだ何か
たくらんでるのか?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ちがうよ。
私の5年間の思いを、
全部お兄ちゃんに知って欲しいだけ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私はみさき先生を
突き落としたあの瞬間から、
すべてを決めていた

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私が誰にも負けない
人気アイドルになって、
機は熟したの

人気俳優Y

亜百合ちゃん!!
今日こそ食事に
付き合ってもらうよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(こいつ……。
まだ私のこと
あきらめてなかったの?)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(話題になった女の子を狙って、
すぐに捨てちゃうので有名な男。
話しかけられるだけで悪寒が走る)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ごめんなさい。
今日はこの後もスケジュールが
詰まっていて……

人気俳優Y

ふうーん。
せっかく宮ノ内財閥のお嬢様の
いいネタを仕入れたのになあ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

宮ノ内……!?

人気俳優Y

亜百合ちゃんって、
あの宮ノ内財閥の一人娘の
宮ノ内姫乃と幼なじみなんだろ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

どうしてそれを知ってるの?

人気俳優Y

そんなの簡単に調べられるよ。
俺の知り合いに週刊誌の記者が
いてさ、なんでも知ってるんだよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

宮ノ内財閥のお嬢様の
いいネタって……。
スキャンダル……ってこと?

人気俳優Y

まあ、そういうことかな。
続きは食事に行った時に話すよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(コイツ……使える!)

人気俳優Y

……ってわけさ。
あの大財閥のお嬢さんが、
ビックリだろ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

あの、プライドの高い
ひめちゃんが……

人気俳優Y

ところでこの部屋、
なかなかいいだろ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

あ、うん。
個室だからゆったりできるね

人気俳優Y

それもそうだけど、
人目を気にせず会えるって話。
だから、亜百合ちゃん……


ゾクッ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(こいつ、肩に手を回してきた。
私に触っていいのは
お兄ちゃんだけなのに!)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ねえ、それよりもさっきの話、
もうちょっと詳しく教えて?

人気俳優Y

ああ、宮ノ内姫乃の話?
そんなのもういいじゃん

雲母 亜百合(きらら あゆり)

今日はその話を聞きたくて
来たのになあ……。
もう帰っちゃおうかな?

人気俳優Y

待って待って!
詳しく話すから!

人気俳優Y

宮ノ内の両親は、
財閥のご令嬢として、
世間様に恥ずかしく無いように
娘を厳しくしつけたらしいよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

厳しいしつけって、
例えばどんな?

人気俳優Y

お嬢様らしい振る舞いが
できるように所作を矯正されたり、
友達を作らせてくれなかったりさ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

希島にいた頃は
友達も沢山いたし、
自由に振舞ってたのに

人気俳優Y

だってそれは
中学生までの話だろ?
高校に入ってからお婿さん探しの
社交界デビューっていうの?
そういうのさせられたらしいぜ

人気俳優Y

大学に行ってる時間以外は、
華道や茶道、バイオリンとかの
花嫁修業の詰め込みで息を抜く
暇なんて与えられない

人気俳優Y

一人になれる時間は、
一ヶ月に一度くらいの
休みの日だけ

人気俳優Y

そのプレッシャーで、
姫乃のストレスは溜まり続けた。
そのストレスの発散方法が、
マッチングサイトってわけさ

人気俳優Y

姫乃は知り合った男を
次々とホテルに連れ込んで、
性欲によってストレスを
解消してたらしいぜ

人気俳優Y

その連れ込み現場の写真を
見せてもらったけど、
あんな美女が簡単に
ヤらせてくれるなんて……


ごく…

人気俳優Y

なんつーか、すげーよな

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(生唾のんだりして、
下品な男)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

どうしてそんなに詳しいの?

人気俳優Y

言っただろ?
俺の知り合いに
週刊誌の記者がいるって

人気俳優Y

その人、かなりの腕前でさ。
大物政治家とかのスキャンダルを
たくさん握ってんだよ

人気俳優Y

宮ノ内のご令嬢のネタも
その中のひとつってわけ。
使い所を見極めるために、
当人には知らせてないらしいけど

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ひめちゃんって、
まだそういうの続けてるのかな?

人気俳優Y

らしいぜ。
なんなら知り合いの記者が
よく使うホテルを知ってるし

雲母 亜百合(きらら あゆり)

どこ?

人気俳優Y

○○市にある××って
ホテルだよ。
きまって第4金曜に
現れるんだってさ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ふうーん……。
そこに男の人を
連れ込んでるんだ……

人気俳優Y

それよりも、
そろそろ……いいだろ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

…………

人気俳優Y

イッテ!
なんで手を叩くんだよ!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ふふっ。
バカじゃない?

人気俳優Y

は?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

それ以上私に触ったら、
弁護士に言うから。
それに、あんたんとこの社長にも
言いつけちゃうからね☆

人気俳優Y

自分からついて来ておいて、
ふざけんなよテメエ!!
俺を誰だと思ってんだ!?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

そっちこそ、うちの事務所を
なんだと思ってるの?
あんたのとこなんて簡単に潰せるよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ただでさえスキャンダルが多くて
謹慎処分を受けたことあったよね?
下手するとクビになるかもね

人気俳優Y

クソッ!
とっとと帰れよ!!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(さてと、こいつは
もう用済みとして……。
○○市にある××ってホテルかぁ)

雲母 亜百合(きらら あゆり)

(第4金曜に現れるって
言ってたよね……)

いやあ、良かったよ姫乃さん。
また会ってくれるかな?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

それは困りますわ。
お話が違うんじゃなくて?

会ってみたらあなたを
好きになってしまってね。
身体の相性もバッチリだし

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

(後腐れの無い関係を求めて
一回きりという約束をしたのに、
面倒な男ですわね……)

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

ダレッ!?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ひーめちゃんっ♪
ひさしぶりっ♪

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

まさか、あなた……。
亜百合さん……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

うれしい!
覚えててくれたんだ?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

あれだけテレビに出ていれば、
忘れるわけありませんわ。
そ、それよりもカメラなんか
構えて何のつもりですの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

あの潔癖症なひめちゃんが、
こんなホテルから男の人と
一緒に出てきたなんて
ビックリだよね

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

こ、この方は……!
わたくしの許婚ですわ!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

へえ。
結婚する前にこういうこと
しちゃってるんだ?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

こ……婚前交渉は、
お父様からもお許しが
出ていますのよ!?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

本当かな?
本当かどうか、ご両親に写真を
送ったらわかるよね?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

ひっ……!

お、俺は関係ねえ!
勘弁してくれ!!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

あ、逃げちゃった。
まー、別にあの人は
どうでもいいけど

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

亜百合さん……。
あなた、何が目的ですの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ちょっと手伝って
欲しいことがあるだけ。
言う通りにしてくれれば、
この写真を消してもいいいよ

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

くっ……

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

わかりましたわ。
何をすればいいんですの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私たちが住んでた、希島。
あの島を買い戻して欲しいの

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

し、島を買い戻すなんて!
そんなの、わたくしの一存では
できませんわ!!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

だったらお父さんに
相談すればいいんじゃない?
今の宮ノ内家の財力なら
簡単に買えるでしょ?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

お父様にこのことを
話せと言うの?
できるわけありませんわ!!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

できる、できないじゃないよ。
ひめちゃんに選択権は無い。
話すしかないんだよ

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

それはどういう
意味ですの……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私がこの写真を持ってる以上、
宮ノ内家の恥をいつでも
世間に晒すことができる

雲母 亜百合(きらら あゆり)

それをお父さんが知ったら、
島なんていくらでも
買い戻してくれるんじゃない?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

亜百合……さん……

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

あなた、どうしてそんなに人が
変わってしまったの……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

それはお互い様だよね。
ひめちゃんは、ずっとお兄ちゃんが
好きなんだと思ってた

雲母 亜百合(きらら あゆり)

それなのに、
初対面の男の人たちとホテルに
行くなんて信じられないよ

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

たしかに耀さんのことは
好きでしたわ……。
たぶん、初恋だったのかも

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ふう……やっぱりね

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

でも大好きだったのは
耀さんだけじゃありませんわ!

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

若葉さん、千雪さん、玲也さん、
先生先生、みさき先生!
みんなみんな、大好きでしたわ!

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

亜百合さん……。
あなたのことだって……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

…………

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

でも、もう希島にいた頃には
戻れない。
わたしは宮ノ内家の跡取りとして
自覚を持たなければなりませんの

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

だけれど……。
わたくしの心は
もう壊れかけている

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

その傷を男の人の体温で
癒そうとするのが、
そんなにいけないことですの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

うんうん、寂しかったんだね。
ひめちゃんの気持ち、
よーくわかるよ

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

亜百合さん……!
わたくしを、
許してくださるの……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

最初から
責めたりなんてしてないよ。
私の手伝いをして欲しいだけ

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

でも……。
島を買い戻すために
このことをお父様に話せ
だなんて……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ねえ、今日のことお兄ちゃんに
話したらどう思うかな?

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

耀さんに!?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ひめちゃんのこと
希島で一緒に育った仲間、
なんて思わなくなるよね

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

やめて!
思い出を汚さないで……!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

大丈夫だよ。
私の言うこと聞いてくれれば、
みーんな黙っててあげる☆

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

…………

宮ノ内 姫乃(みやのうち ひめの)

わかりましたわ。
すべて、亜百合さんの
言う通りにしますわ

それからは、面白いくらいにすべてが
順調に進んだ。

日良 若葉(ひら わかば)

はい、日良ですけど……。
亜百合ちゃん!?



わかちゃんの電話番号は、すぐにわかった。

なぜならひめちゃんに興信所を使わせて、
連絡先を調べさせたから。

雲母 亜百合(きらら あゆり)

……っていうわけで、
希島の学校とかの建物が
取り壊されちゃうんだって

日良 若葉(ひら わかば)

ええ~っ。
それは寂しいね……

雲母 亜百合(きらら あゆり)

だから、みんなを集めて
お別れ会を開かない?

日良 若葉(ひら わかば)

いいね!
やろうやろう!

日良 若葉(ひら わかば)

あっ、でも……
亜百合ちゃん忙しそうだけど、
お仕事は大丈夫なの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

まかせて!
スケジュール調整して行くから!
来月にオフが取れそうなんだ

日良 若葉(ひら わかば)

じゃあ、亜百合ちゃんが
来ることは確定だね。
楽しみ!!

雲母 亜百合(きらら あゆり)

でも、他の人はどうしよっか。
みんなの連絡先を知らないの

日良 若葉(ひら わかば)

大丈夫だよ。
私、島を出る前にみんなから
電話番号を聞いたから

雲母 亜百合(きらら あゆり)

さすがわかちゃん。
わかちゃんはいつもクラスで
輪の中心にいたもんね

日良 若葉(ひら わかば)

そ、そんなことないよぉ~

雲母 亜百合(きらら あゆり)

私ね、仕事が忙しくて
みんなに連絡してる暇が
無いんだ……

日良 若葉(ひら わかば)

私がみんなに連絡するから、
大丈夫だよ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ありがとう!
じゃあ、次から言う人を
誘ってくれる?

日良 若葉(ひら わかば)

えっ……。
クラスの全員を
誘うんじゃないの?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ひめちゃんが、
仲良しだった人だけを
集めたいって言ってたよ

日良 若葉(ひら わかば)

そっか……。
じゃあ、誰を誘うか教えて?

美崎 耀(みさき あかる)

おい、ちょっと待て

雲母 亜百合(きらら あゆり)

なあに?

美崎 耀(みさき あかる)

姫乃と仲が良かった奴だけを
集めたって、そりゃおかしいだろ

雲母 亜百合(きらら あゆり)

どうして?

美崎 耀(みさき あかる)

姫乃は島一番の金持ちとして、
女王様みたいに振舞ってただろ。
あいつには取り巻きみたいに
仲がいい奴なんてたくさんいた

美崎 耀(みさき あかる)

なのに、
今回のメンバーを選んだ
理由はなんだ?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

お兄ちゃんだよ

美崎 耀(みさき あかる)

俺……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

ひめちゃんの仲良しを
誘ったというのは、ウソ。
お兄ちゃんを好きだった人たちを
私が集めたかったの

美崎 耀(みさき あかる)

な、なんでそんなことを

雲母 亜百合(きらら あゆり)

お兄ちゃんに好意を持って
近づいた人たちを、
いつかまとめて殺したいと
思ってたの

雲母 亜百合(きらら あゆり)

お兄ちゃんを好きなのは
私だけでいい

雲母 亜百合(きらら あゆり)

子供の頃からね、
ずっと、ずーっと!
そう思ってたんだよ?

美崎 耀(みさき あかる)

まさか……。
そんなことのために……?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

まあ、みんなを殺したのは
ついでだったんだけどね

美崎 耀(みさき あかる)

ついで?

雲母 亜百合(きらら あゆり)

本当の目的は、他にあるの



そう言いながら亜百合は、
寂しげに揺れていたブランコに腰掛けた。










廃墟島の6日目 《 中編② 》

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