9.トンネルの向こう側(後編)
9.トンネルの向こう側(後編)
ノエルちゃん、そっちの方に何かあるのかい?
…………
その、もう一人の子、カイトくんだっけ。あの子は何処に行ったのかな
…………
……あの
ん、何だこれ?
コノ先日本国憲法通用セズ
……あはは
何だこの看板……イタズラか、あはは、たちが悪い
ねぇ、そう思うよね――アレ
ノエルちゃん……
山野さーーーん。山野さーーーん
駄目です。何処に行ってしまったのでしょうか
それがわかれば苦労してない
この森じゃ空から探しても見つかりにくい。どうしたもんか
探すしかないです。頑張って探しましょう!
はいはい、そうですね
――あの
こんな時に言うのはあれなんですが……
なんだ
カイトさんは私の事を手伝っても大丈夫なのですか。カイトさんは死神、さまよう魂を回収するのが使命ですよね
正反対なことをしてしまいます。死神としてバレてはいけない事をしているのではありませんでしょうか
たく、バレてはいけない事か
その、協力しない方がいいです。ここからは私一人で山野さんを探します
今更、何言ってるんだ。いいからおっさんを探すぞ
話はその後だ。ノエル
カイトさん
あの人の言った通りだな
回想
完結に言うとノエルちゃんのお手伝いをしてもらうわ
俺にノエルの手伝いを――ですか
そう、あなたにはそうしなければいけない理由があるでしょう
理由ですか
ふふ、あなたの本分は何かしら?
俺の本分……ですか
死神です
そう、あなたの本分は死神、死者のさまよう魂を回収するのが使命ですよね
けれどあなたは命を伸ばしましたね
――ぅ、それは
我々、天界の者は一部を除いて人間に関わる事を禁じています
私でおろうと許されていません
どのような経緯であろうと死神としてやってはいけない行為をしました。それは理解してますよね。死神カイト
……はい
本来なら重罪ですが今回だけは条件付きで許してあげます
条件付き。つまりノエルの手伝いですか
フフ、察しがいいわね
あの子は純粋過ぎるから
純粋ですか
あなたみたいな子が近くに居たら私としては安心なの
どう、あなたにとって悪くない提案だと思うけど?
わかりました。その条件引き受けます
そう、ありがとうね
あ、そうだ。この事はノエルちゃんにはヒ・ミ・ツにしてくれる
それはどうしてですか?
うーん、彼女の為よ
とにかく俺は大丈夫だ。さっさと山野のおっさんを探すぞ
あ、はい。そうですね
誰かーー誰か居ないのか。ノエルちゃん、カイトくん
おいおい。この歳で迷子なんてないぜ
わっ、何だ!
空き缶?
もしかして、鳴子なのか
こんなところにどうして?
……誰だ!
くそ、何だよ。何なんだよ!
カイトさん
ああ、あっちから音がしたぞ
急ぎましょう。何か嫌な予感がします
うわわァァァ
山野さんの声
何があった
あ、ああ、来るな!!
うぅぅぐぐ
山野さん
ノエルちゃんどこに行っていたの
それはこっちのセリフだ
こんな事に巻き込みやがって
カイトさん。あれは何でしょうか。それにここは?
俺に聞いてもわかるかよ
それに考えるより逃げた方がいいらしい
そうみたいですね
うぅぅぐぐ
おい、こいつら狂ってる。俺をころそうとしてるんだ。死にたくない
山野さん。大丈夫です
私、私達があなたを助けに来ました
トンネルを通ってたどり着いた場所は地図に存在しない場所だった。